カーテンの隙間から差し込んだ細い光でレノは目を覚ました。



　結局熟睡できずに朝を迎えてしまい、重い頭を左手で押さえてゆっくりと身体を起こす。



「頭痛ぇ…」



　熟睡できなかったのと酒のせいで、さわやかな朝の日差しすらうっとうしく感じる。





　部屋に一つしかない壁掛の時計を見ると、針は七時ちょっと前を指していた。


　普段遅刻気味に出勤するレノにとっては、かなり早い目覚めと言える。



　大きな欠伸をして、レノはソファから立ち上がった。






　無理な態勢で寝ていたためか、身体の節々まで痛む。


　首をごきごき鳴らしたあと、軋む間接を解そうと伸びをしたレノの目に寝室のドアが映った。




　鍵もかからない部屋で、おそらくぐっすり寝ているであろうヒロイン。




　昨日の風呂上がりの妖艶な色香をまとうヒロインを思い出してしまい、レノは無意識にごくりと唾を飲んだ。






　寝乱れた女の姿は妙な色気がある。






　ドア一枚隔て、そこにあのヒロインがいる。




　そう思っただけで、欲望が高ぶってくる。




（ヤバい…！）





　昨日から押さえていた欲求が爆発しそうになり、レノは一瞬動きを止めた。



　しかし、なんとかまだ片隅に残っていた理性が勝り思い止まる。




（朝から身体に悪いぞ…）




　ある意味自分の若さにげんなりし、大きな溜息をついた。





　すっかり目が冴えてしまったレノは、邪な考えを振り払うため風呂場に向かった。



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