2-3:拘束
ヒロイン
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「ヒロイン、時間だ」
「はい」
促すツォンの言葉に素直に応じ、ヒロインは病室を出た。
一度も後ろを振り返らずに。
病室を後にしても、何処に行くのか、これからどうなるのか、ツォンから説明されることはなかった。
ただツォンの後に付いていくだけだった。
神羅ビル60階以上の特別ブロックにほとんど足を踏み入れたことがなかったヒロインは、病室エリアを抜けた先に何があるのか全く知らない。
上役が多いという認識程度だ。
だんだんと辺りは薄暗くなり、さらに薄気味悪い雰囲気の漂うエリアに警戒はしたが、立ち止まることは許されない。
しばらく進むと、各部屋に『科学部門』と肩書きの書かれたプレートが掲げられているのに気付いた。
現役時代、最も関わりのなかった部門だけに、ヒロインの知識は乏しい。
ただ、自分が白の研究所で行われていたジェノバ細胞実験の被験者であるならば、関わりがないわけではないか。
過去白の研究所で受けた実験の数々を思い出し、ヒロインは身震いした。
注射と点滴をひたすら繰り返し、培養液に浸されていた日々。
また、逆戻り。
エレベーターに乗り67階に着くと、エレベーターホールで男性が待っていた。
猫背の陰気な男性。
その男はヒロインの姿を見つけると、気味の悪い笑みを浮かべた。
得体の知れない不気味な男の様子に、ヒロインは思わず半歩後ろに下がった。
「ご苦労。君はもう下がっていい」
ツォンに命令するところを見ると、どうやらかなり地位が高いようだ。
ツォンが男に一礼して、再びエレベーターに乗り込もうとした。
「ツォンさん…レノには、言わないで――」
「あぁ」
ツォンはヒロインに視線を送ることはなかった。
エレベーターの扉が閉まる重く鈍い音を耳にし、ヒロインは今度こそ後戻りできないことを感じた。
.
「はい」
促すツォンの言葉に素直に応じ、ヒロインは病室を出た。
一度も後ろを振り返らずに。
病室を後にしても、何処に行くのか、これからどうなるのか、ツォンから説明されることはなかった。
ただツォンの後に付いていくだけだった。
神羅ビル60階以上の特別ブロックにほとんど足を踏み入れたことがなかったヒロインは、病室エリアを抜けた先に何があるのか全く知らない。
上役が多いという認識程度だ。
だんだんと辺りは薄暗くなり、さらに薄気味悪い雰囲気の漂うエリアに警戒はしたが、立ち止まることは許されない。
しばらく進むと、各部屋に『科学部門』と肩書きの書かれたプレートが掲げられているのに気付いた。
現役時代、最も関わりのなかった部門だけに、ヒロインの知識は乏しい。
ただ、自分が白の研究所で行われていたジェノバ細胞実験の被験者であるならば、関わりがないわけではないか。
過去白の研究所で受けた実験の数々を思い出し、ヒロインは身震いした。
注射と点滴をひたすら繰り返し、培養液に浸されていた日々。
また、逆戻り。
エレベーターに乗り67階に着くと、エレベーターホールで男性が待っていた。
猫背の陰気な男性。
その男はヒロインの姿を見つけると、気味の悪い笑みを浮かべた。
得体の知れない不気味な男の様子に、ヒロインは思わず半歩後ろに下がった。
「ご苦労。君はもう下がっていい」
ツォンに命令するところを見ると、どうやらかなり地位が高いようだ。
ツォンが男に一礼して、再びエレベーターに乗り込もうとした。
「ツォンさん…レノには、言わないで――」
「あぁ」
ツォンはヒロインに視線を送ることはなかった。
エレベーターの扉が閉まる重く鈍い音を耳にし、ヒロインは今度こそ後戻りできないことを感じた。
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