2-3:拘束
ヒロイン
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「また…泣いてるのか?」
レノが悲しげに顔を曇らせた。
「レノ!」
ヒロインは伸ばされたレノの手を取り、両手で包み込んだ。
「いつも、泣かせてばかりだな…」
傷が痛むのか、レノが軽く顔をしかめた。
そして、自嘲気味に笑う。
ヒロインは首を振り、頬を伝う涙を片手で拭った。
「そんなことない…」
レノの声を間近で聞き、また自然と涙が零れてくる。
「レノ…」
ヒロインはレノの手をきつく握った。
確かにレノが目の前にいる。
ずっと願ってきたことが今、現実になったことをヒロインは実感した。
(これでもう――)
既にヒロインの目に涙はなかった。
吹っ切れた思いで、ヒロインはレノに笑顔を向けた。
(笑って最後にできる)
ヒロインはレノに別れを告げようと、手の力を抜いた。
「やっと…届いたんだな」
軽く乱れた呼吸に乗って、唐突に聞こえてきたレノの言葉の意味が分からず、ヒロインは首を傾げた。
「手――」
レノが離れかかった手に力をこめた。
まるで、ヒロインの思いが伝わったかのように。
「あの時は、届かなくて……守って、やれなかった」
ぽつりぽつりと話すレノの言葉を聞き、ヒロインの胸が詰まる。
「もう――放さないぞ、と…‥」
何度か瞬きをして必死に目を開けていようとしたレノだったが、次第に重くなる目蓋には勝てず、しばらくして再び寝息を立て始めた。
力のなくなったレノの手を一度ぎゅっと握り締めたあと、そっと布団の中に入れてやる。
「そんなこと言われたら、また甘えちゃうじゃない…」
ヒロインは忙しなく目を瞬かせた。
生きたい、一緒にいたいという気持ちはまだある。
しかし表舞台に出た以上は、それが叶わぬものだということも理解していた。
ヒロインは一度深く息を吸い込んだ。
そして、一気にそれを吐き出した。
胸を締め付けられるような痛みと迷いも一緒に、体内から洗い出すかのように。
「レノに、会えてよかった」
背後から聞こえた扉を開ける音が、ヒロインに時間を告げる。
ヒロインは笑った。
散る寸前の花のように儚げに。
「レノ…ありがとう」
ヒロインは短いキスをレノの唇に落とした。
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レノが悲しげに顔を曇らせた。
「レノ!」
ヒロインは伸ばされたレノの手を取り、両手で包み込んだ。
「いつも、泣かせてばかりだな…」
傷が痛むのか、レノが軽く顔をしかめた。
そして、自嘲気味に笑う。
ヒロインは首を振り、頬を伝う涙を片手で拭った。
「そんなことない…」
レノの声を間近で聞き、また自然と涙が零れてくる。
「レノ…」
ヒロインはレノの手をきつく握った。
確かにレノが目の前にいる。
ずっと願ってきたことが今、現実になったことをヒロインは実感した。
(これでもう――)
既にヒロインの目に涙はなかった。
吹っ切れた思いで、ヒロインはレノに笑顔を向けた。
(笑って最後にできる)
ヒロインはレノに別れを告げようと、手の力を抜いた。
「やっと…届いたんだな」
軽く乱れた呼吸に乗って、唐突に聞こえてきたレノの言葉の意味が分からず、ヒロインは首を傾げた。
「手――」
レノが離れかかった手に力をこめた。
まるで、ヒロインの思いが伝わったかのように。
「あの時は、届かなくて……守って、やれなかった」
ぽつりぽつりと話すレノの言葉を聞き、ヒロインの胸が詰まる。
「もう――放さないぞ、と…‥」
何度か瞬きをして必死に目を開けていようとしたレノだったが、次第に重くなる目蓋には勝てず、しばらくして再び寝息を立て始めた。
力のなくなったレノの手を一度ぎゅっと握り締めたあと、そっと布団の中に入れてやる。
「そんなこと言われたら、また甘えちゃうじゃない…」
ヒロインは忙しなく目を瞬かせた。
生きたい、一緒にいたいという気持ちはまだある。
しかし表舞台に出た以上は、それが叶わぬものだということも理解していた。
ヒロインは一度深く息を吸い込んだ。
そして、一気にそれを吐き出した。
胸を締め付けられるような痛みと迷いも一緒に、体内から洗い出すかのように。
「レノに、会えてよかった」
背後から聞こえた扉を開ける音が、ヒロインに時間を告げる。
ヒロインは笑った。
散る寸前の花のように儚げに。
「レノ…ありがとう」
ヒロインは短いキスをレノの唇に落とした。
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