2-3:拘束
ヒロイン
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部屋に足を踏み入れると、すーっとする消毒液の匂いが鼻をついた。
物音一つしない部屋を進み、カーテンで仕切られた一角の前に立ち、一つ小さな深呼吸。
ヒロインはできるだけ音を立てないように、そっとカーテンを開けた。
「レノ…」
手を掴んだときのレノとは打って変わって、うっすらと赤みの差している頬に胸を撫で下ろす。
麻酔が効いているのか、レノは無防備に穏やかな寝息を立てていた。
ヒロインは椅子を近くに引き寄せ、ベッドの側に置いて腰を下ろした。
自分からレノに会いたいと言ったものの、どうしていいかわからなかった。
無事な姿を確認し安堵すると、今度は支柱を破壊したレノが思い起こされる。
仕事と一言で割り切り、躊躇いなく任務を遂行したレノ。
タークスの仕事は綺麗事など言っていられないことぐらい分かっている。
だから食い止めるためなら、相手が例えレノだろうと撃つ覚悟はできていたはずだった。
あのとき引き金を引くべきだった。
チャンスもあった。
最後のカウントを刻んだのは他でもない。
「私…‥」
最後の最後で躊躇った結果、支柱は破壊され、大勢が死んだ。
クラウドやエアリスも巻き込まれたかもしれない。
一人を守って、多くを無くした。
「私――どうしたらよかったの?」
この選択は正しかったのか。
それとも――
「もう…わからない」
ヒロインは込み上げてくるものを押さえ切れず、泣いた。
両手で顔を覆い、必死に嗚咽を止めようとしたが、一度溢れ出たものはそう簡単に堰止められない。
「――っ…ヒロイン…‥?」
懐かしい声と、骨張った大きな手。
頭に伸ばされた手は、ゆっくりとヒロインの頭を撫でた。
「レノ!?」
ヒロインは顔を上げた。
その視線の先。
そこには、覚えているまま笑うレノがいた。
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物音一つしない部屋を進み、カーテンで仕切られた一角の前に立ち、一つ小さな深呼吸。
ヒロインはできるだけ音を立てないように、そっとカーテンを開けた。
「レノ…」
手を掴んだときのレノとは打って変わって、うっすらと赤みの差している頬に胸を撫で下ろす。
麻酔が効いているのか、レノは無防備に穏やかな寝息を立てていた。
ヒロインは椅子を近くに引き寄せ、ベッドの側に置いて腰を下ろした。
自分からレノに会いたいと言ったものの、どうしていいかわからなかった。
無事な姿を確認し安堵すると、今度は支柱を破壊したレノが思い起こされる。
仕事と一言で割り切り、躊躇いなく任務を遂行したレノ。
タークスの仕事は綺麗事など言っていられないことぐらい分かっている。
だから食い止めるためなら、相手が例えレノだろうと撃つ覚悟はできていたはずだった。
あのとき引き金を引くべきだった。
チャンスもあった。
最後のカウントを刻んだのは他でもない。
「私…‥」
最後の最後で躊躇った結果、支柱は破壊され、大勢が死んだ。
クラウドやエアリスも巻き込まれたかもしれない。
一人を守って、多くを無くした。
「私――どうしたらよかったの?」
この選択は正しかったのか。
それとも――
「もう…わからない」
ヒロインは込み上げてくるものを押さえ切れず、泣いた。
両手で顔を覆い、必死に嗚咽を止めようとしたが、一度溢れ出たものはそう簡単に堰止められない。
「――っ…ヒロイン…‥?」
懐かしい声と、骨張った大きな手。
頭に伸ばされた手は、ゆっくりとヒロインの頭を撫でた。
「レノ!?」
ヒロインは顔を上げた。
その視線の先。
そこには、覚えているまま笑うレノがいた。
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