2-3:拘束
ヒロイン
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天井から降り注ぐ白いつぶて。
身体が動かない。
――ヒロインっ!
呼ばれたヒロインは、必死でそちらに腕を伸ばす。
指先が触れるかというところで、ヒロインの手は空を切った。
もう、さよならの時間。
ありがとう。
もっと、ちゃんと伝えたかった…‥
「…レノ」
嫌な夢を見た。
5年前の――幾度となくやり直したいと思った瞬間の夢を。
手が届いていたら、何か変わっていたのだろうか。
目を覚ましたヒロインは自分が泣いていたことに気付き、甲で涙を拭った。
「気が付いたか」
懐かしい声が聞こえた。
カーテン越しではあったが、姿を見ずともわかる。
ヒロインは声の主を知っていた。
「ツォンさん…?」
ヒロインは起き上がろうと、ベッドに手をついた。
いつもなら容易いことも、今は違う。
普段の倍ほどの時間を掛け、ヒロインは身体を起こした。
「久しぶりだな、ヒロイン」
「…お久しぶりです」
対面したツォンの変わり様に、ヒロインは驚きを隠せなかった。
兄のように慕っていた頃の優しい面影は影を潜め、正義感が強く、いつも真っ直ぐだった瞳の輝きもない。
今のツォンにあるのは、疲労と諦めだった。
「…お疲れ、みたいですね」
ふっと口の片端を持ち上げ笑ったツォンが、視線を遠くへ向けた。
ツォンの視線の先――窓に映った二人の姿。
ヒロインはそれ越しにツォンを見た。
何故だか、直接ツォンを見ることができなかった。
「最近、寝てなくてね」
言わんとするところはわかる。
しかし、こんな皮肉を口にするような人でもなかった。
5年の短いようで長い月日の流れを肌で感じ、ヒロインは悲しくなって目を伏せた。
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身体が動かない。
――ヒロインっ!
呼ばれたヒロインは、必死でそちらに腕を伸ばす。
指先が触れるかというところで、ヒロインの手は空を切った。
もう、さよならの時間。
ありがとう。
もっと、ちゃんと伝えたかった…‥
「…レノ」
嫌な夢を見た。
5年前の――幾度となくやり直したいと思った瞬間の夢を。
手が届いていたら、何か変わっていたのだろうか。
目を覚ましたヒロインは自分が泣いていたことに気付き、甲で涙を拭った。
「気が付いたか」
懐かしい声が聞こえた。
カーテン越しではあったが、姿を見ずともわかる。
ヒロインは声の主を知っていた。
「ツォンさん…?」
ヒロインは起き上がろうと、ベッドに手をついた。
いつもなら容易いことも、今は違う。
普段の倍ほどの時間を掛け、ヒロインは身体を起こした。
「久しぶりだな、ヒロイン」
「…お久しぶりです」
対面したツォンの変わり様に、ヒロインは驚きを隠せなかった。
兄のように慕っていた頃の優しい面影は影を潜め、正義感が強く、いつも真っ直ぐだった瞳の輝きもない。
今のツォンにあるのは、疲労と諦めだった。
「…お疲れ、みたいですね」
ふっと口の片端を持ち上げ笑ったツォンが、視線を遠くへ向けた。
ツォンの視線の先――窓に映った二人の姿。
ヒロインはそれ越しにツォンを見た。
何故だか、直接ツォンを見ることができなかった。
「最近、寝てなくてね」
言わんとするところはわかる。
しかし、こんな皮肉を口にするような人でもなかった。
5年の短いようで長い月日の流れを肌で感じ、ヒロインは悲しくなって目を伏せた。
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