2-2:崩壊
ヒロイン
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帰還したバレットたちが慌ただしく地下に下りた後は、店はいつもの静けさを取り戻した。
ヒロインも肩の力を抜き、夜の開店準備を始めた。
ギィー…
聞き慣れた床の軋む音に、ヒロインははっとして顔を上げた。
クラウドが帰ってきたのかもしれない。
ヒロインはグラスを磨く手を休め、外に向かって声を掛けた。
「クラウド?」
突然バタバタと慌てたように走り去る音がした。
(違う!)
クラウドではないことを確信したヒロインは、寸分と間を置かずに外に飛び出した。
突然血相を変えて出てきたヒロインに驚いた通行人の視線が集まる。
しかし、それに気を留めることなくヒロインは足音の主を追った。
足音を立てる時点でタークスの人間ではない。
第一線を離れても、この程度の人間なら捕まえる自信があった。
思っていた通り、捕まえた男はいかにもスラムのチンピラという風貌の男だった。
騒ぎを聞き付けたアバランチの面々も集まり、男を取り囲む格好になった。
「おい、一体何の用だ?」
バレットが凄むと、男はひっと息を呑んだ。
「お、俺は何も知らねぇ…」
「じゃあ何だってこそこそ嗅ぎ回るようなことしてやがったんだ!えぇ!?」
間髪置かずにバレットが怒鳴る。
男はますます縮み上がり、尻をついたまま後退した。
そんなやりとりを一歩離れた場所で眺めながら、ヒロインは喉に引っ掛かるものを感じていた。
(前にどこかで――)
男の腕に彫られた悪趣味な当て字の刺青。
「あんた、コルネオのとこの人間ね」
思い当たった一つの答えを口にしたとき、男の目が動揺して左右に忙しなく動いた。
正解を示す男の反応にヒロインは短く息を吐いた。
コルネオ自身は大したことないが、コルネオが動いたということは神羅が働き掛けたのは間違いない。
ついにこのときが来た。
ここまできたからにはもう逃げられない。
(止めなきゃ――)
きっとよくないことが起こる。
ヒロインは意を決して、真っ直ぐ顔を上げた。
「私がコルネオのところに行ってくるわ」
.
ヒロインも肩の力を抜き、夜の開店準備を始めた。
ギィー…
聞き慣れた床の軋む音に、ヒロインははっとして顔を上げた。
クラウドが帰ってきたのかもしれない。
ヒロインはグラスを磨く手を休め、外に向かって声を掛けた。
「クラウド?」
突然バタバタと慌てたように走り去る音がした。
(違う!)
クラウドではないことを確信したヒロインは、寸分と間を置かずに外に飛び出した。
突然血相を変えて出てきたヒロインに驚いた通行人の視線が集まる。
しかし、それに気を留めることなくヒロインは足音の主を追った。
足音を立てる時点でタークスの人間ではない。
第一線を離れても、この程度の人間なら捕まえる自信があった。
思っていた通り、捕まえた男はいかにもスラムのチンピラという風貌の男だった。
騒ぎを聞き付けたアバランチの面々も集まり、男を取り囲む格好になった。
「おい、一体何の用だ?」
バレットが凄むと、男はひっと息を呑んだ。
「お、俺は何も知らねぇ…」
「じゃあ何だってこそこそ嗅ぎ回るようなことしてやがったんだ!えぇ!?」
間髪置かずにバレットが怒鳴る。
男はますます縮み上がり、尻をついたまま後退した。
そんなやりとりを一歩離れた場所で眺めながら、ヒロインは喉に引っ掛かるものを感じていた。
(前にどこかで――)
男の腕に彫られた悪趣味な当て字の刺青。
「あんた、コルネオのとこの人間ね」
思い当たった一つの答えを口にしたとき、男の目が動揺して左右に忙しなく動いた。
正解を示す男の反応にヒロインは短く息を吐いた。
コルネオ自身は大したことないが、コルネオが動いたということは神羅が働き掛けたのは間違いない。
ついにこのときが来た。
ここまできたからにはもう逃げられない。
(止めなきゃ――)
きっとよくないことが起こる。
ヒロインは意を決して、真っ直ぐ顔を上げた。
「私がコルネオのところに行ってくるわ」
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