2-2:崩壊
ヒロイン
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「ヒロインっ、早く!」
黒髪の女が、ぐらぐらと揺れる床で必死にバランスを取りながらヒロインに向かって手を伸ばした。
ヒロインも倒れそうになりながら、女の方に真っすぐ手を差し出した。
自分に向けられることのなかったその手。
あのとき、寸でのところで届かなかったヒロインの手は、レノに向けて伸ばされることはない。
その様子を無感情に眺めていたレノは、すっと視線を逸らした。
ズズズッ――
支柱が上げる破滅的な悲鳴に混ざって聞こえてきたプロペラ音。
迎えが来たことを察したレノは、音のした方へと顔を向けた。
「行かせない!」
「レノっ!」
クラウドの声と、ヒロインの悲鳴が重なった。
数本の髪がひらひらと舞う。
それよりも遥かに鮮やかな赤が散った。
「レノっ!」
振り返った途端斬られたレノは、ゆっくりと自分の身体が手摺りを越えていくのを感じた。
最後にヒロインの声を聞き、レノは満足気に笑みを浮かべて目を閉じた。
泣き声が聞こえた。
もう、会えないと思っていた人の。
二度と悲しい思いはさせないと誓ったのに。
またお前に悲しい思いをさせているのは誰だ?
落下しながら伸ばされるヒロインの手。
その手は恐らく届かない。
あのときも、そうだったから。
静寂の世界で、レノはただぼんやりとヒロインの白い手を見ていた。
「レノ、お願い――」
あぁ、また泣いてる。
もう泣くな。
俺が守ってやるから。
ぎしぎしと今にも音を立てそうな程動きの鈍い自分の左腕。
壊れかけの螺旋巻き人形のような動きでレノはゆっくりと腕を上げ、声のした方に伸ばした。
「レノっ!」
伸ばした手はやっと恋い焦がれた人に届いた。
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黒髪の女が、ぐらぐらと揺れる床で必死にバランスを取りながらヒロインに向かって手を伸ばした。
ヒロインも倒れそうになりながら、女の方に真っすぐ手を差し出した。
自分に向けられることのなかったその手。
あのとき、寸でのところで届かなかったヒロインの手は、レノに向けて伸ばされることはない。
その様子を無感情に眺めていたレノは、すっと視線を逸らした。
ズズズッ――
支柱が上げる破滅的な悲鳴に混ざって聞こえてきたプロペラ音。
迎えが来たことを察したレノは、音のした方へと顔を向けた。
「行かせない!」
「レノっ!」
クラウドの声と、ヒロインの悲鳴が重なった。
数本の髪がひらひらと舞う。
それよりも遥かに鮮やかな赤が散った。
「レノっ!」
振り返った途端斬られたレノは、ゆっくりと自分の身体が手摺りを越えていくのを感じた。
最後にヒロインの声を聞き、レノは満足気に笑みを浮かべて目を閉じた。
泣き声が聞こえた。
もう、会えないと思っていた人の。
二度と悲しい思いはさせないと誓ったのに。
またお前に悲しい思いをさせているのは誰だ?
落下しながら伸ばされるヒロインの手。
その手は恐らく届かない。
あのときも、そうだったから。
静寂の世界で、レノはただぼんやりとヒロインの白い手を見ていた。
「レノ、お願い――」
あぁ、また泣いてる。
もう泣くな。
俺が守ってやるから。
ぎしぎしと今にも音を立てそうな程動きの鈍い自分の左腕。
壊れかけの螺旋巻き人形のような動きでレノはゆっくりと腕を上げ、声のした方に伸ばした。
「レノっ!」
伸ばした手はやっと恋い焦がれた人に届いた。
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