いつもヒロインが何も言わないから、大丈夫だと思っていた。

　でも、それは俺の甘えで――




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「ただいま、と」


　時刻は午前４時。
　今日も朝帰り。


　ヒロインを起こさないように、いつも通り小声で言う。

　返事は期待していない。
　何となく日課になっているだけだ。


　スーツを脱ぎながらリビングに向かう。

　あー、目の前が回ってやがる。
　さすがに飲み過ぎたか。

　風呂は朝入ろうとか、ヒロインを抱きたいとか。
　そんなことを考えていると。



「おかえり、レノ」



　寝室の方から聞こえたヒロインの声に驚く。


　空耳かと思ったが、寝室の前にヒロインが腕を組んで立っていた。

　いつもはお出迎えなしなのに、珍しいな。


　驚きはしたが、迎えてくれる人が待っててくれたのはうれしいもので。


「ただいま、ヒロイン」

　俺はヒロインに向かって微笑んだ。



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