「あっ…」

　予想外のレノの行動に、思わずヒロインは甘い声を洩らしてしまった。
　ぱっと煙草を持っていない方の手で口を押さえたが、時既に遅し。


　視界に、勝ち誇った顔をしたレノがいた。

「その気になってくれたかな、と」

　くくっと喉を鳴らして笑うレノ。
　その妖艶な笑みに、ヒロインはかぁっと体が熱くなるのを感じた。


　珍しく感情を現わにしたヒロインに、レノは目を丸くした。
　が、一瞬でその顔は苦痛に歪んだ。


　ヒロインが、レノの鳩尾に思い切り肘鉄を食らわしたのだった。

　鈍いうめき声と共に、レノはその場に崩れ落ちた。


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