「なぁ、ヒロインー」
「何？」
「今日ヒロインんち行「嫌」

　ヒロインに張りつき、猫撫で声を出していたレノは、子供の様に頬を膨らませた。


　ここは神羅カンパニー内にあるタークスのオフィス。
　当然他のメンバーもいるわけだが、レノはお構いなしにヒロインを後ろから抱き竦めた。

　他のメンバーは、いつものことと徹底無視を決め込んで、各々の仕事に没頭している。
　しかし、同じ部屋にいる以上、話し声は聞こえるわけで。


「なぁ、満足させてやるから」
　いつもより低く、艶めいた声で囁く。　
　ぶほっと、ツォンが飲んでいたコーヒーを吹き出した。
　慌ててイリーナが給湯室に雑巾を取りに走る。


　当のヒロインは、煙草に火を付け、一度深く吸った。
　そして、ゆっくりと吐き出した。

　全くの無視である。



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