旧拍手小説集
ヒロイン
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アナタとワタシはオトモダチ
「ヒロイン、仕事終わりだろ?飲みに行こうぜ」
任務から帰ってきてすぐだらしなくソファに寝転んだヒロインに声をかけると、閉じていた目がパチリと開いた。そして、怪訝そうに顔をしかめる。
「明日から休みでしょ?彼女誘っていったら?」
「そういう『特別なとき』に誘ったら、勘違いされるだろ」
「じゃあ何で私を誘うわけ?」
「オトモダチだからだぞ、と」
オレがにやりと笑うと、ヒロインは呆れた顔をした。
「今日はレノの奢り?」
「まさか」
理由もなく奢られるの嫌いだろ?
「じゃあ行く」
せっかくだから高い店に行こうとヒロインが言う。
普通逆だろうと思ったが、ヒロインはこういう奴だ。だから、一緒にいて疲れない。
店に入って軽食をつまみながら、酒の入ったグラスをゆっくりと傾ける。特に会話らしい会話もなかったが、ヒロインといるときはこの沈黙すら心地よい。
ふと顔を上げると、ヒロインがぼんやりとテーブルに置かれた琥珀色の酒が注がれたグラスを眺めていた。
「何だよ、疲れてんのか?」
「んー、いやぁ…年取ったなーって」
「は?」
オレは思わず素っ頓狂は声を上げ、ヒロインをまじまじと見た。そんなしみじみと言うほど、年を取ったようには見えないが。
「見た目じゃなくてさ、中身?疲れがとれないんだよねー、なかなか」
「そりゃいい男と寝てないからだろ」
冗談めかして言うと、ヒロインが目を細くして睨んできた。
「相変わらず失礼な…確かにご無沙汰ですけど」
「まじかよ。見る目ねぇ男どもだな」
ヒロインの見た目は悪くない。その辺の男よりは鍛えているから、多少逞しい部分はあるだろうが。
「前にさ、言われたの。タークスの女ってベッドで男絞め殺しそうだよな、って」
オレは思い切り吹き出した。それと同時にヒロインの鋭い視線が刺さる。
「さすがに下手くそでも絞め殺すわけないでしょ。後始末、面倒なのに」
ヒロインに男ができないのはそういうところだろうな、と思ったが、口には出さなかった。余計なことを言うとオレが絞め殺される。
「タークスの女はモテないのよ。それに比べて…ほら」
ヒロインが視線で自分の背後を示した。オレがそっちに視線を向けると、女性数人のグループと目が合った。気まぐれで笑ってみせると、彼女たちは恥ずかしそうに視線を外した。
「でも、別に男欲しいわけじゃないだろ?」
「そうなんだよねぇ…男できたらレノと飲みにも行けないし。あ、でも、マッサージしてくれる人はほしい!」
最近肩と腰が…後は首とか足とか…と、散々自分の身体の凝りをアピールし終わると、ヒロインがこちらを見てにこりと笑った。
「はいはい…」
「じゃ、ホテル行こっか」
ヒロインが伝票を持って先に立ち上がる。オレはいつものようにネットでホテルの予約をして、少し遅れて立ち上がった。
オレとヒロインは身体の関係があるオトモダチ。
それ以上は求めない気楽な関係。
幸い明日はお互い休み。
ベッドで過ごすにはちょうどいいし、相手も申し分ない。
「何回する?」
「その時の気分次第だぞ、と」
「じゃあ、最高記録作ろっか」
「疲れてんじゃねぇのかよ…」
「いい男と寝たら疲れ取れるんでしょ?ほら、頑張ろう!」
色気も何もあったもんじゃない言い方だが、そこがまたヒロインらしい。
「そっちこそ、途中で寝るなよ」
「それは約束できない」
そんな軽口を叩きながら、オレたちはいつものようにいつものホテルに向かったのだった。
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「ヒロイン、仕事終わりだろ?飲みに行こうぜ」
任務から帰ってきてすぐだらしなくソファに寝転んだヒロインに声をかけると、閉じていた目がパチリと開いた。そして、怪訝そうに顔をしかめる。
「明日から休みでしょ?彼女誘っていったら?」
「そういう『特別なとき』に誘ったら、勘違いされるだろ」
「じゃあ何で私を誘うわけ?」
「オトモダチだからだぞ、と」
オレがにやりと笑うと、ヒロインは呆れた顔をした。
「今日はレノの奢り?」
「まさか」
理由もなく奢られるの嫌いだろ?
「じゃあ行く」
せっかくだから高い店に行こうとヒロインが言う。
普通逆だろうと思ったが、ヒロインはこういう奴だ。だから、一緒にいて疲れない。
店に入って軽食をつまみながら、酒の入ったグラスをゆっくりと傾ける。特に会話らしい会話もなかったが、ヒロインといるときはこの沈黙すら心地よい。
ふと顔を上げると、ヒロインがぼんやりとテーブルに置かれた琥珀色の酒が注がれたグラスを眺めていた。
「何だよ、疲れてんのか?」
「んー、いやぁ…年取ったなーって」
「は?」
オレは思わず素っ頓狂は声を上げ、ヒロインをまじまじと見た。そんなしみじみと言うほど、年を取ったようには見えないが。
「見た目じゃなくてさ、中身?疲れがとれないんだよねー、なかなか」
「そりゃいい男と寝てないからだろ」
冗談めかして言うと、ヒロインが目を細くして睨んできた。
「相変わらず失礼な…確かにご無沙汰ですけど」
「まじかよ。見る目ねぇ男どもだな」
ヒロインの見た目は悪くない。その辺の男よりは鍛えているから、多少逞しい部分はあるだろうが。
「前にさ、言われたの。タークスの女ってベッドで男絞め殺しそうだよな、って」
オレは思い切り吹き出した。それと同時にヒロインの鋭い視線が刺さる。
「さすがに下手くそでも絞め殺すわけないでしょ。後始末、面倒なのに」
ヒロインに男ができないのはそういうところだろうな、と思ったが、口には出さなかった。余計なことを言うとオレが絞め殺される。
「タークスの女はモテないのよ。それに比べて…ほら」
ヒロインが視線で自分の背後を示した。オレがそっちに視線を向けると、女性数人のグループと目が合った。気まぐれで笑ってみせると、彼女たちは恥ずかしそうに視線を外した。
「でも、別に男欲しいわけじゃないだろ?」
「そうなんだよねぇ…男できたらレノと飲みにも行けないし。あ、でも、マッサージしてくれる人はほしい!」
最近肩と腰が…後は首とか足とか…と、散々自分の身体の凝りをアピールし終わると、ヒロインがこちらを見てにこりと笑った。
「はいはい…」
「じゃ、ホテル行こっか」
ヒロインが伝票を持って先に立ち上がる。オレはいつものようにネットでホテルの予約をして、少し遅れて立ち上がった。
オレとヒロインは身体の関係があるオトモダチ。
それ以上は求めない気楽な関係。
幸い明日はお互い休み。
ベッドで過ごすにはちょうどいいし、相手も申し分ない。
「何回する?」
「その時の気分次第だぞ、と」
「じゃあ、最高記録作ろっか」
「疲れてんじゃねぇのかよ…」
「いい男と寝たら疲れ取れるんでしょ?ほら、頑張ろう!」
色気も何もあったもんじゃない言い方だが、そこがまたヒロインらしい。
「そっちこそ、途中で寝るなよ」
「それは約束できない」
そんな軽口を叩きながら、オレたちはいつものようにいつものホテルに向かったのだった。
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