旧拍手小説集
ヒロイン
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スリルジャンキー
「車でヘリ撃墜するとかないわー」
昨日、家で映画を見ていたとき、そう言ってヒロインはオレの隣で楽しそうにケラケラと笑っていた。
そして翌日。
ヒロインはミッドガルハイウェイで、車を空にぶっ飛ばしてヘリを撃墜した。
「逃がすか!!」
イヤホンから聞こえるヒロインの声。
オレは先行するヒロインの車を追いながら、きっとヒロインは好戦的な笑みを浮かべているだろうと想像していた。
ヒロインはオレ以上に考えるより先に動くタイプで、無茶もいとわない。
悪い意味で頭のネジが緩んでいるのだ。
「おいおい、無茶するなよ、と」
運転はルードに任せ、助手席でふんぞり返りながらヒロインを軽く諌めておく。
あまり派手なことをすると、結果に関わらずツォンさんの雷が落ちるからだ。
どのみちこの先は工事中で道がない。
ヒロインはそろそろ減速するだろうと思っていた。
しかし、ヒロインは減速するどころか、車を加速し始めた。
「あいつ…何考えてんだ…?」
ルードが減速したのもあって、ヒロインの車との距離が開いていく。
そして、オレたち二人は目の前で起こったことを呆然と見守るしかなかった。
ヒロインの乗っていた車が、キャリアカーの坂になっていた荷台を駆け上がり、空に舞い上がった。
そしてその車は、まるでミサイルのように飛んでいき、見事追っていたヘリにぶち当たった。
まるで悪い夢でも見ているような光景に、思わず言葉を失った。
派手な花火が空に打ち上がり、その音でオレとルードは我に返った。
ヘリがハイウェイの端に落ちて燃え上がっているのすら、現実の光景とは思えなかった。
「そういや、あいつは…」
車が空を飛んで、ヘリを撃墜した。
じゃあ、車に乗っていたヒロインは?
まさか車と一緒に――
さすがにそこまで頭がイカれているとは思わないが、ヒロインの姿はどこにもなかった。
「車から飛び降りるのって意外と難しいなー」
もくもくと上がった煙が少し乱れた。
そこから間抜けなセリフとともに、ヒロインが現れた。
オレを見つけたヒロインは、満面の笑みを浮かべて言った。
「昨日の映画の真似してみたんだけど、やればできるもんだね!」
あー楽しかった!とヒロインが満足そうに言った。
ヒロインは「後ろから見ててどうだった?」だの「映画とどっちがイケてた?」だの、頭が痛くなるような問いかけを繰り返している。
「…もうアクション映画禁止な」
オレはヒロインの頭をくしゃくしゃに撫でた。
ヒロインは大いに不満を口にしていたが、頭のネジが緩むどころかぶっ飛んでいる奴に、わざわざ教材を提供するわけにはいかない。
「…映画のスタントとしてもやっていけそうだな」
ルードの余計な一言でヒロインは目を輝かせた。
オレはルードを軽く睨みつけた。
こいつの頭のネジを締めるにはどうしたらいいのか。
可愛いけれども手のかかるイカれたヒロインのことを考え、オレは大きく溜息をついた。
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「車でヘリ撃墜するとかないわー」
昨日、家で映画を見ていたとき、そう言ってヒロインはオレの隣で楽しそうにケラケラと笑っていた。
そして翌日。
ヒロインはミッドガルハイウェイで、車を空にぶっ飛ばしてヘリを撃墜した。
「逃がすか!!」
イヤホンから聞こえるヒロインの声。
オレは先行するヒロインの車を追いながら、きっとヒロインは好戦的な笑みを浮かべているだろうと想像していた。
ヒロインはオレ以上に考えるより先に動くタイプで、無茶もいとわない。
悪い意味で頭のネジが緩んでいるのだ。
「おいおい、無茶するなよ、と」
運転はルードに任せ、助手席でふんぞり返りながらヒロインを軽く諌めておく。
あまり派手なことをすると、結果に関わらずツォンさんの雷が落ちるからだ。
どのみちこの先は工事中で道がない。
ヒロインはそろそろ減速するだろうと思っていた。
しかし、ヒロインは減速するどころか、車を加速し始めた。
「あいつ…何考えてんだ…?」
ルードが減速したのもあって、ヒロインの車との距離が開いていく。
そして、オレたち二人は目の前で起こったことを呆然と見守るしかなかった。
ヒロインの乗っていた車が、キャリアカーの坂になっていた荷台を駆け上がり、空に舞い上がった。
そしてその車は、まるでミサイルのように飛んでいき、見事追っていたヘリにぶち当たった。
まるで悪い夢でも見ているような光景に、思わず言葉を失った。
派手な花火が空に打ち上がり、その音でオレとルードは我に返った。
ヘリがハイウェイの端に落ちて燃え上がっているのすら、現実の光景とは思えなかった。
「そういや、あいつは…」
車が空を飛んで、ヘリを撃墜した。
じゃあ、車に乗っていたヒロインは?
まさか車と一緒に――
さすがにそこまで頭がイカれているとは思わないが、ヒロインの姿はどこにもなかった。
「車から飛び降りるのって意外と難しいなー」
もくもくと上がった煙が少し乱れた。
そこから間抜けなセリフとともに、ヒロインが現れた。
オレを見つけたヒロインは、満面の笑みを浮かべて言った。
「昨日の映画の真似してみたんだけど、やればできるもんだね!」
あー楽しかった!とヒロインが満足そうに言った。
ヒロインは「後ろから見ててどうだった?」だの「映画とどっちがイケてた?」だの、頭が痛くなるような問いかけを繰り返している。
「…もうアクション映画禁止な」
オレはヒロインの頭をくしゃくしゃに撫でた。
ヒロインは大いに不満を口にしていたが、頭のネジが緩むどころかぶっ飛んでいる奴に、わざわざ教材を提供するわけにはいかない。
「…映画のスタントとしてもやっていけそうだな」
ルードの余計な一言でヒロインは目を輝かせた。
オレはルードを軽く睨みつけた。
こいつの頭のネジを締めるにはどうしたらいいのか。
可愛いけれども手のかかるイカれたヒロインのことを考え、オレは大きく溜息をついた。
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