旧拍手小説集
ヒロイン
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Usual Day
「ねぇ、ルード。何でレノあんな機嫌悪いの?」
長距離用輸送機の中で、私は隣に座るルードに小声で聞いた。
当のレノは少し離れた場所で、眉間にシワを寄せて目を閉じている。
いつもなら近くで他愛ない会話をしているというのに、今日はあからさまに話しかけるなというオーラを出していた。
「…彼女の浮気が原因で別れたらしい」
「まぁ、よくある話だね。うちら出張多いし」
そういう私も同じ経験をしている。
それが3回続いてやっと、恋人なんていらないという結論に達した。
仕事をしている時間は長いし、息抜きで恋人に会っても、仕事柄話せることは少ない。
痛みも苦しみも、この仕事をしていない人とは共有できない。
恋人がいても孤独、だったら必要ない。
私はそういう結論に達したけれど、レノは違う。
タークス以外に癒やしを求めている。
それもわかる。
殺伐とした世界で生きていれば、そんな世界にいない人を愛したい気持ちも生まれる。
レノは寂しがり屋だから。
本人は絶対に認めないけれど。
「仕方ない、慰めてやるか」
私はベルト着用のサインが外れたのを見て、座席から立ち上がった。
レノの隣に腰を下ろすと、小さな舌打ちが聞こえた。
「鬱陶しい、こっちくんな」
レノの心の声を代弁すると、レノは眉間にしわを寄せた。
その目は、わかっているなら来るなと言っている。
レノが不機嫌な様子を見せるのは、私やルードに甘えているからだ。
心を許しているから、本音を見せる。
私はレノの恋人にはなれないけれど、頼れる同僚になることはできる。
「辛いことも口に出したら、案外軽くなるかもよ」
「お前、いっつもそればっか」
「でも、効いてるでしょ」
「まぁ、そうだな」
レノの眉間のしわは取れ、わずかに口元に笑みが浮かんだ。
「で、今回は何で浮気発覚したの?」
「…サプライズで彼女んち行ったら、知らねえ男とヤッてたんだぞ、と」
想像していた以上にヘヴィだった。
思わず言葉に詰まる。
「お前、聞いた方が深刻な顔すんのやめろよ」
レノは呆れたような顔をした後、ぷっと吹き出した。
「その顔見てたら、なんかどうでもよくなってきたぞ、と。ありがとな」
「…褒めてるの、それ」
「さぁな」
なんだかすっきりとはしないが、レノが元気になったならいいか。
「なぁ、ヒロイン。今度は言葉じゃなくて身体で慰めてくれよ」
いつものようにレノがニヤニヤと笑いながら軽口を叩く。
だから、私もいつものように妖艶な笑みを浮かべてレノを誘う。
「今度じゃなくて、ここでもいいけど?」
「…お前たち、発情するなら俺のいないところでやれ」
そして、いつものようにルードが突っ込む。
私とレノは顔を見合わせ、声を上げて笑った。
「さて、一仕事といきますか!」
「残業はなしだぞ、と」
私とレノ、ルードは拳を突き合わせ、着陸した輸送機から降りた。
太陽は今日も眩しい。
私は先を歩く二人の背中を見ながら、ずっとこんな日が続けばいいのにと願った。
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「ねぇ、ルード。何でレノあんな機嫌悪いの?」
長距離用輸送機の中で、私は隣に座るルードに小声で聞いた。
当のレノは少し離れた場所で、眉間にシワを寄せて目を閉じている。
いつもなら近くで他愛ない会話をしているというのに、今日はあからさまに話しかけるなというオーラを出していた。
「…彼女の浮気が原因で別れたらしい」
「まぁ、よくある話だね。うちら出張多いし」
そういう私も同じ経験をしている。
それが3回続いてやっと、恋人なんていらないという結論に達した。
仕事をしている時間は長いし、息抜きで恋人に会っても、仕事柄話せることは少ない。
痛みも苦しみも、この仕事をしていない人とは共有できない。
恋人がいても孤独、だったら必要ない。
私はそういう結論に達したけれど、レノは違う。
タークス以外に癒やしを求めている。
それもわかる。
殺伐とした世界で生きていれば、そんな世界にいない人を愛したい気持ちも生まれる。
レノは寂しがり屋だから。
本人は絶対に認めないけれど。
「仕方ない、慰めてやるか」
私はベルト着用のサインが外れたのを見て、座席から立ち上がった。
レノの隣に腰を下ろすと、小さな舌打ちが聞こえた。
「鬱陶しい、こっちくんな」
レノの心の声を代弁すると、レノは眉間にしわを寄せた。
その目は、わかっているなら来るなと言っている。
レノが不機嫌な様子を見せるのは、私やルードに甘えているからだ。
心を許しているから、本音を見せる。
私はレノの恋人にはなれないけれど、頼れる同僚になることはできる。
「辛いことも口に出したら、案外軽くなるかもよ」
「お前、いっつもそればっか」
「でも、効いてるでしょ」
「まぁ、そうだな」
レノの眉間のしわは取れ、わずかに口元に笑みが浮かんだ。
「で、今回は何で浮気発覚したの?」
「…サプライズで彼女んち行ったら、知らねえ男とヤッてたんだぞ、と」
想像していた以上にヘヴィだった。
思わず言葉に詰まる。
「お前、聞いた方が深刻な顔すんのやめろよ」
レノは呆れたような顔をした後、ぷっと吹き出した。
「その顔見てたら、なんかどうでもよくなってきたぞ、と。ありがとな」
「…褒めてるの、それ」
「さぁな」
なんだかすっきりとはしないが、レノが元気になったならいいか。
「なぁ、ヒロイン。今度は言葉じゃなくて身体で慰めてくれよ」
いつものようにレノがニヤニヤと笑いながら軽口を叩く。
だから、私もいつものように妖艶な笑みを浮かべてレノを誘う。
「今度じゃなくて、ここでもいいけど?」
「…お前たち、発情するなら俺のいないところでやれ」
そして、いつものようにルードが突っ込む。
私とレノは顔を見合わせ、声を上げて笑った。
「さて、一仕事といきますか!」
「残業はなしだぞ、と」
私とレノ、ルードは拳を突き合わせ、着陸した輸送機から降りた。
太陽は今日も眩しい。
私は先を歩く二人の背中を見ながら、ずっとこんな日が続けばいいのにと願った。
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