旧拍手小説集
ヒロイン
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聖夜の願い事2
クリスマス当日、ミッドガルは雪だった。
レノと一緒の任務というだけで憂鬱なのに、更に天気まで悪いとはついていない。
寒空の下、私はレノが集合場所に来るのを待った。
またいつものように遅れてくるのだろうと思ったが、レノにしては珍しく集合時間の5分前にやってきた。
「さっさと終わらせて帰ろう」
私はレノを一瞥だけして、本日の任務に取り掛かった。
今日の任務は不穏分子の鎮圧だったが、油断していたのか閃光弾一発で片がついた。
二人で手早く対象を拘束し、神羅兵に引き渡して任務は完了となった。
「じゃあ、私帰るね」
現地解散だと言うと、レノが唇を尖らせた。
「せっかく早く終わったんだし、二人で遊びに行こうぜ」
「セフレと遊びに行けばいいでしょ。何で私が――」
「いいから、少し付き合ってくれよ、と」
レノは私の手をとり、やや強引に引いた。
珍しく真剣な顔をしていたので、私は仕方なくレノに付き合うことにした。
抵抗するのは止めたにも関わらず、レノは私の手を離さない。
まるで恋人同士のように私たちは手を繋ぎ、並んでミッドガル中心部を歩いていた。
「どこに行くの?」
「もうすぐ着くぞ、と」
それから5分ほど歩くと、八番街駅前に着いた。
そこにあったのは、大きなクリスマスツリーだった。
「これって…」
「去年、見たかったって言ってただろ」
私はそれをレノに言った日のことを思い出していた。
あの日は今日と違って天気がよかった。
まだレノと付き合っていた私は、任務完了後にデートの約束をしていた。
八番街のツリーを一緒に見ようと。
でも、その日に限ってトラブルに見舞われ、結局二人でツリーを見ることはできなかった。
あぁ、そうだ。
このことがあったから、どこかに一緒に行く約束をしなくなったんだ。
デートの約束しても任務で流れてしまって、悲しい思いをする。
そうなるぐらいなら、初めからしなければいい。
気づけばセックスぐらいしかすることがなくなっていて、それもマンネリになって破綻した。
「よく、覚えてたね」
「そりゃ、初めてのデートの約束だったからな。1年越しになっちまったけど、一緒に見られてよかったぞ、と」
私は思わずレノの顔を見た。
レノは穏やかな表情でツリーを見上げていた。
急に切ない思いがこみ上げてきて、私はそれをごまかすように下を向いて目を瞬かせた。
「ま、もうオレと見ても、うれしくもなんともないかもしれねえけど」
「…そんなこと、ないよ。ありがとう」
私はレノの手を強く握った。
レノは黙って握り返してくれた。
しばらく二人でツリーを眺めたあと、私たちは手を繋いで二人で帰路についた。
一年越しの願い事、叶えてくれてありがとう。
愛しい赤毛のサンタさん。
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クリスマス当日、ミッドガルは雪だった。
レノと一緒の任務というだけで憂鬱なのに、更に天気まで悪いとはついていない。
寒空の下、私はレノが集合場所に来るのを待った。
またいつものように遅れてくるのだろうと思ったが、レノにしては珍しく集合時間の5分前にやってきた。
「さっさと終わらせて帰ろう」
私はレノを一瞥だけして、本日の任務に取り掛かった。
今日の任務は不穏分子の鎮圧だったが、油断していたのか閃光弾一発で片がついた。
二人で手早く対象を拘束し、神羅兵に引き渡して任務は完了となった。
「じゃあ、私帰るね」
現地解散だと言うと、レノが唇を尖らせた。
「せっかく早く終わったんだし、二人で遊びに行こうぜ」
「セフレと遊びに行けばいいでしょ。何で私が――」
「いいから、少し付き合ってくれよ、と」
レノは私の手をとり、やや強引に引いた。
珍しく真剣な顔をしていたので、私は仕方なくレノに付き合うことにした。
抵抗するのは止めたにも関わらず、レノは私の手を離さない。
まるで恋人同士のように私たちは手を繋ぎ、並んでミッドガル中心部を歩いていた。
「どこに行くの?」
「もうすぐ着くぞ、と」
それから5分ほど歩くと、八番街駅前に着いた。
そこにあったのは、大きなクリスマスツリーだった。
「これって…」
「去年、見たかったって言ってただろ」
私はそれをレノに言った日のことを思い出していた。
あの日は今日と違って天気がよかった。
まだレノと付き合っていた私は、任務完了後にデートの約束をしていた。
八番街のツリーを一緒に見ようと。
でも、その日に限ってトラブルに見舞われ、結局二人でツリーを見ることはできなかった。
あぁ、そうだ。
このことがあったから、どこかに一緒に行く約束をしなくなったんだ。
デートの約束しても任務で流れてしまって、悲しい思いをする。
そうなるぐらいなら、初めからしなければいい。
気づけばセックスぐらいしかすることがなくなっていて、それもマンネリになって破綻した。
「よく、覚えてたね」
「そりゃ、初めてのデートの約束だったからな。1年越しになっちまったけど、一緒に見られてよかったぞ、と」
私は思わずレノの顔を見た。
レノは穏やかな表情でツリーを見上げていた。
急に切ない思いがこみ上げてきて、私はそれをごまかすように下を向いて目を瞬かせた。
「ま、もうオレと見ても、うれしくもなんともないかもしれねえけど」
「…そんなこと、ないよ。ありがとう」
私はレノの手を強く握った。
レノは黙って握り返してくれた。
しばらく二人でツリーを眺めたあと、私たちは手を繋いで二人で帰路についた。
一年越しの願い事、叶えてくれてありがとう。
愛しい赤毛のサンタさん。
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