旧拍手小説集
ヒロイン
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スコープから見る世界
それはとても狭くて、だからこそよく見える。
見たいものも、見たくないものも。
仕事とはいえ、他の女とキスしてるところなんか見たくなかったな――
レノが囮になって、近づいてきたターゲットを私がライフルで撃つ。
いつもと同じ仕事。
なのに、何でこんなにイライラしているんだろう。
『準備はいいか?』
レノから通信が入る。
私は深く深呼吸し、問題ないと答えた。
スコープを通してターゲットを見る。
一瞬、視界の端にレノとキスをしていた女が入った。
心が揺れた。
ほんの僅かなブレは手に伝わり、頭を撃ち抜くはずの銃弾はターゲットの心臓の辺りに命中した。
運良く即死。
そう、運良く。
レノがこちらを見て、顔をしかめた。
先に帰社し、ライフルの手入れをしていた私のもとにレノがやってきた。
「今日のは危なかったぞ、と。調子悪いのか?」
「身体は、大丈夫」
レノが隣に腰を下ろした。
「なら心の問題か」
自然と私の手が止まった。
「他所の女と仲良くしてるオレ見て動揺したとか?」
レノは冗談めかして言ったが、それが今日の答えだった。
いついかなる時も冷静に。心を乱すな。
狙撃の教官からは、何度も言われていたことだったのに。
スナイパー失格だ。
狙撃で役に立たないなら、タークスに私の居場所はない。
だから、原因を取り除かなければならない。
「そうだ、って言ったらどうする?」
私はレノの目を真っ直ぐ見た。
振るなら、さっさと振ってほしい。
そしたら前の私に戻れるから。
「そりゃ――」
レノがにやりと笑った。
「うれしいに決まってるぞ、と」
「は?」
気づけば、隣りに座ったレノの顔が近づき、唇を奪われた。
長い長いキスのあと、レノが言った。
「ヒロイン、好きだぞ、と」
「…私も、レノのことが好き」
好きだと口に出すのは恥ずかしかったけど、引っかかっていたものが取れたように、すっと心が軽くなった。
この気持ちを持っていられたら、きっと大丈夫。
ありがとう、レノ。
.
それはとても狭くて、だからこそよく見える。
見たいものも、見たくないものも。
仕事とはいえ、他の女とキスしてるところなんか見たくなかったな――
レノが囮になって、近づいてきたターゲットを私がライフルで撃つ。
いつもと同じ仕事。
なのに、何でこんなにイライラしているんだろう。
『準備はいいか?』
レノから通信が入る。
私は深く深呼吸し、問題ないと答えた。
スコープを通してターゲットを見る。
一瞬、視界の端にレノとキスをしていた女が入った。
心が揺れた。
ほんの僅かなブレは手に伝わり、頭を撃ち抜くはずの銃弾はターゲットの心臓の辺りに命中した。
運良く即死。
そう、運良く。
レノがこちらを見て、顔をしかめた。
先に帰社し、ライフルの手入れをしていた私のもとにレノがやってきた。
「今日のは危なかったぞ、と。調子悪いのか?」
「身体は、大丈夫」
レノが隣に腰を下ろした。
「なら心の問題か」
自然と私の手が止まった。
「他所の女と仲良くしてるオレ見て動揺したとか?」
レノは冗談めかして言ったが、それが今日の答えだった。
いついかなる時も冷静に。心を乱すな。
狙撃の教官からは、何度も言われていたことだったのに。
スナイパー失格だ。
狙撃で役に立たないなら、タークスに私の居場所はない。
だから、原因を取り除かなければならない。
「そうだ、って言ったらどうする?」
私はレノの目を真っ直ぐ見た。
振るなら、さっさと振ってほしい。
そしたら前の私に戻れるから。
「そりゃ――」
レノがにやりと笑った。
「うれしいに決まってるぞ、と」
「は?」
気づけば、隣りに座ったレノの顔が近づき、唇を奪われた。
長い長いキスのあと、レノが言った。
「ヒロイン、好きだぞ、と」
「…私も、レノのことが好き」
好きだと口に出すのは恥ずかしかったけど、引っかかっていたものが取れたように、すっと心が軽くなった。
この気持ちを持っていられたら、きっと大丈夫。
ありがとう、レノ。
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