理想と現実
ヒロイン
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理想を言うならば、小柄で可愛くて胸がデカくて細身、そして少し抜けているような可愛げがある女を彼女にしたい。
しかし現実にそんな女がフリーでいるはずもない。今の彼女は頭がよく、切れ者で可愛げなどあるはずがなく、細身ではあるが小柄ではなくスタイルはまあまあといった、理想には及ばない女だ。
「出張?今日から?」
場所を尋ねると、どうやらジュノンまで行くらしい。オレは心の中で思わずガッツポーズをした。ジュノンならば、留守中に何をしていようと、ヒロインにバレることはないだろう。
「うれしい?私の出張」
いつもより低めの声でヒロインが言った。わずかに細くなった目が真っ直ぐオレの目に向けられる。今目を逸らしたならば、勘の鋭いヒロインはオレの企みに気づくかもしれない。そう思って意地でも逸らすかと、真っ直ぐヒロインの目を見返した。
「そんなことはないぞ、と」
そう言って、ヒロインの腰に腕を回し、その首筋に音を立ててキスをした。すると、ヒロインがそれに答えるように、オレの背にそっと触れた。
「嘘ばっかり」
見抜かれたのかと思い、オレはドキリとした。ヒロインの顔は見えなかったが、その声には確信がこもっていた。
「別れたいなら、そう言えばいいのに」
もし理想の女が現れたなら、それも選択肢の一つになるが、今は代わりの女はいない。だからまだ別れないのだ。
「レノは、悪者になりたくないから自分から別れたいって言わないだろうけど」
そう言うとヒロインは、ぱしっとオレの背中を叩いた。そして、オレから離れて少し寂しそうに笑った。
「ヒロインは、別れたいって思ってんのか?」
「まだレノのことを好きだから、今は思ってないよ」
『今は』か。もし、今オレが考えていることを知ったら、別れると言うだろうか。
「行ってくるね。帰りは2日後だから」
2日後なら、あまり自由になる時間はなさそうだ。それに少し落胆しつつも、オレはヒロインを送り出してからしばらくして家を出た。
ヒロインが出張に行ったその夜に遊びに行ったバーで、偶然にも理想そのものの一人の女に会った。小柄で可愛らしくて、柔らかな雰囲気の優しそうな女性だった。今日のこの偶然に感謝し、オレはその女を口説いてホテルで一夜を共にした。
彼女はスタイルもよく、セックスも積極的で、何もかも理想通りだった。
昨日、ヒロインから『自分から別れたいとは言わない』と言われたが、彼女がいるならヒロインとは別れてもいいかと思い始めた。それぐらい彼女は魅力的だった。
何度も身体を重ね、お互い楽しんだあと、そんなことを考えながらオレは眠りに落ちた。
――現場のジュノンでは…
――神羅カンパニー社員数名が犠牲になったと…
「えー…やば…」
翌朝、テレビの音と彼女の声で目が覚めた。彼女はベッドのヘッドボードに背を預け、起き上がってテレビを見ていた。
「あ、おはよ、レノ。ね、これやばくない?本物かな」
彼女に促されて見たテレビに映っていたのは、とある女性の首が掻き切られる瞬間だった。そこで映像は途切れたが、モザイクがかかっていても、その女性が誰かすぐわかった。
「ヒロイン…?」
これは悪い夢か?
もしこんなことがあったなら、すぐに連絡が来るはずだが、昨日携帯は一度も鳴っていない。レノは飛び起きると、自分の携帯を探した。
「なぁ、オレの携帯――」
「はい、どうぞ」
女が渡してきた携帯は電源が落とされていた。
「ゆっくりしたかったから、電源切っといたよ」
このバカ女が!
そうひたすら罵ってやりたかったが、その時間すら惜しく、オレは適当に身支度を整えてホテルを出た。
どうかこれが悪い夢であるようにと祈りながら。
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しかし現実にそんな女がフリーでいるはずもない。今の彼女は頭がよく、切れ者で可愛げなどあるはずがなく、細身ではあるが小柄ではなくスタイルはまあまあといった、理想には及ばない女だ。
「出張?今日から?」
場所を尋ねると、どうやらジュノンまで行くらしい。オレは心の中で思わずガッツポーズをした。ジュノンならば、留守中に何をしていようと、ヒロインにバレることはないだろう。
「うれしい?私の出張」
いつもより低めの声でヒロインが言った。わずかに細くなった目が真っ直ぐオレの目に向けられる。今目を逸らしたならば、勘の鋭いヒロインはオレの企みに気づくかもしれない。そう思って意地でも逸らすかと、真っ直ぐヒロインの目を見返した。
「そんなことはないぞ、と」
そう言って、ヒロインの腰に腕を回し、その首筋に音を立ててキスをした。すると、ヒロインがそれに答えるように、オレの背にそっと触れた。
「嘘ばっかり」
見抜かれたのかと思い、オレはドキリとした。ヒロインの顔は見えなかったが、その声には確信がこもっていた。
「別れたいなら、そう言えばいいのに」
もし理想の女が現れたなら、それも選択肢の一つになるが、今は代わりの女はいない。だからまだ別れないのだ。
「レノは、悪者になりたくないから自分から別れたいって言わないだろうけど」
そう言うとヒロインは、ぱしっとオレの背中を叩いた。そして、オレから離れて少し寂しそうに笑った。
「ヒロインは、別れたいって思ってんのか?」
「まだレノのことを好きだから、今は思ってないよ」
『今は』か。もし、今オレが考えていることを知ったら、別れると言うだろうか。
「行ってくるね。帰りは2日後だから」
2日後なら、あまり自由になる時間はなさそうだ。それに少し落胆しつつも、オレはヒロインを送り出してからしばらくして家を出た。
ヒロインが出張に行ったその夜に遊びに行ったバーで、偶然にも理想そのものの一人の女に会った。小柄で可愛らしくて、柔らかな雰囲気の優しそうな女性だった。今日のこの偶然に感謝し、オレはその女を口説いてホテルで一夜を共にした。
彼女はスタイルもよく、セックスも積極的で、何もかも理想通りだった。
昨日、ヒロインから『自分から別れたいとは言わない』と言われたが、彼女がいるならヒロインとは別れてもいいかと思い始めた。それぐらい彼女は魅力的だった。
何度も身体を重ね、お互い楽しんだあと、そんなことを考えながらオレは眠りに落ちた。
――現場のジュノンでは…
――神羅カンパニー社員数名が犠牲になったと…
「えー…やば…」
翌朝、テレビの音と彼女の声で目が覚めた。彼女はベッドのヘッドボードに背を預け、起き上がってテレビを見ていた。
「あ、おはよ、レノ。ね、これやばくない?本物かな」
彼女に促されて見たテレビに映っていたのは、とある女性の首が掻き切られる瞬間だった。そこで映像は途切れたが、モザイクがかかっていても、その女性が誰かすぐわかった。
「ヒロイン…?」
これは悪い夢か?
もしこんなことがあったなら、すぐに連絡が来るはずだが、昨日携帯は一度も鳴っていない。レノは飛び起きると、自分の携帯を探した。
「なぁ、オレの携帯――」
「はい、どうぞ」
女が渡してきた携帯は電源が落とされていた。
「ゆっくりしたかったから、電源切っといたよ」
このバカ女が!
そうひたすら罵ってやりたかったが、その時間すら惜しく、オレは適当に身支度を整えてホテルを出た。
どうかこれが悪い夢であるようにと祈りながら。
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