悩める彼女に愛の手を 5
ヒロイン
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胸元に走った痛みでヒロインは目を覚ました。近くで大声で喚いている男の声も聞こえる。内容は聞くに堪えない下品な話で、要約すると1時間経ってルーファウスが要求を飲まない場合はレイプされるとのことだった。その話と気絶する前のことを総合し、ヒロインは自分が人質になっているのだと理解した。
(困ったな…)
この男たちがどんな要求をしたかはわからないが、ルーファウスは恐らく要求を飲むだろう。迷惑をかけないように気をつけていたが、誘拐されるとは最悪中の最悪だった。
「社長ともなると、いい女抱けるんだな」
布越しではあったが、すぐ近くに男が来たのがわかった。首筋に男の荒い呼吸がかかり、悪寒を感じたヒロインは身体を震わせた。
「おっと、お目覚めか」
「んん!」
男の手が直に肌に触れた。鎖骨から胸元、腹部をゆっくりと撫でられ、気持ち悪さが駆け上がる。猿轡ではっきりと聞こえないことをいいことに、ヒロインは思い切り悪態をついた。
「なぁ、社長は彼女がレイプされたって知ったら、どんな顔するだろうなぁ」
どうやら男たちは、ヒロインの素性をはっきりとは知らないらしい。例のルーファウスに同行したパーティーの話をしていることから、そこで二人を見て勘違いしたのだろう。血縁者だと知られていないのは好都合だった。
(レイプだけは避けたいな…)
そうなったらルーファウスは悲しむし、何よりレノ以外の男には触れられるのも嫌だ。なんとかこの状況から抜け出さねばと、ヒロインは落ち着いて自分の状態を確認した。目元は布で目隠しされ、口には猿轡、そして後ろ手に縛られた状態だ。足も椅子に縛り付けられているが、こちらは緩く、靴さえ脱げばなんとかなりそうだった。
一応、護身術として拘束を抜け出す術もツォンから教えられているが、問題は拘束を抜け出した後だ。それを考えるためにも、まずは人数と敵戦力の確認が必要だった。
「んんー!」
ヒロインは男たちに注意をひくために、苦しそうな声を上げてみせた。すると、男が猿轡を外した。
「ごほっ…」
「おっと、騒ぐなよ。騒いだらどうなるかわかってるよな?」
思わず「知るか!」と言いそうになったが、ヒロインはぐっと苛立ちを堪えて殊勝な態度で頷いてみせた。
「あの、お願いが…手が痛くて、少し緩めてもらえませんか?」
か弱く、おとなしい女性を装い、ヒロインはわざと声を震わせた。さらにしゃくりあげてみる。涙は残念なことに出なかった。
何かを相談するような気配の後、一人の男が舌打ちをして、ヒロインの手と足の拘束を外した。
「…ありがとうございます」
卑劣な男に礼を言うなど、反吐が出そうだ。今すぐにでも蹴り飛ばしたいところだったが、ヒロインは怒りをぐっと抑えた。
「ほら、こっちこいよ」
急に腕を引かれて立ち上がらされたヒロインは思わずよろめいた。目隠しで前が見えないせいで何度も躓き、そのたびに手を引く男は舌打ちをした。
しばらく歩くと、男が突然ヒロインの背中を思い切り押した。その場に踏みとどまることができず、しかも予期していなかったため受け身を取ることもできず、ヒロインは地面にぶつかるのを覚悟して、ぎゅっと目をつむった。が、固いものにぶつかる衝撃はこなかった。何か柔らかいものがヒロインの身体を受け止めた。
「その格好、エロいな」
「いやっ」
うつ伏せの状態で上から男にのしかかられた上に、身体を撫で回されたヒロインは思わず悲鳴を上げた。忘れかけていた嫌な記憶が蘇る。次に来るのは身体を割くような痛み――
ヒロインは強く拳を握りしめた。
「やめろって――言ってるだろーが!!」
ヒロインは思い切り踵を蹴り上げた。高く細いヒールが男の股間を力任せに引っ掻き、更にはつま先でモノを押しつぶす形になり、男は断末魔のような悲鳴を上げ、その場でのたうち回った。
大人しく様子を伺うつもりだったが、それはもうできそうもなかった。男の悲鳴を聞きつけ、足音がこちらに近づいてきていた。ヒロインは目隠しを取り、思わず目を細めた。暗闇に慣れてしまった目にはきつかったが、明るさに慣れる時間はない。なんとか立ち上がると、足音とは逆の方向に走った。
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(困ったな…)
この男たちがどんな要求をしたかはわからないが、ルーファウスは恐らく要求を飲むだろう。迷惑をかけないように気をつけていたが、誘拐されるとは最悪中の最悪だった。
「社長ともなると、いい女抱けるんだな」
布越しではあったが、すぐ近くに男が来たのがわかった。首筋に男の荒い呼吸がかかり、悪寒を感じたヒロインは身体を震わせた。
「おっと、お目覚めか」
「んん!」
男の手が直に肌に触れた。鎖骨から胸元、腹部をゆっくりと撫でられ、気持ち悪さが駆け上がる。猿轡ではっきりと聞こえないことをいいことに、ヒロインは思い切り悪態をついた。
「なぁ、社長は彼女がレイプされたって知ったら、どんな顔するだろうなぁ」
どうやら男たちは、ヒロインの素性をはっきりとは知らないらしい。例のルーファウスに同行したパーティーの話をしていることから、そこで二人を見て勘違いしたのだろう。血縁者だと知られていないのは好都合だった。
(レイプだけは避けたいな…)
そうなったらルーファウスは悲しむし、何よりレノ以外の男には触れられるのも嫌だ。なんとかこの状況から抜け出さねばと、ヒロインは落ち着いて自分の状態を確認した。目元は布で目隠しされ、口には猿轡、そして後ろ手に縛られた状態だ。足も椅子に縛り付けられているが、こちらは緩く、靴さえ脱げばなんとかなりそうだった。
一応、護身術として拘束を抜け出す術もツォンから教えられているが、問題は拘束を抜け出した後だ。それを考えるためにも、まずは人数と敵戦力の確認が必要だった。
「んんー!」
ヒロインは男たちに注意をひくために、苦しそうな声を上げてみせた。すると、男が猿轡を外した。
「ごほっ…」
「おっと、騒ぐなよ。騒いだらどうなるかわかってるよな?」
思わず「知るか!」と言いそうになったが、ヒロインはぐっと苛立ちを堪えて殊勝な態度で頷いてみせた。
「あの、お願いが…手が痛くて、少し緩めてもらえませんか?」
か弱く、おとなしい女性を装い、ヒロインはわざと声を震わせた。さらにしゃくりあげてみる。涙は残念なことに出なかった。
何かを相談するような気配の後、一人の男が舌打ちをして、ヒロインの手と足の拘束を外した。
「…ありがとうございます」
卑劣な男に礼を言うなど、反吐が出そうだ。今すぐにでも蹴り飛ばしたいところだったが、ヒロインは怒りをぐっと抑えた。
「ほら、こっちこいよ」
急に腕を引かれて立ち上がらされたヒロインは思わずよろめいた。目隠しで前が見えないせいで何度も躓き、そのたびに手を引く男は舌打ちをした。
しばらく歩くと、男が突然ヒロインの背中を思い切り押した。その場に踏みとどまることができず、しかも予期していなかったため受け身を取ることもできず、ヒロインは地面にぶつかるのを覚悟して、ぎゅっと目をつむった。が、固いものにぶつかる衝撃はこなかった。何か柔らかいものがヒロインの身体を受け止めた。
「その格好、エロいな」
「いやっ」
うつ伏せの状態で上から男にのしかかられた上に、身体を撫で回されたヒロインは思わず悲鳴を上げた。忘れかけていた嫌な記憶が蘇る。次に来るのは身体を割くような痛み――
ヒロインは強く拳を握りしめた。
「やめろって――言ってるだろーが!!」
ヒロインは思い切り踵を蹴り上げた。高く細いヒールが男の股間を力任せに引っ掻き、更にはつま先でモノを押しつぶす形になり、男は断末魔のような悲鳴を上げ、その場でのたうち回った。
大人しく様子を伺うつもりだったが、それはもうできそうもなかった。男の悲鳴を聞きつけ、足音がこちらに近づいてきていた。ヒロインは目隠しを取り、思わず目を細めた。暗闇に慣れてしまった目にはきつかったが、明るさに慣れる時間はない。なんとか立ち上がると、足音とは逆の方向に走った。
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