旧拍手小説集
ヒロイン
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鏡写しの二人
誰にでもどこででも愛の言葉を吐く軽薄な男。
特にベッドの上のは最悪だ。
そのときその気にさせるだけ。
お互い気持ちのいいセックスをしたいだろ?
そう言ってあいつは笑ってキスをする。
ねえ、終わったあと、そこには何か残るの?
私の個人オフィスにノック無しで一人の男が入ってくる。
名前はレノ。総務部調査課所属。
レノは入ってくるなり、私を背後から抱き締めた。首筋に顔をうずめ、大きな溜息をつく。
「また振られた?」
「…違うぞ、と。オレが振った」
じゃあどうして、そんな泣きそうな顔で入ってきたの?
寂しいくせに。悲しいくせに。
「ちゃんとありのままを愛してくれる人、探しなよ」
愛想がよくて調子がいい遊び人の男ぶって、本当の自分から相手を遠ざける。
上辺の関係だけ構築しては、すぐにダメにする。その繰り返し。
本当は、誰よりも寂しがり屋なのにね。
「…お前は、見つかったのかよ」
レノの視線が横から突き刺さる。
「…まだ」
知ってるくせに。
他に、全てを曝け出せる人はいないって。
「じゃあ、今日も付き合えよ、と」
レノが軽く私の首筋を吸う。
そうやってまた、私の前でも遊び人の男を演じる。
だから、私も軽い女を演じるの。
「あとから部屋に行く」
そう言って、私はいつものようにレノに口づける。欲を煽るように、深く深く。
私たちはこれでいい。
寂しい心を一瞬の快楽で騙して、満足したと嘘の笑顔で言う。
そしてまた、苦しくなったら互いを求めて誤魔化せばいい。
その繰り返しが楽でいい。
あなたも私も、素直じゃないもの。
だから、これでいい。
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誰にでもどこででも愛の言葉を吐く軽薄な男。
特にベッドの上のは最悪だ。
そのときその気にさせるだけ。
お互い気持ちのいいセックスをしたいだろ?
そう言ってあいつは笑ってキスをする。
ねえ、終わったあと、そこには何か残るの?
私の個人オフィスにノック無しで一人の男が入ってくる。
名前はレノ。総務部調査課所属。
レノは入ってくるなり、私を背後から抱き締めた。首筋に顔をうずめ、大きな溜息をつく。
「また振られた?」
「…違うぞ、と。オレが振った」
じゃあどうして、そんな泣きそうな顔で入ってきたの?
寂しいくせに。悲しいくせに。
「ちゃんとありのままを愛してくれる人、探しなよ」
愛想がよくて調子がいい遊び人の男ぶって、本当の自分から相手を遠ざける。
上辺の関係だけ構築しては、すぐにダメにする。その繰り返し。
本当は、誰よりも寂しがり屋なのにね。
「…お前は、見つかったのかよ」
レノの視線が横から突き刺さる。
「…まだ」
知ってるくせに。
他に、全てを曝け出せる人はいないって。
「じゃあ、今日も付き合えよ、と」
レノが軽く私の首筋を吸う。
そうやってまた、私の前でも遊び人の男を演じる。
だから、私も軽い女を演じるの。
「あとから部屋に行く」
そう言って、私はいつものようにレノに口づける。欲を煽るように、深く深く。
私たちはこれでいい。
寂しい心を一瞬の快楽で騙して、満足したと嘘の笑顔で言う。
そしてまた、苦しくなったら互いを求めて誤魔化せばいい。
その繰り返しが楽でいい。
あなたも私も、素直じゃないもの。
だから、これでいい。
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