旧拍手小説集
ヒロイン
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サヨウナラ、ハジメマシテ in Summer
今では男(男装)の元カノヒロインとの月イチ恒例の飲み会。
いつもの店に行くと、ヒロインは不機嫌な様子で座っていた。
いつもと違うのは、ヒロインがちゃんと女の格好をしていたことだ。
ノースリーブのシャツの胸元からは、胸の谷間がしっかり見える。
「見てんじゃね―よ」
男口調なのは変わらずか。
「女に戻る気になったのか?」
「ちげーよ。暑いんだよ、ボディスーツ。お前、一回着てみろよ。夏にラバー素材のスーツ」
あぁ、なるほど。
それだけ立派な胸があるなら、さらにスーツの中は蒸れることだろう。
「おかげで、用心棒も暗殺業も休業中だ」
ヒロインが肩を竦めた。
スラムの死者数がここ最近少ないのはそういう理由か。
つーか、こいつ一人で何人殺してんだよ。
「いい機会だし、男装やめたらいいだろ」
「やめたら舐められるだろうが」
ヒロインの言い分はもっともで、一人でスラムで楽に生きていくなら、女より男のほうがいい。
特に、ヒロインのように男の目を引く身体を持っていると、四六時中襲われることを警戒しなければならない。
「レノ、今日は家まで送ってくれよ。ここ来るまでに、5人ぐらいぶん殴る羽目になった」
帰り道、ヒロインはいつも以上に酔っ払った様子で、鼻歌を歌いながら数歩先をふらふらと歩いている。
ヒロインの好きだった歌。
昔もよく口ずさんでいたな。
「ねぇ、レノ。今日は、このまま帰るの?」
どきっとした。
酔っ払っているせいか、女性の口調に戻っている。
「帰っていいのか?」
「だめ」
ヒロインがオレの手を引く。
オレは誘われるまま、彼女を抱いた。
昔から何も変わらない。
敏感な箇所も、喘ぎ声も、その煽情的な視線も。
変わったのは、片目がなくなったことだけ。
行為を終えて、抱き合ったまま微睡んでいると、ヒロインが言った。
「たまにはこうやって、私のこと抱いて?」
「あぁ」
いつか、ヒロインがヒロインのまま、らしく生きていける日が来ますように。
ヒロインの寂しそうな目を見て、そう願わずにはいられなかった。
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今では男(男装)の元カノヒロインとの月イチ恒例の飲み会。
いつもの店に行くと、ヒロインは不機嫌な様子で座っていた。
いつもと違うのは、ヒロインがちゃんと女の格好をしていたことだ。
ノースリーブのシャツの胸元からは、胸の谷間がしっかり見える。
「見てんじゃね―よ」
男口調なのは変わらずか。
「女に戻る気になったのか?」
「ちげーよ。暑いんだよ、ボディスーツ。お前、一回着てみろよ。夏にラバー素材のスーツ」
あぁ、なるほど。
それだけ立派な胸があるなら、さらにスーツの中は蒸れることだろう。
「おかげで、用心棒も暗殺業も休業中だ」
ヒロインが肩を竦めた。
スラムの死者数がここ最近少ないのはそういう理由か。
つーか、こいつ一人で何人殺してんだよ。
「いい機会だし、男装やめたらいいだろ」
「やめたら舐められるだろうが」
ヒロインの言い分はもっともで、一人でスラムで楽に生きていくなら、女より男のほうがいい。
特に、ヒロインのように男の目を引く身体を持っていると、四六時中襲われることを警戒しなければならない。
「レノ、今日は家まで送ってくれよ。ここ来るまでに、5人ぐらいぶん殴る羽目になった」
帰り道、ヒロインはいつも以上に酔っ払った様子で、鼻歌を歌いながら数歩先をふらふらと歩いている。
ヒロインの好きだった歌。
昔もよく口ずさんでいたな。
「ねぇ、レノ。今日は、このまま帰るの?」
どきっとした。
酔っ払っているせいか、女性の口調に戻っている。
「帰っていいのか?」
「だめ」
ヒロインがオレの手を引く。
オレは誘われるまま、彼女を抱いた。
昔から何も変わらない。
敏感な箇所も、喘ぎ声も、その煽情的な視線も。
変わったのは、片目がなくなったことだけ。
行為を終えて、抱き合ったまま微睡んでいると、ヒロインが言った。
「たまにはこうやって、私のこと抱いて?」
「あぁ」
いつか、ヒロインがヒロインのまま、らしく生きていける日が来ますように。
ヒロインの寂しそうな目を見て、そう願わずにはいられなかった。
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