担当は金曜日
ヒロイン
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Friday 21:15
「だから嫌だったんだよ、あの人に連絡するの」
オフィスで同僚が頭を抱えて机に突っ伏していた。
もう一人、後輩が同僚を慰めている。
「仕方ないですよ。あの人にさっさと直してもらって、デート行きましょうよ」
あの人、とは自分のことだろうと、ヒロインは思った。
告げた時間よりも早く着いたが、まさかこんな言われようとは。
近づいて、一言文句を言ってやろう。
ただそれは実行されなかった。
その後続けられた言葉は、ひどく鋭利だった。
「あんなんだから、レノさんも他に女作るんだよ。金曜しか会ってもらえないくせに、偉そうに」
「え、なにそれー!うける!てか、今日金曜日じゃん、うわー、今日しか会えないのに、最悪!!」
怒り?悲しみ?
身体がひどく震えた。
人に頼っておいて文句ばかり言う同僚も、人を馬鹿にして笑う後輩も、どちらも最低だ。
ヒロインは大股で二人の方に行くと、冷たい目で二人を見下ろした。
「サーバ止めて泣きついてきたのはどこの誰?そんなに私に頼るのが嫌なら、自分たちでやってくれて構わないけど?」
できないくせに。
すっと目を細めて睨むと、二人は俯いて黙り込んだ。
「相手をこき下ろすなら、自分のケツ拭ける大人になってからにしな」
言いたいことを言ってすっきりしたヒロインは、今度はにこりと笑って、同僚に状況説明を促した。
Saturday 5:30
ちらちらとこちらの機嫌を伺うだけで、一つも役に立たなかった二人は終電前に帰宅させた。
帰れと言ったときに一瞬浮かんだ笑みを思い出すと腹が立つ。
ヒロインは一人で報告と対処を行い、今ようやく作業を終えたところだった。
地下のサーバルームから出て、地上のオフィスに戻ると、ブラインドの隙間から差す朝日が眩しかった。
「結局徹夜か…」
ヒロインは鞄に入れていた携帯を取り出した。
着信も、メッセージも何もなし。
――あんなんだから、レノさんも他に女作るんだよ。
(つまり、そういうこと、だよね…)
ヒロインは机に突っ伏して、声を押し殺して泣いた。
徹夜の疲れと昨日の出来事のせいで、止めたくても止まらない涙が腹立たしい。
こんな状況を作った同僚と後輩、こんな思いをさせているレノも――
「みんなだいっきらい!!」
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