すれ違い、片思い。
ヒロイン
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「レノ、助けてくれてありがとう。それに、こんな遅くまで…彼女に怒られない?せっかくの休日なのに…」
「ん?」
彼女とは、誰のことを言っているのか。
「え、だって今朝…」
ヒロインの顔が少し赤くなった。
『今朝』と言われ、レノは誰のことを指しているのか察した。
(見られてたのか…!)
よりにもよって、一番見られたくない人に。
「あー、いや、あいつは、彼女じゃないぞ、と」
レノはしどろもどろでヒロインに言い訳をした。
「え、そう、なの?」
「ヒロインこそ、あいつと付き合ってたんじゃないのか?昨日、オフィスの前で…」
「え、見られてたの!?」
ヒロインが今度は顔を真っ赤にし、両手で頬を押さえた。
今まで見たことのない可愛らしい仕草に、レノはドキッとした。
「あの、あれは違うの。断ろうとして、無理矢理…それで今日、あんなことになって…」
先程感じた疑問に合点がいった。
(ということは…)
レノはちらりとヒロインを見た。
うつむき加減ではあったが、ヒロインは耳まで真っ赤にしている。
緊張しているのか、少しせわしなく胸が上下していた。
一方レノも、ガラにもなく緊張していた。
想いを伝えるなら、今しかない。
「レノ、私…レノのことが好きなの!」
「ヒロイン、オレ…ヒロインのこと、好きなんだぞ、と」
「「え?」」
互いにぽかんとして、相手の顔を見た。
目の前にいるヒロインの顔は先程よりずっと赤かった。
きっと、自分も同じような色になっているのだろうとレノは思った。
そして、互いに顔を見合わせて笑った。
「うれしい」
ヒロインがにこりと笑った。
その顔がたまらなく愛おしく、レノはヒロインに一歩近づくと頬に手を添え、その唇に軽くキスをした。
ヒロインは少し驚いた表情をしていたが、拒みはしなかった。
ヒロインの腕が腰に回され、二人の距離がぐっと近づいた。
「どうしよう…正夢になっちゃった…」
「ん?」
「キス」
お昼に夢を見たの、とヒロインが言った。
レノはもう一度、ヒロインにキスをした。
「あんたたち!いちゃつくなら家帰れ!」
突然、医務室の扉が音を立てて開け放たれた。
そこには、鬼の形相をした医師が腰に手を当てて立っていた。
「レノ、彼女怪我してるんだから、今日はヤるんじゃないよ!」
「!!」
ヒロインが口をパクパクさせている。
「あーはいはい。ヒロイン、帰ろうぜ」
レノは嫌な顔をしながら、医師に手を振り、ヒロインを抱き上げた。
「ヒロイン、靴どこやったんだ?」
「たぶん、資料室…」
医師の忠告などどこ吹く風。
レノは資料室なら人気がないな、などと不届きなことを考えた。
「レノ、会社でするなよ!」
レノの考えなどお見通しだと言わんばかりの表情で医師が言う。
ここにいてはやられる一方だ。
レノは生返事をして足早に医務室から離れた。
「資料室はダメだからね、レノ」
腕に抱くヒロインにも釘を刺され、レノは苦笑した。
「じゃあ、ヒロインんちかオレんちだな。どっちがいい?」
「…レノのうち」
「了解、と」
医師の忠告に従い、今日は優しくヒロインを抱こうと決意したレノだった。
END
2020/09/28
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「ん?」
彼女とは、誰のことを言っているのか。
「え、だって今朝…」
ヒロインの顔が少し赤くなった。
『今朝』と言われ、レノは誰のことを指しているのか察した。
(見られてたのか…!)
よりにもよって、一番見られたくない人に。
「あー、いや、あいつは、彼女じゃないぞ、と」
レノはしどろもどろでヒロインに言い訳をした。
「え、そう、なの?」
「ヒロインこそ、あいつと付き合ってたんじゃないのか?昨日、オフィスの前で…」
「え、見られてたの!?」
ヒロインが今度は顔を真っ赤にし、両手で頬を押さえた。
今まで見たことのない可愛らしい仕草に、レノはドキッとした。
「あの、あれは違うの。断ろうとして、無理矢理…それで今日、あんなことになって…」
先程感じた疑問に合点がいった。
(ということは…)
レノはちらりとヒロインを見た。
うつむき加減ではあったが、ヒロインは耳まで真っ赤にしている。
緊張しているのか、少しせわしなく胸が上下していた。
一方レノも、ガラにもなく緊張していた。
想いを伝えるなら、今しかない。
「レノ、私…レノのことが好きなの!」
「ヒロイン、オレ…ヒロインのこと、好きなんだぞ、と」
「「え?」」
互いにぽかんとして、相手の顔を見た。
目の前にいるヒロインの顔は先程よりずっと赤かった。
きっと、自分も同じような色になっているのだろうとレノは思った。
そして、互いに顔を見合わせて笑った。
「うれしい」
ヒロインがにこりと笑った。
その顔がたまらなく愛おしく、レノはヒロインに一歩近づくと頬に手を添え、その唇に軽くキスをした。
ヒロインは少し驚いた表情をしていたが、拒みはしなかった。
ヒロインの腕が腰に回され、二人の距離がぐっと近づいた。
「どうしよう…正夢になっちゃった…」
「ん?」
「キス」
お昼に夢を見たの、とヒロインが言った。
レノはもう一度、ヒロインにキスをした。
「あんたたち!いちゃつくなら家帰れ!」
突然、医務室の扉が音を立てて開け放たれた。
そこには、鬼の形相をした医師が腰に手を当てて立っていた。
「レノ、彼女怪我してるんだから、今日はヤるんじゃないよ!」
「!!」
ヒロインが口をパクパクさせている。
「あーはいはい。ヒロイン、帰ろうぜ」
レノは嫌な顔をしながら、医師に手を振り、ヒロインを抱き上げた。
「ヒロイン、靴どこやったんだ?」
「たぶん、資料室…」
医師の忠告などどこ吹く風。
レノは資料室なら人気がないな、などと不届きなことを考えた。
「レノ、会社でするなよ!」
レノの考えなどお見通しだと言わんばかりの表情で医師が言う。
ここにいてはやられる一方だ。
レノは生返事をして足早に医務室から離れた。
「資料室はダメだからね、レノ」
腕に抱くヒロインにも釘を刺され、レノは苦笑した。
「じゃあ、ヒロインんちかオレんちだな。どっちがいい?」
「…レノのうち」
「了解、と」
医師の忠告に従い、今日は優しくヒロインを抱こうと決意したレノだった。
END
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