すれ違い、片思い。
ヒロイン
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一人がいいと思ってた。
ただただ静かに過ごしたかった。
そんな私の安息の場所に、レノが突然やってきた。
初めは腹が立ったし、誰かがここにいるのが嫌だった。
それが、いつしか二人で過ごす時間がうれしくて、会いたいと思うようになるなんて。
浅い眠りと覚醒を繰り返し、気づけば朝になっていた。
カーテンの隙間から差し込む朝日から目を背け、ヒロインは寝返りを打った。
突然の同僚からの告白とキス。
それを思い出し、ヒロインは乱暴に手の甲で唇を拭った。
昨日、どう当たり障りなく断ろうかと返答に窮していると、同僚は強引にヒロインを抱きしめ、キスをしてきた。
突然のことに動けなくなっていると、同僚は無理矢理舌を入れようとしてきた。生温かい感触に吐き気を覚え、ヒロインはあらん限りの力で同僚の腕を振りほどき、そのまま逃げた。
嫌だということは相手にも伝わっただろう。
伝わったならそれでいい。
本当に気持ちを伝えたい人は、別にいる。
ヒロインは起き上がると、身支度を整え始めた。今日は軽量化バングルの件で休日出勤することになっていた。
いつもより早い時間だが、歩いて行けばちょうどいい時間に着くだろう。
少し頭を整理したかったヒロインは、駅ではなく、会社までの最短ルートに足を向けた。
本当に気持ちを伝えたい人。その人の姿を思い描くと、自然と名前が溢れた。
「レノ…」
仕事のせいで、もう一月会っていない。
次に会ったなら、今回の件のお礼と自分の気持ちを伝えようと思っていた。
資料室での楽しかった時間は、思い出すだけで心が温かくなる。
「会いたい、な…」
神羅ビルまであと半分というところ、歓楽街に差し掛かったところで、ヒロインは足を止めた。
会いたいと思っていた人の名前を呼ぶ声が聞こえたからだった。
少しの静寂のあと、再び、今度ははっきりとレノの名を呼ぶ女性の声が聞こえた。
そして、ホテルから出てくる男女の姿――レノとどこか見覚えのある女性が目に飛び込んできた。
楽しそうに笑うレノを見たヒロインの胸は、今にも張り裂けそうだった。
苦しい、痛い。
この場で声を上げて泣いてしまえたら、どんなに楽になっただろう。
しかし、わずかに残った理性がそれを止め、一刻も早くこの場から去るように促した。
これ以上、見てはいけない。
きっと、苦しみのあまり、叫んでしまうだろうから。
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ただただ静かに過ごしたかった。
そんな私の安息の場所に、レノが突然やってきた。
初めは腹が立ったし、誰かがここにいるのが嫌だった。
それが、いつしか二人で過ごす時間がうれしくて、会いたいと思うようになるなんて。
- すれ違い、片思い。 side ヒロイン -
浅い眠りと覚醒を繰り返し、気づけば朝になっていた。
カーテンの隙間から差し込む朝日から目を背け、ヒロインは寝返りを打った。
突然の同僚からの告白とキス。
それを思い出し、ヒロインは乱暴に手の甲で唇を拭った。
昨日、どう当たり障りなく断ろうかと返答に窮していると、同僚は強引にヒロインを抱きしめ、キスをしてきた。
突然のことに動けなくなっていると、同僚は無理矢理舌を入れようとしてきた。生温かい感触に吐き気を覚え、ヒロインはあらん限りの力で同僚の腕を振りほどき、そのまま逃げた。
嫌だということは相手にも伝わっただろう。
伝わったならそれでいい。
本当に気持ちを伝えたい人は、別にいる。
ヒロインは起き上がると、身支度を整え始めた。今日は軽量化バングルの件で休日出勤することになっていた。
いつもより早い時間だが、歩いて行けばちょうどいい時間に着くだろう。
少し頭を整理したかったヒロインは、駅ではなく、会社までの最短ルートに足を向けた。
本当に気持ちを伝えたい人。その人の姿を思い描くと、自然と名前が溢れた。
「レノ…」
仕事のせいで、もう一月会っていない。
次に会ったなら、今回の件のお礼と自分の気持ちを伝えようと思っていた。
資料室での楽しかった時間は、思い出すだけで心が温かくなる。
「会いたい、な…」
神羅ビルまであと半分というところ、歓楽街に差し掛かったところで、ヒロインは足を止めた。
会いたいと思っていた人の名前を呼ぶ声が聞こえたからだった。
少しの静寂のあと、再び、今度ははっきりとレノの名を呼ぶ女性の声が聞こえた。
そして、ホテルから出てくる男女の姿――レノとどこか見覚えのある女性が目に飛び込んできた。
楽しそうに笑うレノを見たヒロインの胸は、今にも張り裂けそうだった。
苦しい、痛い。
この場で声を上げて泣いてしまえたら、どんなに楽になっただろう。
しかし、わずかに残った理性がそれを止め、一刻も早くこの場から去るように促した。
これ以上、見てはいけない。
きっと、苦しみのあまり、叫んでしまうだろうから。
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