すれ違い、片思い。
ヒロイン
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軽量化バングルが採用されたと聞いたあの日から、ヒロインはあまり資料室に来なくなった。
久しぶりに会ったとき、量産化の体制を作るための会議が多くて、なかなか開発に戻れないと嘆いていた。しかし、ヒロインは日々が充実していて楽しそうで、やる気に満ち溢れていた。今が一番大事なときで、邪魔をするべきではないと思ったので、レノは「頑張れよ」と言うに留めた。
本当は、前のように会って、話をしたかった。
あの日、ヒロインから抱きついてきたとき、なぜ抱き締めて想いを伝えなかったのか。
ずっとレノは後悔していた。
ヒロインには、もう一月ぐらい会っていない。
会えないからこそ、愛しい想いは募っていく。
それが限界に達したレノは、ヒロインに会いに行くことにした。
幸い、部署は知っている。
週末の定時後ということもあり、すでにオフィスは人がまばらだった。
突然の訪問を、ヒロインは嫌がらないだろうか。
そんな不安がふと頭を過り、レノは足を止めた。
「前言ってたこと、考えてくれた?付き合ってほしいって」
男性の声が聞こえた。
レノは柱の陰から声のした方を窺った。
そこには、見知らぬ男性とヒロインがいた。
心臓が、大きく脈打った。
男性はしきりにヒロインを口説いている。
しかし、ヒロインの声は小さく、レノの方まで聞こえなかった。
ヒロインは、一体どう答えるのだろう。
その場から出るに出られず、レノは二人の様子を見ているしかなかった。
ヒロインの表情は見えない。
男性の告白を受け入れるのか、それとも――
「ヒロイン…」
男性がヒロインの名を呼び、身体に腕を回した。
やめろと言葉が喉を通る前に、男性がヒロインにキスをした。
心が悲鳴を上げる前に、レノはその場を去った。
これ以上、見ていられなかった。
もっと早く自分の気持ちを伝えていたら。
キリのない後悔がレノを苛み、心の弱い部分を抉る。
抉られたそこは空洞となり、早く何か適当なもので埋めてしまえと悪魔が囁いた。
レノは携帯を取り出すと、前に資料室で会っていた女性に連絡をした。
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久しぶりに会ったとき、量産化の体制を作るための会議が多くて、なかなか開発に戻れないと嘆いていた。しかし、ヒロインは日々が充実していて楽しそうで、やる気に満ち溢れていた。今が一番大事なときで、邪魔をするべきではないと思ったので、レノは「頑張れよ」と言うに留めた。
本当は、前のように会って、話をしたかった。
あの日、ヒロインから抱きついてきたとき、なぜ抱き締めて想いを伝えなかったのか。
ずっとレノは後悔していた。
ヒロインには、もう一月ぐらい会っていない。
会えないからこそ、愛しい想いは募っていく。
それが限界に達したレノは、ヒロインに会いに行くことにした。
幸い、部署は知っている。
週末の定時後ということもあり、すでにオフィスは人がまばらだった。
突然の訪問を、ヒロインは嫌がらないだろうか。
そんな不安がふと頭を過り、レノは足を止めた。
「前言ってたこと、考えてくれた?付き合ってほしいって」
男性の声が聞こえた。
レノは柱の陰から声のした方を窺った。
そこには、見知らぬ男性とヒロインがいた。
心臓が、大きく脈打った。
男性はしきりにヒロインを口説いている。
しかし、ヒロインの声は小さく、レノの方まで聞こえなかった。
ヒロインは、一体どう答えるのだろう。
その場から出るに出られず、レノは二人の様子を見ているしかなかった。
ヒロインの表情は見えない。
男性の告白を受け入れるのか、それとも――
「ヒロイン…」
男性がヒロインの名を呼び、身体に腕を回した。
やめろと言葉が喉を通る前に、男性がヒロインにキスをした。
心が悲鳴を上げる前に、レノはその場を去った。
これ以上、見ていられなかった。
もっと早く自分の気持ちを伝えていたら。
キリのない後悔がレノを苛み、心の弱い部分を抉る。
抉られたそこは空洞となり、早く何か適当なもので埋めてしまえと悪魔が囁いた。
レノは携帯を取り出すと、前に資料室で会っていた女性に連絡をした。
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