背徳の行き着く先に
ヒロイン
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友人が彼氏だと紹介した男は、一目で自分の苦手なタイプだとわかった。
派手な出で立ち、軽薄そうな笑み、遊び人であることを隠そうともしないその仕草。時折、値踏みするようにこちらを見てくるのも嫌だった。
友人は彼氏――レノのことを私に自慢したくて、わざわざ私の住むジュノンまでやってきた。羨ましくもなんともなかったが、私は友人の自尊心を傷付けぬよう、彼女とレノのことを褒めた。
「二人とも、とってもお似合い」
そう言うと、友人はとてもうれしそうに、そして幸せそうに笑った。
一方レノは、少し皮肉な笑みで応えた。
それから1ヶ月後、レノから私の携帯に連絡があった。「彼女のことを相談したい」と。
仕事のついででジュノンに来るらしい。
私はあまり気乗りはしなかったが、友人についての相談となると無碍にはできなかった。
今思えば、無視しておくべきだったと思う。
「よお、来てくれて助かったぞ、と」
待ち合わせ場所には、既にレノがいた。軽く手を上げたレノに、私は会釈を返した。
「レノさん、相談って――」
「そんなことより、飲みに行こうぜ。いい店教えてくれよ」
レノが私の肩を抱いた。その仕草があまりに自然で、私はすぐに拒否できなかった。
なんとか「彼女に悪いからやめてくれ」と言うと、レノは渋々解放してくれた。
「意外とお堅いんだな、ヒロインちゃん」
「堅いって…普通です」
「まぁ、そういうところも唆られるけど」
レノが私の顔を覗き込んで、怪しく微笑む。少し、ドキッとしてしまった自分を殴りたい。
確かに、彼は容姿端麗で、どうすれば女を振り向かせられるのか熟知している。それもわかっていたのに――
彼女の話は一切レノの口から出ず、私のことを聞いたり、他愛ない話をしている間に時間は過ぎていく。その時間はとても楽しく、判断力がお酒で鈍っていたのもあって、私はその日、レノに抱かれた。
レノとのセックスは、悔しいことに今までの誰よりも気持ちよかった。
我に返って生じた罪悪感も、快楽の前には雲散霧消した。
背徳感すら気持ちいい。
「ほら、オレとヤッてよかっただろ?」
セックスのあと、レノはタバコを吸いながら、笑って言った。
その後も、レノはジュノンに来るたびに私に連絡してきた。
毎回違うホテルで身体を重ね、ミッドガルに帰っていく。
食事も会話もなにもない。ただ、セックスをするだけの時間。
それなのに、どうしてレノが帰っていくときは寂しくなってしまうのだろう。
それから程なくして、友人から連絡があった。
レノと別れた、と。
私とレノが身体の関係を持っていることは知らないようだった。
私は少しほっとした。
友人が別れたことに?
それとも、私とレノの関係がバレていないことに?
友人からの連絡のあと、レノから連絡がきた。
「会いたい」と。
その日も会って、身体を重ねて、レノは帰っていった。
友人と別れたことは、一切口にしなかった。
私も、いつか友人のようにレノと別れる日が来るのだろうか。
別れる?いや、捨てられる?
どちらにしても、その時までもう少し時間があればいいと思った。
END
2020/06/30
.
派手な出で立ち、軽薄そうな笑み、遊び人であることを隠そうともしないその仕草。時折、値踏みするようにこちらを見てくるのも嫌だった。
友人は彼氏――レノのことを私に自慢したくて、わざわざ私の住むジュノンまでやってきた。羨ましくもなんともなかったが、私は友人の自尊心を傷付けぬよう、彼女とレノのことを褒めた。
「二人とも、とってもお似合い」
そう言うと、友人はとてもうれしそうに、そして幸せそうに笑った。
一方レノは、少し皮肉な笑みで応えた。
それから1ヶ月後、レノから私の携帯に連絡があった。「彼女のことを相談したい」と。
仕事のついででジュノンに来るらしい。
私はあまり気乗りはしなかったが、友人についての相談となると無碍にはできなかった。
今思えば、無視しておくべきだったと思う。
「よお、来てくれて助かったぞ、と」
待ち合わせ場所には、既にレノがいた。軽く手を上げたレノに、私は会釈を返した。
「レノさん、相談って――」
「そんなことより、飲みに行こうぜ。いい店教えてくれよ」
レノが私の肩を抱いた。その仕草があまりに自然で、私はすぐに拒否できなかった。
なんとか「彼女に悪いからやめてくれ」と言うと、レノは渋々解放してくれた。
「意外とお堅いんだな、ヒロインちゃん」
「堅いって…普通です」
「まぁ、そういうところも唆られるけど」
レノが私の顔を覗き込んで、怪しく微笑む。少し、ドキッとしてしまった自分を殴りたい。
確かに、彼は容姿端麗で、どうすれば女を振り向かせられるのか熟知している。それもわかっていたのに――
彼女の話は一切レノの口から出ず、私のことを聞いたり、他愛ない話をしている間に時間は過ぎていく。その時間はとても楽しく、判断力がお酒で鈍っていたのもあって、私はその日、レノに抱かれた。
レノとのセックスは、悔しいことに今までの誰よりも気持ちよかった。
我に返って生じた罪悪感も、快楽の前には雲散霧消した。
背徳感すら気持ちいい。
「ほら、オレとヤッてよかっただろ?」
セックスのあと、レノはタバコを吸いながら、笑って言った。
その後も、レノはジュノンに来るたびに私に連絡してきた。
毎回違うホテルで身体を重ね、ミッドガルに帰っていく。
食事も会話もなにもない。ただ、セックスをするだけの時間。
それなのに、どうしてレノが帰っていくときは寂しくなってしまうのだろう。
それから程なくして、友人から連絡があった。
レノと別れた、と。
私とレノが身体の関係を持っていることは知らないようだった。
私は少しほっとした。
友人が別れたことに?
それとも、私とレノの関係がバレていないことに?
友人からの連絡のあと、レノから連絡がきた。
「会いたい」と。
その日も会って、身体を重ねて、レノは帰っていった。
友人と別れたことは、一切口にしなかった。
私も、いつか友人のようにレノと別れる日が来るのだろうか。
別れる?いや、捨てられる?
どちらにしても、その時までもう少し時間があればいいと思った。
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