彼の隣、彼女の隣 -延長戦2-
ヒロイン
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ヒロインの仕事が片付くのを待って、レノとヒロインは一緒に帰宅した。
帰ってすぐ、1ヶ月という時間を埋めるように二人は抱き合った。
行為の後、ベッドで抱き合っていると、ヒロインの手首に痣ができていることに気づいた。白い肌に赤黒い痕がくっきりと残っている。
「あの野郎…」
やっぱり腕を折るぐらいしておけばよかったかと物騒なことを考えていると、ヒロインが身体を寄せてきた。
「レノが来てくれたから、これだけで済んだの。だから大丈夫」
「でもなぁ…やっぱ許せないぞ、と」
「はっきりと『別れてないです!』ってお昼に言えばよかった…」
ヒロインの一言で、レノは肝心のことを聞いていなかったことに気づいた。なぜ、男たちはヒロインを狙ってきたのか。ヒロインがレノの彼女だと知っていたら、手を出すなんて死に急ぐ真似はしなかったはずだ。
その疑問をぶつけると、ヒロインが少し顔を赤くした。
「し、知らないうちに、私とレノが別れたって噂が立ってて…それで、あの…」
ヒロインの顔が更に赤くなり、視線が宙に泳いだ。言うかどうかを思案しているようだったので、レノはヒロインの髪を撫でながら、続きを待った。
「…レノの元カノなら、あの…その、なんていうか…」
何が言いたいのか、レノはヒロインの反応から察した。確かにヒロインは色っぽい身体をしているが、世の男がそういう性的な目でヒロインを見ているかと思うと、全員の目を潰したくなる。特に、夕方の男の目は抉り取っておくべきだった。
「それであの服か」
ヒロインが頷いた。
「自意識過剰かとも思ったんだけど…そういう話聞いたら、気になっちゃって…ごめんね、久しぶりに会うのに、あんな服で」
「ヒロインは全然悪くないぞ、と。まぁ、あれはあれで唆られるけどな」
レノはヒロインの尻に触れた。びくりとヒロインの身体が震える。
「明日…は平日か。仕事、だよな?」
「うん…」
レノは一度ぎゅっとヒロインを抱きしめてから、身体を放した。これ以上、抱き合っていると止まらなくなりそうだったからだ。
「じゃあ、今日のところは寝る…」
突然、ヒロインが覆いかぶさって来て、レノの唇を塞いだ。長い長いキスのあと、身体を起こしたヒロインがレノの上にまたがった。
「…あと1回なら、大丈夫ですよ?」
恥じらいつつも積極的なヒロインに、押し留めようとしていた欲望が溢れ出す。
レノも身体を起こし、ヒロインと抱き合った。
結局、濃密な『あと1回』のせいで、翌日ヒロインはふらふらになりながら出社するはめになった。
昼。ヒロインはいつものようにリフレッシュフロアの目立たない一人がけの席で昼食を取っていた。すると、背後から覗き見るような視線を感じた。振り返る勇気はなかったが、自分のことを話しているようだったので、聞き耳を立てた。
「昨日あの子にちょっかいかけてた男、レノさんにキレられたって」
「え、あの二人別れてなかったの?」
「それどころか、すっごく仲いいみたいで。レノさん、マジギレしてたらしいよ」
「それやばくない?」
(き、昨日のこと、噂になってる…)
次第にその話が周囲に伝播していき、だんだんと居心地が悪くなっていく。早めにオフィスに戻ろうと立ち上がりかけたとき、手の中の携帯が震えた。
「れ、レノさん!?」
ヒロインは声を押し殺して電話に出た。
『今日は何事もなかったみたいだな。昨日のこと、噂にはなってっけど』
「え、何で知って…」
『昨日の今日だから心配になって様子見に来たぞ、と』
入口の方にいると言われたので、ヒロインはそちらを振り返った。すると、今日は休みのはずのレノが手を振っていた。
『あー、そのままで大丈夫だぞ、と』
立ち上がってそちらに向かおうとしたヒロインをレノが制止する。
『たぶん、オレといたら目立つだろうからな。一応、オフィス戻るまでは見とくぞ、と。じゃあ、また夜にな』
休日にも関わらず、自分のために来てくれたレノの気遣いがうれしい。
噂話で震えていた心が落ち着いていく。
レノの声を聞くだけで、大丈夫だと思えた。
「ありがとう、レノ」
今日は少しだけ早く帰って、少しでも長くレノと過ごそう。
ヒロインはレノに笑顔を向けた。
「また、夜にね」
END
2020/06/29
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帰ってすぐ、1ヶ月という時間を埋めるように二人は抱き合った。
行為の後、ベッドで抱き合っていると、ヒロインの手首に痣ができていることに気づいた。白い肌に赤黒い痕がくっきりと残っている。
「あの野郎…」
やっぱり腕を折るぐらいしておけばよかったかと物騒なことを考えていると、ヒロインが身体を寄せてきた。
「レノが来てくれたから、これだけで済んだの。だから大丈夫」
「でもなぁ…やっぱ許せないぞ、と」
「はっきりと『別れてないです!』ってお昼に言えばよかった…」
ヒロインの一言で、レノは肝心のことを聞いていなかったことに気づいた。なぜ、男たちはヒロインを狙ってきたのか。ヒロインがレノの彼女だと知っていたら、手を出すなんて死に急ぐ真似はしなかったはずだ。
その疑問をぶつけると、ヒロインが少し顔を赤くした。
「し、知らないうちに、私とレノが別れたって噂が立ってて…それで、あの…」
ヒロインの顔が更に赤くなり、視線が宙に泳いだ。言うかどうかを思案しているようだったので、レノはヒロインの髪を撫でながら、続きを待った。
「…レノの元カノなら、あの…その、なんていうか…」
何が言いたいのか、レノはヒロインの反応から察した。確かにヒロインは色っぽい身体をしているが、世の男がそういう性的な目でヒロインを見ているかと思うと、全員の目を潰したくなる。特に、夕方の男の目は抉り取っておくべきだった。
「それであの服か」
ヒロインが頷いた。
「自意識過剰かとも思ったんだけど…そういう話聞いたら、気になっちゃって…ごめんね、久しぶりに会うのに、あんな服で」
「ヒロインは全然悪くないぞ、と。まぁ、あれはあれで唆られるけどな」
レノはヒロインの尻に触れた。びくりとヒロインの身体が震える。
「明日…は平日か。仕事、だよな?」
「うん…」
レノは一度ぎゅっとヒロインを抱きしめてから、身体を放した。これ以上、抱き合っていると止まらなくなりそうだったからだ。
「じゃあ、今日のところは寝る…」
突然、ヒロインが覆いかぶさって来て、レノの唇を塞いだ。長い長いキスのあと、身体を起こしたヒロインがレノの上にまたがった。
「…あと1回なら、大丈夫ですよ?」
恥じらいつつも積極的なヒロインに、押し留めようとしていた欲望が溢れ出す。
レノも身体を起こし、ヒロインと抱き合った。
結局、濃密な『あと1回』のせいで、翌日ヒロインはふらふらになりながら出社するはめになった。
昼。ヒロインはいつものようにリフレッシュフロアの目立たない一人がけの席で昼食を取っていた。すると、背後から覗き見るような視線を感じた。振り返る勇気はなかったが、自分のことを話しているようだったので、聞き耳を立てた。
「昨日あの子にちょっかいかけてた男、レノさんにキレられたって」
「え、あの二人別れてなかったの?」
「それどころか、すっごく仲いいみたいで。レノさん、マジギレしてたらしいよ」
「それやばくない?」
(き、昨日のこと、噂になってる…)
次第にその話が周囲に伝播していき、だんだんと居心地が悪くなっていく。早めにオフィスに戻ろうと立ち上がりかけたとき、手の中の携帯が震えた。
「れ、レノさん!?」
ヒロインは声を押し殺して電話に出た。
『今日は何事もなかったみたいだな。昨日のこと、噂にはなってっけど』
「え、何で知って…」
『昨日の今日だから心配になって様子見に来たぞ、と』
入口の方にいると言われたので、ヒロインはそちらを振り返った。すると、今日は休みのはずのレノが手を振っていた。
『あー、そのままで大丈夫だぞ、と』
立ち上がってそちらに向かおうとしたヒロインをレノが制止する。
『たぶん、オレといたら目立つだろうからな。一応、オフィス戻るまでは見とくぞ、と。じゃあ、また夜にな』
休日にも関わらず、自分のために来てくれたレノの気遣いがうれしい。
噂話で震えていた心が落ち着いていく。
レノの声を聞くだけで、大丈夫だと思えた。
「ありがとう、レノ」
今日は少しだけ早く帰って、少しでも長くレノと過ごそう。
ヒロインはレノに笑顔を向けた。
「また、夜にね」
END
2020/06/29
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