彼の隣、彼女の隣 -延長戦2-
ヒロイン
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「やっと戻ってこれたぞ、と」
レノはルードとともに1ヶ月ぶりの帰社を果たした。敵地の監視、侵入、調査、殲滅作戦の実行――すべて合わせて1ヶ月強。ここ最近では最長の任務だった。当然、休みなどあるはずもない。
「ルード、オレは明日から休むぞ、と」
「女に会いに行くのか?」
「今からな」
レノはにやりと笑うとタブレットを取り出し、携帯の追跡アプリを立ち上げた。
「お、まだ会社にいるな」
「レノ…それは流石にやりすぎではないか?電話で済むだろう」
あと職権乱用だと、呆れたようにルードが言った。
「サプライズだぞ、と。つーことで、オレはヒロインに会いに行くから、あとはよろしくな!」
レノは車を地下駐車場に止めると、鍵だけルードに投げ渡してヒロインがいるであろう情報課のオフィスに向かった。ヒロインに会うのが待ち遠しい。
ヒロインは驚くだろうか?
どんな顔をして迎えてくれるだろう?
レノは心を踊らせて、エレベータに乗り込んだ。
情報課のあるフロアは静まり返っていた。定時を過ぎているのもあってか、通路には誰もいない。
(そういや、一般社員のフロアに来るの初めてだな…)
タークスのオフィスがある地下とは随分雰囲気が違う。明るく、健康的だった。あと、フロアにドリンクスタンドがいくつかある。もちろん、地下にそんなものはない。あるのは品揃えの悪い自販機だけだ。同じ会社にいるというのに、この待遇の差である。
既に閉まっているドリンクスタンドのメニューを見ながら、今度ツォンにドリンクスタンド導入を提案しようと決意した。
「さて、ヒロインは――」
レノは情報課のオフィスに足を向けようとしたとき、ちょうどオフィスの方からヒロインがやってきた。男と一緒だった。
「レノ!?」
今にも泣き出しそうなヒロインの顔。ヒロインの手首を掴む男の手。
レノはすれ違いざまに男の手首を掴んだ。
「いってえ!」
「よお、兄ちゃん。オレの彼女に何か用か?」
殊更「オレの」を強調し、レノは男の手首を掴む手に力を込めた。男がヒロインの手を放したのを確認し、レノは男の腕を捻り上げた。男がレノの手を振りほどこうともがいた。
「おっと、動くと使い物にならなくなるぞ、と」
レノは冷酷な笑みを浮かべ、男に言った。男はレノを見ずに、別の方向――ヒロインと向かおうとした先を見ている。そちらに視線を向けると、数人の男が目に入った。
「なるほど。タチの悪ぃ遊びみたいだが、相手が悪かったな。ヒロインに手出したらどうなるか、今ここで教えてやってもいいんだけどよ」
レノは手を放した。
「お前らに構う時間がもったいないから、今日はやめとくぞ、と。ヒロイン、帰ろうぜ」
「え、あ、はい」
レノはヒロインの肩を抱くと、男たちには一瞥もせずにヒロインのオフィスの方に向かった。
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レノはルードとともに1ヶ月ぶりの帰社を果たした。敵地の監視、侵入、調査、殲滅作戦の実行――すべて合わせて1ヶ月強。ここ最近では最長の任務だった。当然、休みなどあるはずもない。
「ルード、オレは明日から休むぞ、と」
「女に会いに行くのか?」
「今からな」
レノはにやりと笑うとタブレットを取り出し、携帯の追跡アプリを立ち上げた。
「お、まだ会社にいるな」
「レノ…それは流石にやりすぎではないか?電話で済むだろう」
あと職権乱用だと、呆れたようにルードが言った。
「サプライズだぞ、と。つーことで、オレはヒロインに会いに行くから、あとはよろしくな!」
レノは車を地下駐車場に止めると、鍵だけルードに投げ渡してヒロインがいるであろう情報課のオフィスに向かった。ヒロインに会うのが待ち遠しい。
ヒロインは驚くだろうか?
どんな顔をして迎えてくれるだろう?
レノは心を踊らせて、エレベータに乗り込んだ。
情報課のあるフロアは静まり返っていた。定時を過ぎているのもあってか、通路には誰もいない。
(そういや、一般社員のフロアに来るの初めてだな…)
タークスのオフィスがある地下とは随分雰囲気が違う。明るく、健康的だった。あと、フロアにドリンクスタンドがいくつかある。もちろん、地下にそんなものはない。あるのは品揃えの悪い自販機だけだ。同じ会社にいるというのに、この待遇の差である。
既に閉まっているドリンクスタンドのメニューを見ながら、今度ツォンにドリンクスタンド導入を提案しようと決意した。
「さて、ヒロインは――」
レノは情報課のオフィスに足を向けようとしたとき、ちょうどオフィスの方からヒロインがやってきた。男と一緒だった。
「レノ!?」
今にも泣き出しそうなヒロインの顔。ヒロインの手首を掴む男の手。
レノはすれ違いざまに男の手首を掴んだ。
「いってえ!」
「よお、兄ちゃん。オレの彼女に何か用か?」
殊更「オレの」を強調し、レノは男の手首を掴む手に力を込めた。男がヒロインの手を放したのを確認し、レノは男の腕を捻り上げた。男がレノの手を振りほどこうともがいた。
「おっと、動くと使い物にならなくなるぞ、と」
レノは冷酷な笑みを浮かべ、男に言った。男はレノを見ずに、別の方向――ヒロインと向かおうとした先を見ている。そちらに視線を向けると、数人の男が目に入った。
「なるほど。タチの悪ぃ遊びみたいだが、相手が悪かったな。ヒロインに手出したらどうなるか、今ここで教えてやってもいいんだけどよ」
レノは手を放した。
「お前らに構う時間がもったいないから、今日はやめとくぞ、と。ヒロイン、帰ろうぜ」
「え、あ、はい」
レノはヒロインの肩を抱くと、男たちには一瞥もせずにヒロインのオフィスの方に向かった。
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