旧拍手小説集
ヒロイン
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七夕の夜
七夕の夜の神羅ビル・エントランス。
いつもと違い、今日はとても静かだった。
皆、零番街の七夕祭りに出掛けたからだ。
彼氏を待ち、ヒロインは一人この日のために用意された笹を見上げていた。
思いを綴った短冊を数えながら、ひたすら彼氏――レノを待つ。
「願い事、ちっとも叶わないじゃない」
ヒロインはどこかにあるだろう自分の短冊を睨み付けた。
『レノが時間を守りますように』
こんな些細な願いすら叶わないならば、本命の願いに至っては望み薄だ。
手にしていたもう一枚の短冊を眺め、大きな溜息をついた。
「溜息ついたら、幸せが逃げちまうぞ、と」
「レノ!」
ヒロインは顔を綻ばせ、レノに駆け寄った。
「悪かったな、待たせて――ん?何だそれ…」
レノの視線が短冊に移る。
慌ててカバンにしまおうとしたが、その手は易々とレノに掴み上げられた。
「ダメ!」
あっという間に短冊を取り上げられる。
手を伸ばしても、短冊を持つレノの手は遥か上方。
飛び跳ねたところで、それはより遠くに逃げていく。
「一体何をお願いするつもりだったのかな、と」
そこには、小さな字でこう書いてあった。
『レノとずっと一緒にいられますように』
声に出して読み上げられ、ヒロインの顔は真っ赤になった。
「こんなもん、俺が叶えてやるぞ、と」
にやりと笑ったレノの顔が近づく。
唇を塞がれる寸前、ヒロインが小さく呟いた。
「期待してる」
.
七夕の夜の神羅ビル・エントランス。
いつもと違い、今日はとても静かだった。
皆、零番街の七夕祭りに出掛けたからだ。
彼氏を待ち、ヒロインは一人この日のために用意された笹を見上げていた。
思いを綴った短冊を数えながら、ひたすら彼氏――レノを待つ。
「願い事、ちっとも叶わないじゃない」
ヒロインはどこかにあるだろう自分の短冊を睨み付けた。
『レノが時間を守りますように』
こんな些細な願いすら叶わないならば、本命の願いに至っては望み薄だ。
手にしていたもう一枚の短冊を眺め、大きな溜息をついた。
「溜息ついたら、幸せが逃げちまうぞ、と」
「レノ!」
ヒロインは顔を綻ばせ、レノに駆け寄った。
「悪かったな、待たせて――ん?何だそれ…」
レノの視線が短冊に移る。
慌ててカバンにしまおうとしたが、その手は易々とレノに掴み上げられた。
「ダメ!」
あっという間に短冊を取り上げられる。
手を伸ばしても、短冊を持つレノの手は遥か上方。
飛び跳ねたところで、それはより遠くに逃げていく。
「一体何をお願いするつもりだったのかな、と」
そこには、小さな字でこう書いてあった。
『レノとずっと一緒にいられますように』
声に出して読み上げられ、ヒロインの顔は真っ赤になった。
「こんなもん、俺が叶えてやるぞ、と」
にやりと笑ったレノの顔が近づく。
唇を塞がれる寸前、ヒロインが小さく呟いた。
「期待してる」
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