彼の隣、彼女の隣 6
ヒロイン
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帰社後、レノは報告を後輩に押し付け、ヒロインと一緒に車で家に向かっていた。朝日が眩しかった。
夜通しの作業でヒロインが疲れているのではないかと思ったが、意外と本人はケロッとしていた。
「情報課は夜間作業も多いですから、徹夜は平気なんですよ」
と、助手席に座ったヒロインが言った。
今回の作戦のことだったり、ヒロインが啖呵を切ったことなどを話していると、あっという間に家についた。
「レノさん、今日はありがとうございました。おかげで無事、帰ってこられました」
車から降りたヒロインが頭を下げた。
「こっちこそ、ヒロインがテキパキ仕事してくれたおかげで、早く片付いて助かったぞ、と」
地下駐車場のエレベータに向かって連れ立って歩きながら、レノはタイミングを見計らっていた。
出発前に前振りしようとして、ヒロインに止められたことを言うタイミングを。
この任務が終わったら、ヒロインに自分の気持ちを伝えよう。
「なぁ、ヒロイン」
「はい、どうかしました?」
自分を見上げるヒロインが、軽く首を傾げた。そう待ち構えられると、意外と照れくさくて言い出しにくい。
いつも愛を囁くのはベッドの上、情事のときだ。こんなシラフの、しかも面と向かって言うのはいつ以来だろう。
「レノさん?」
ヒロインに名を呼ばれ、レノは覚悟を決めた。
「ヒロイン、オレと付き合ってくれ。ヒロインのこと、好きになっちまったぞ、と」
レノは、ヒロインの肩に手を置き、真摯に目を見つめた。
ヒロインは顔を赤らめ、少し困ったような顔をした。
「あの、お気持ちは、すごくうれしくて…でも…」
ダメ、ということだろうか。まだ、そこまでの関係ではない?
レノは柄にもなく緊張し、ヒロインの言葉の続きを待った。
「私、男の人とお付き合いしたこともないし、だから、レノさんの彼女って、私には荷が重いと言うか…」
ヒロインが不安なのは、レノ絡みでいろいろと揉め事に巻き込まれたせいだろう。理解はできるが、それを理由に振られるのは納得できない。何より、まだヒロインの気持ちを聞いていない。
「ヒロインの気持ち、聞かせてくれよ」
「私の…?」
ヒロインが恥ずかしそうにレノから視線を外した。
「私は…私も、レノさんのこと、好きです。だから、好きって言ってもらえて、今、もうどうしようもないぐらい舞い上がってて。で、でも不安もあって…私、美人でもないし、だからいつか、レノさんが隣からいなくなるぐらいなら、最初から――」
「そこまでだぞ、と」
レノはヒロインの両頬を包み、こちらを向かせた。
「ヒロインが不安に思う気持ちもわかるぞ、と。でも、少しはオレの気持ちも信じてくれよ。好きなんだ、ヒロインのことが」
「今日も明日も、これからずっと、隣にいてくれますか?」
「あぁ、約束するぞ、と」
しばし見つめ合ったあと、レノはヒロインの唇に軽くキスをした。
キスをする寸前、ヒロインがぎゅっと目を瞑った。キスも慣れない様子で、それがたまらなく愛おしい。
「続きはまた今度、だな」
隣同士だから、いつでも会えるし、いつでも一緒に過ごせる。
「…お手柔らかにお願いします」
レノとヒロインは手を繋ぎ、エレベータに乗り込んだ。
「なぁ、ヒロイン。やっぱ今日、一緒に寝ないか?」
「な、何言ってるんですか!まだ早いです!おやすみなさい!」
ヒロインは早口で言うと、さっさと自分の部屋に入っていった。
「残念だぞ、と」
どうやら、先は相当長そうである。
To be continued...?
2020/06/13
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夜通しの作業でヒロインが疲れているのではないかと思ったが、意外と本人はケロッとしていた。
「情報課は夜間作業も多いですから、徹夜は平気なんですよ」
と、助手席に座ったヒロインが言った。
今回の作戦のことだったり、ヒロインが啖呵を切ったことなどを話していると、あっという間に家についた。
「レノさん、今日はありがとうございました。おかげで無事、帰ってこられました」
車から降りたヒロインが頭を下げた。
「こっちこそ、ヒロインがテキパキ仕事してくれたおかげで、早く片付いて助かったぞ、と」
地下駐車場のエレベータに向かって連れ立って歩きながら、レノはタイミングを見計らっていた。
出発前に前振りしようとして、ヒロインに止められたことを言うタイミングを。
この任務が終わったら、ヒロインに自分の気持ちを伝えよう。
「なぁ、ヒロイン」
「はい、どうかしました?」
自分を見上げるヒロインが、軽く首を傾げた。そう待ち構えられると、意外と照れくさくて言い出しにくい。
いつも愛を囁くのはベッドの上、情事のときだ。こんなシラフの、しかも面と向かって言うのはいつ以来だろう。
「レノさん?」
ヒロインに名を呼ばれ、レノは覚悟を決めた。
「ヒロイン、オレと付き合ってくれ。ヒロインのこと、好きになっちまったぞ、と」
レノは、ヒロインの肩に手を置き、真摯に目を見つめた。
ヒロインは顔を赤らめ、少し困ったような顔をした。
「あの、お気持ちは、すごくうれしくて…でも…」
ダメ、ということだろうか。まだ、そこまでの関係ではない?
レノは柄にもなく緊張し、ヒロインの言葉の続きを待った。
「私、男の人とお付き合いしたこともないし、だから、レノさんの彼女って、私には荷が重いと言うか…」
ヒロインが不安なのは、レノ絡みでいろいろと揉め事に巻き込まれたせいだろう。理解はできるが、それを理由に振られるのは納得できない。何より、まだヒロインの気持ちを聞いていない。
「ヒロインの気持ち、聞かせてくれよ」
「私の…?」
ヒロインが恥ずかしそうにレノから視線を外した。
「私は…私も、レノさんのこと、好きです。だから、好きって言ってもらえて、今、もうどうしようもないぐらい舞い上がってて。で、でも不安もあって…私、美人でもないし、だからいつか、レノさんが隣からいなくなるぐらいなら、最初から――」
「そこまでだぞ、と」
レノはヒロインの両頬を包み、こちらを向かせた。
「ヒロインが不安に思う気持ちもわかるぞ、と。でも、少しはオレの気持ちも信じてくれよ。好きなんだ、ヒロインのことが」
「今日も明日も、これからずっと、隣にいてくれますか?」
「あぁ、約束するぞ、と」
しばし見つめ合ったあと、レノはヒロインの唇に軽くキスをした。
キスをする寸前、ヒロインがぎゅっと目を瞑った。キスも慣れない様子で、それがたまらなく愛おしい。
「続きはまた今度、だな」
隣同士だから、いつでも会えるし、いつでも一緒に過ごせる。
「…お手柔らかにお願いします」
レノとヒロインは手を繋ぎ、エレベータに乗り込んだ。
「なぁ、ヒロイン。やっぱ今日、一緒に寝ないか?」
「な、何言ってるんですか!まだ早いです!おやすみなさい!」
ヒロインは早口で言うと、さっさと自分の部屋に入っていった。
「残念だぞ、と」
どうやら、先は相当長そうである。
To be continued...?
2020/06/13
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