彼の隣、彼女の隣 6
ヒロイン
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ジュノンまでは軍の輸送機、ジュノンから現地までは軍用トラックに乗って移動した。どれも乗り心地が悪く、すでにヒロインの体調は最悪だった。
しかし、最悪を超える最悪はこれからだ。今から、敵が占拠している建物に乗り込むというのだから。
ヒロインは大きく深呼吸をした。
頭の中で作業手順を反芻する。
(いつもやってることだし、大丈夫)
突入の合図が出た。先頭は神羅軍、殿はレノ。ヒロインは両者に守られながら、サーバルームへと向かった。
奇襲が功を奏したのか、敵と遭遇することはほとんどなく、サーバルームに着く頃には、ヒロインの緊張も少し解れていた。
安全が確保できたと言うので、ヒロインはサーバールームに入った。一番最初に目に飛び込んできたのは、3台の大きなラックだった。ラックを開けて、中を確認する。いずれも、軍から提供された資料通りだった。
すぐに作業に取り掛かろうと、コンソールに手を伸ばしたとき、すぐ近くでものすごい爆発音が轟いた。続いて、天井が揺れる。
「きゃあ!」
一人悲鳴を上げてしまい、ヒロインはすぐ口を押さえた。
「大丈夫か?」
すぐにレノが駆け寄ってくる。ヒロインは小さく頷いた。
「すみません…すぐ、作業にかかります」
ヒロインはコンソールを立ち上げ、キーを打とうとして、自分の手がひどく震えているのに気づいた。一度拳を握り、大きく深呼吸。昔、新人の頃にやっていたルーティーンだった。
(大丈夫、できる)
握った拳を緩めると、震えはやんでいた。
改めてコンソールに向かったヒロインは、いつものように慣れた手付きでコマンドを入力していった。
作業工程の半分が過ぎた頃、本部から通信が入った。インカムに、今日の本部責任者の女性の声が流れる。どうやら、ヒロイン宛の通信のようだった。
『ちょっと、まだかかるの?敵、すぐそこまで迫ってるけど?』
「予定より早く進捗していますが、まだかかります」
『ほんっと鈍臭い。早くしないと、みんな死ぬわよ?』
作業を進めながら聞く嫌味ほど煩わしいものはない。しかも、生死がかかった状況では尚更だ。ぶつぶつと繰り返される小言に、ヒロインの堪忍袋の尾が切れた。
「うるっさい!素人は黙ってて!!文句あるなら自分でやったら!?」
ヒロインはインカムを外すと、床に投げ捨てた。
「いやぁ…肝が座ってんな…」
誰かがぼそりと呟いた。
そして、誰かが吹き出した。
「ヒロイン、よく言ったぞ、と!」
レノに肩を叩かれ、ヒロインははっと我に返った。
「あ…私、その…つい…」
作戦行動中に本部に暴言を吐くなど、あってはならないことだが、サーバルーム内は笑いに包まれていた。
「あんたは気にすることねーよ。士気を下げるやつが悪い。胸がスカッとしたぜ」
笑っているのは、部隊長だった。
「さあ、仕事終わらせて帰ろうぜ、ヒロイン」
レノに促され、ヒロインは残りの作業に着手した。
ヒロインの作業後、神羅軍が爆薬を設置し、無事サーバルームは破壊された。
サーバルームにあまり敵が来なかったのは、前線部隊が頑張っていたからだと、あとから聞いた。
ヒロインにとっての長い長い一日は、無事終わったのだった。
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しかし、最悪を超える最悪はこれからだ。今から、敵が占拠している建物に乗り込むというのだから。
ヒロインは大きく深呼吸をした。
頭の中で作業手順を反芻する。
(いつもやってることだし、大丈夫)
突入の合図が出た。先頭は神羅軍、殿はレノ。ヒロインは両者に守られながら、サーバルームへと向かった。
奇襲が功を奏したのか、敵と遭遇することはほとんどなく、サーバルームに着く頃には、ヒロインの緊張も少し解れていた。
安全が確保できたと言うので、ヒロインはサーバールームに入った。一番最初に目に飛び込んできたのは、3台の大きなラックだった。ラックを開けて、中を確認する。いずれも、軍から提供された資料通りだった。
すぐに作業に取り掛かろうと、コンソールに手を伸ばしたとき、すぐ近くでものすごい爆発音が轟いた。続いて、天井が揺れる。
「きゃあ!」
一人悲鳴を上げてしまい、ヒロインはすぐ口を押さえた。
「大丈夫か?」
すぐにレノが駆け寄ってくる。ヒロインは小さく頷いた。
「すみません…すぐ、作業にかかります」
ヒロインはコンソールを立ち上げ、キーを打とうとして、自分の手がひどく震えているのに気づいた。一度拳を握り、大きく深呼吸。昔、新人の頃にやっていたルーティーンだった。
(大丈夫、できる)
握った拳を緩めると、震えはやんでいた。
改めてコンソールに向かったヒロインは、いつものように慣れた手付きでコマンドを入力していった。
作業工程の半分が過ぎた頃、本部から通信が入った。インカムに、今日の本部責任者の女性の声が流れる。どうやら、ヒロイン宛の通信のようだった。
『ちょっと、まだかかるの?敵、すぐそこまで迫ってるけど?』
「予定より早く進捗していますが、まだかかります」
『ほんっと鈍臭い。早くしないと、みんな死ぬわよ?』
作業を進めながら聞く嫌味ほど煩わしいものはない。しかも、生死がかかった状況では尚更だ。ぶつぶつと繰り返される小言に、ヒロインの堪忍袋の尾が切れた。
「うるっさい!素人は黙ってて!!文句あるなら自分でやったら!?」
ヒロインはインカムを外すと、床に投げ捨てた。
「いやぁ…肝が座ってんな…」
誰かがぼそりと呟いた。
そして、誰かが吹き出した。
「ヒロイン、よく言ったぞ、と!」
レノに肩を叩かれ、ヒロインははっと我に返った。
「あ…私、その…つい…」
作戦行動中に本部に暴言を吐くなど、あってはならないことだが、サーバルーム内は笑いに包まれていた。
「あんたは気にすることねーよ。士気を下げるやつが悪い。胸がスカッとしたぜ」
笑っているのは、部隊長だった。
「さあ、仕事終わらせて帰ろうぜ、ヒロイン」
レノに促され、ヒロインは残りの作業に着手した。
ヒロインの作業後、神羅軍が爆薬を設置し、無事サーバルームは破壊された。
サーバルームにあまり敵が来なかったのは、前線部隊が頑張っていたからだと、あとから聞いた。
ヒロインにとっての長い長い一日は、無事終わったのだった。
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