彼の隣、彼女の隣 6
ヒロイン
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ヒロインはまだ戻らないようだ。
自分が同行するので万が一は起こらないだろうが、少し話をしておかなければならない。
レノはヒロインにメッセージを送ると、ヒロインが向かったであろうトイレの方に足を向けた。
ちょうど、ヒロインがトイレから出てきたところだった。憔悴しきった顔が痛々しい。
レノはヒロインに駆け寄ると、そのまま抱き締めた。
いつものように照れたり、慌てたり、驚いたりすることもない。それだけ、追い詰められているということだろう。
「大丈夫か?」
「…全然、大丈夫じゃないです」
とりあえずレノはほっとした。素直に弱音を吐けるのは、相手に甘える余裕があるということだ。虚勢を張られるよりはいい。
「映画だと、初めて現場に出た脇役って高確率で死ぬじゃないですか。全然、生きて帰れる気がしません…」
「まぁそこは心配しなくても大丈夫だぞ、と。オレがヒロインと一緒に行くからな。それに――」
レノは少し腕を緩めると、俯くヒロインの顔を覗き込み、片目を瞑ってみせた。
「ヒロインは脇役じゃなくてヒロインだからな。死ぬわけないぞ、と」
今にも倒れそうなほど青白い顔をしていたヒロインの頬に赤みがさした。
「なっ…!な、何言ってるんですか!!」
ヒロインの声が裏返った。思い切り胸を押され、ヒロインがレノの腕をすり抜ける。
「おっと」
レノの腕が届く範囲から逃れたヒロインは照れくさそうな表情をしていた。
「でも、ありがとうございます。元気、出ました」
絶対に大丈夫。
そうヒロインが呟いたのが聞こえた。信頼に応えなければと、レノは気合を入れた。
「ヒロイン、この任務が終わったら――」
「ダメです!!」
ヒロインが慌ててレノの口を手で押さえた。
「それ死亡フラグです!」
真剣な顔をしているヒロインがおかしくて、レノは思わず吹き出した。
そして、ヒロインの手を取ると、その甲にキスをした。
「そんなもんへし折って、ジュノンの海に投げ捨ててやるぞ、と」
ヒロインは真っ赤な顔をして、口をパクパクさせていた。
「じゃあ、また後でな」
ちらりと振り返ると、顔を両手で覆って蹲るヒロインが見えた。
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自分が同行するので万が一は起こらないだろうが、少し話をしておかなければならない。
レノはヒロインにメッセージを送ると、ヒロインが向かったであろうトイレの方に足を向けた。
ちょうど、ヒロインがトイレから出てきたところだった。憔悴しきった顔が痛々しい。
レノはヒロインに駆け寄ると、そのまま抱き締めた。
いつものように照れたり、慌てたり、驚いたりすることもない。それだけ、追い詰められているということだろう。
「大丈夫か?」
「…全然、大丈夫じゃないです」
とりあえずレノはほっとした。素直に弱音を吐けるのは、相手に甘える余裕があるということだ。虚勢を張られるよりはいい。
「映画だと、初めて現場に出た脇役って高確率で死ぬじゃないですか。全然、生きて帰れる気がしません…」
「まぁそこは心配しなくても大丈夫だぞ、と。オレがヒロインと一緒に行くからな。それに――」
レノは少し腕を緩めると、俯くヒロインの顔を覗き込み、片目を瞑ってみせた。
「ヒロインは脇役じゃなくてヒロインだからな。死ぬわけないぞ、と」
今にも倒れそうなほど青白い顔をしていたヒロインの頬に赤みがさした。
「なっ…!な、何言ってるんですか!!」
ヒロインの声が裏返った。思い切り胸を押され、ヒロインがレノの腕をすり抜ける。
「おっと」
レノの腕が届く範囲から逃れたヒロインは照れくさそうな表情をしていた。
「でも、ありがとうございます。元気、出ました」
絶対に大丈夫。
そうヒロインが呟いたのが聞こえた。信頼に応えなければと、レノは気合を入れた。
「ヒロイン、この任務が終わったら――」
「ダメです!!」
ヒロインが慌ててレノの口を手で押さえた。
「それ死亡フラグです!」
真剣な顔をしているヒロインがおかしくて、レノは思わず吹き出した。
そして、ヒロインの手を取ると、その甲にキスをした。
「そんなもんへし折って、ジュノンの海に投げ捨ててやるぞ、と」
ヒロインは真っ赤な顔をして、口をパクパクさせていた。
「じゃあ、また後でな」
ちらりと振り返ると、顔を両手で覆って蹲るヒロインが見えた。
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