彼の隣、彼女の隣 6
ヒロイン
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おはようさん」
レノはブリーフィングのかなり前に出社した。余裕を持って行動したレノに対し、ツォンが目を丸くした。
「珍しいこともあったものだな」
レノは肩を竦めた。どうせ家にいてもすることがない。
「ツォンさん、作戦の内容は?」
ツォンがレノにタブレットを差し出した。
「敵の殲滅はいいとして、サーバルームの破壊ってなんすか」
「今朝わかった情報だ。データは暗号化されているが、持ち出される前に破壊したいとのことだ」
電話の際に、ツォンが慌てていた理由がわかった。
「それもオレらの担当か?」
「そっちは情報課からエンジニアを出してもらうことになっている。我々の仕事は、敵の殲滅だ」
「情報課…?」
今日から出張と言っていたヒロインが一番最初に思い浮かんだ。
(まさか、な…)
ヒロインは銃など撃ったこともないだろう。軍事作戦に抜擢されるような経歴ではないはずだが、レノは一抹の不安を覚えた。
時間になったので、レノは今日の作戦をともにする例の生意気な後輩と一緒にブリーフィングルームに向かっていた。
「なぁレノ」
「なんだよ」
「噂になってるぜ」
「何が」
レノは眉根を寄せた。
「土曜日。レノがケーキ買って、彼女の家に向かってるの見たって」
「は?」
見られていたのか。レノは軽く舌打ちした。
「朝から女性陣は阿鼻叫喚。絶対別れさせる!って息巻いてたぜ」
バカバカしいと思ったが、笑い飛ばすことはできなかった。ヒロインはまだ『彼女』ではないが、もしヒロインだと特定されてしまったら?ヒロインが傷つくのだけは絶対に避けなければ。しばらくは、表立って会うのはやめたほうが良さそうだ。
「噂をすれば。彼女だろ?前にリフレッシュフロアにいた――」
後輩の視線の先に目を向ける。
後ろ姿だったが、間違いなかった。
「ヒロイン…?」
ヒロインは自分たちが向かう予定のブリーフィングルームに入っていった。
――今日から出張で…
――情報課からエンジニアを…
レノはヒロインを追って、ブリーフィングルームに入った。
入って正面、先日リフレッシュフロアで突き放した女が立っていた。
「これで、全員揃ったかしら?」
不敵な笑みを浮かべた女性を見て、レノは今回の作戦にヒロインが参加することになった理由を察した。
(嫌がらせにしては、度が過ぎてるぞ、と)
レノは真っ直ぐ女性を睨みつけた。
.
レノはブリーフィングのかなり前に出社した。余裕を持って行動したレノに対し、ツォンが目を丸くした。
「珍しいこともあったものだな」
レノは肩を竦めた。どうせ家にいてもすることがない。
「ツォンさん、作戦の内容は?」
ツォンがレノにタブレットを差し出した。
「敵の殲滅はいいとして、サーバルームの破壊ってなんすか」
「今朝わかった情報だ。データは暗号化されているが、持ち出される前に破壊したいとのことだ」
電話の際に、ツォンが慌てていた理由がわかった。
「それもオレらの担当か?」
「そっちは情報課からエンジニアを出してもらうことになっている。我々の仕事は、敵の殲滅だ」
「情報課…?」
今日から出張と言っていたヒロインが一番最初に思い浮かんだ。
(まさか、な…)
ヒロインは銃など撃ったこともないだろう。軍事作戦に抜擢されるような経歴ではないはずだが、レノは一抹の不安を覚えた。
時間になったので、レノは今日の作戦をともにする例の生意気な後輩と一緒にブリーフィングルームに向かっていた。
「なぁレノ」
「なんだよ」
「噂になってるぜ」
「何が」
レノは眉根を寄せた。
「土曜日。レノがケーキ買って、彼女の家に向かってるの見たって」
「は?」
見られていたのか。レノは軽く舌打ちした。
「朝から女性陣は阿鼻叫喚。絶対別れさせる!って息巻いてたぜ」
バカバカしいと思ったが、笑い飛ばすことはできなかった。ヒロインはまだ『彼女』ではないが、もしヒロインだと特定されてしまったら?ヒロインが傷つくのだけは絶対に避けなければ。しばらくは、表立って会うのはやめたほうが良さそうだ。
「噂をすれば。彼女だろ?前にリフレッシュフロアにいた――」
後輩の視線の先に目を向ける。
後ろ姿だったが、間違いなかった。
「ヒロイン…?」
ヒロインは自分たちが向かう予定のブリーフィングルームに入っていった。
――今日から出張で…
――情報課からエンジニアを…
レノはヒロインを追って、ブリーフィングルームに入った。
入って正面、先日リフレッシュフロアで突き放した女が立っていた。
「これで、全員揃ったかしら?」
不敵な笑みを浮かべた女性を見て、レノは今回の作戦にヒロインが参加することになった理由を察した。
(嫌がらせにしては、度が過ぎてるぞ、と)
レノは真っ直ぐ女性を睨みつけた。
.