真紅、純白のち漆黒
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
結婚式が始まる3時間前に、オレとヒロインは配置についた。式の開始前に終わらせる。
ヒロインは新郎、オレは元カノ。それぞれの控室で殺す。ただそれだけの作戦だった。
「レノ…どうして…」
純白のウェディングドレスを着た元カノが目に涙を浮かべ、オレを見上げる。
元カノは、とても綺麗だった。あの頃よりも、ずっと。
「お願い…せめて、あの人と一緒に――」
あぁ、そんなこと聞かせないでくれ。
引き金に掛かる指の震えが止まってしまう。
頼むから、あのときの元カノのままでいてくれ。
『レノ、新郎がいない。彼女から聞き出して』
引き金を引く寸前、ヒロインからの通信が入った。
一瞬だけ、元カノから目をそらした。
「どうして邪魔するの!?」
憎々しげに顔を歪ませた元カノが掴みかかってきた。銃が天井を向き、一発の銃弾が天井に向かって発射された。
元カノを振りほどくと、オレは床に倒れた元カノの腹を片足で踏みつけ、顔面に銃口を突きつけた。
「あいつはどこ行った?今すぐ言うなら、顔ぐらいは綺麗に残してやるぞ、と」
「どこか遠く。私の代わりに、あの子に行ってもらおうかな」
元カノの視線がオレの背後に向かう。
「レノ、あいつの行方――」
ヒロインの声が、爆発音で掻き消された。
それと同時に、オレも爆風で壁に打ち付けられた。しかし、打撲だけでほぼ無傷だった。
「指向性爆弾。本当は、レノを殺そうと思ったんだけどな」
先ほどとは逆で、床に転がったオレを元カノが踏みつけていた。その手には小さな銃。威力は低いが、この至近距離であればあまり関係がなかった。
「レノと違って、あの人はちゃんと私といてくれたの。言うことも聞いてくれた。お願いしたら、兵器の横流しまでしてね。おかげで、あなたにもう一度会えた」
元カノの表情は、今まで見たことがないぐらい醜く歪んでいた。
「ねえ、覚えてる?このドレス、結婚式で着たいって言ったの。ふふ…よかった、半分叶って」
こいつにこんな顔をさせたのは誰だ?
なぁ、そんな顔、一度もしたことなかっただろ?
「元カノ。最期ぐらい、昔みたいに笑ってくれよ、と」
部屋に銃声が響き、元カノが狂った笑顔のままオレの上に倒れ込んだ。オレは、元カノの身体をきつく抱き締めた。
流れる血は温かいのに、どうしてこんなに身体が冷たいんだ?
「…あとは任せる」
銃を下ろしたヒロインが言った。
.
ヒロインは新郎、オレは元カノ。それぞれの控室で殺す。ただそれだけの作戦だった。
「レノ…どうして…」
純白のウェディングドレスを着た元カノが目に涙を浮かべ、オレを見上げる。
元カノは、とても綺麗だった。あの頃よりも、ずっと。
「お願い…せめて、あの人と一緒に――」
あぁ、そんなこと聞かせないでくれ。
引き金に掛かる指の震えが止まってしまう。
頼むから、あのときの元カノのままでいてくれ。
『レノ、新郎がいない。彼女から聞き出して』
引き金を引く寸前、ヒロインからの通信が入った。
一瞬だけ、元カノから目をそらした。
「どうして邪魔するの!?」
憎々しげに顔を歪ませた元カノが掴みかかってきた。銃が天井を向き、一発の銃弾が天井に向かって発射された。
元カノを振りほどくと、オレは床に倒れた元カノの腹を片足で踏みつけ、顔面に銃口を突きつけた。
「あいつはどこ行った?今すぐ言うなら、顔ぐらいは綺麗に残してやるぞ、と」
「どこか遠く。私の代わりに、あの子に行ってもらおうかな」
元カノの視線がオレの背後に向かう。
「レノ、あいつの行方――」
ヒロインの声が、爆発音で掻き消された。
それと同時に、オレも爆風で壁に打ち付けられた。しかし、打撲だけでほぼ無傷だった。
「指向性爆弾。本当は、レノを殺そうと思ったんだけどな」
先ほどとは逆で、床に転がったオレを元カノが踏みつけていた。その手には小さな銃。威力は低いが、この至近距離であればあまり関係がなかった。
「レノと違って、あの人はちゃんと私といてくれたの。言うことも聞いてくれた。お願いしたら、兵器の横流しまでしてね。おかげで、あなたにもう一度会えた」
元カノの表情は、今まで見たことがないぐらい醜く歪んでいた。
「ねえ、覚えてる?このドレス、結婚式で着たいって言ったの。ふふ…よかった、半分叶って」
こいつにこんな顔をさせたのは誰だ?
なぁ、そんな顔、一度もしたことなかっただろ?
「元カノ。最期ぐらい、昔みたいに笑ってくれよ、と」
部屋に銃声が響き、元カノが狂った笑顔のままオレの上に倒れ込んだ。オレは、元カノの身体をきつく抱き締めた。
流れる血は温かいのに、どうしてこんなに身体が冷たいんだ?
「…あとは任せる」
銃を下ろしたヒロインが言った。
.