真紅、純白のち漆黒
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
かつて愛した人が、別の男と一緒になると人伝に聞いた。
彼女は明日、あの男と永遠の愛を誓い、結ばれる。
きっと、彼女もあの男も、今の幸せが永遠に続くと信じていることだろう。
しかし、この世に永遠なんて言うものはなく、愛だろうがなんだろうが壊れるときは一瞬。
オレたちがそうだったように。
「何も明日じゃなくてもいいんじゃないの?」
ビール缶に口をつけながら、彼女であり同僚のヒロインが頬杖をついて言った。
「式まで12時間。準備して殺してもお釣りくると思うけど?」
ヒロインはつまらなそうに監視カメラの映像を見ている。
深夜のオフィスで、オレたち二人はターゲットの家に仕掛けた隠しカメラでターゲットの様子を覗き見していた。
ターゲットはオレの元カノの未来の旦那。未来と言っても、もう12時間後のことだが。
「最近の子はバチェラー・パーティーとかしないんだね。未来の奥様一筋か」
聖なる式の前に性行為を始めた二人をヒロインが鼻で笑った。
オレは黙って音声を消し、画面から目を背けた。
「ねえ、せっかくだし、私たちもしよ?」
ヒロインがジャケットを脱いで、オレの上に座る。二人分の重さでオフィスの椅子が沈んだ。
見上げたヒロインの顔には、冷酷な笑みが浮かんでいた。
「あんた、本当に殺せるの?今回、ルードじゃなくて私がサポートにつく意味、わかってるよね?」
「あぁ」
「どうだか。ターゲットはあんたの元カノとその旦那。明日の朝までに100回ぐらい繰り返して、頭に叩き込んどいて。寝る」
それだけ言うと、ヒロインは仮眠室に消えていった。
本来のターゲットは、ヒロインが言う通り、元カノと旦那だ。
本当に殺せるか?簡単に頷けるなら、今ここにはいないんだぞ、と。
元カノとは長い付き合いだった。いつか二人で結婚して、子供を作って――と当たり前の幸せを夢見たこともあった。お互い思い合っていたはずだったのに、些細なすれ違いから一瞬で関係が崩れた。気がつけば、彼女は別の男と結婚することになり、オレは惨めにも二人を監視している。
彼女の旦那は神羅の兵器開発部門の在庫管理責任者だった。あろうことか、あいつは金に釣られ、反神羅組織に軍用兵器を横流しした。それを回収したタークスが横流しした人物を見逃すはずもない。当然、あいつの殺害命令が出る。それだけならよかった。しかし、今回の件には元カノも関わっていたことが発覚し、タークスは――いや、オレは、元カノの殺害も計画に組み込んだ。そして、その計画が承認されたのが、元カノの結婚式の前日だった。
ヒロインが言っていることは正しい。自分が言いだしたことだ。
元カノも殺さなければならない。
翌早朝、起きてきたヒロインがオレの頬にキスをした。
「夜通しお疲れ様。覚悟はできた?あの子を幸せにするのも不幸にするのも、あんた次第よ」
そう言うと、ヒロインは武器庫に消えた。
ちゃんとわかってるぞ、と。
オレが、元カノを殺さなければならないことぐらい。
.
彼女は明日、あの男と永遠の愛を誓い、結ばれる。
きっと、彼女もあの男も、今の幸せが永遠に続くと信じていることだろう。
しかし、この世に永遠なんて言うものはなく、愛だろうがなんだろうが壊れるときは一瞬。
オレたちがそうだったように。
「何も明日じゃなくてもいいんじゃないの?」
ビール缶に口をつけながら、彼女であり同僚のヒロインが頬杖をついて言った。
「式まで12時間。準備して殺してもお釣りくると思うけど?」
ヒロインはつまらなそうに監視カメラの映像を見ている。
深夜のオフィスで、オレたち二人はターゲットの家に仕掛けた隠しカメラでターゲットの様子を覗き見していた。
ターゲットはオレの元カノの未来の旦那。未来と言っても、もう12時間後のことだが。
「最近の子はバチェラー・パーティーとかしないんだね。未来の奥様一筋か」
聖なる式の前に性行為を始めた二人をヒロインが鼻で笑った。
オレは黙って音声を消し、画面から目を背けた。
「ねえ、せっかくだし、私たちもしよ?」
ヒロインがジャケットを脱いで、オレの上に座る。二人分の重さでオフィスの椅子が沈んだ。
見上げたヒロインの顔には、冷酷な笑みが浮かんでいた。
「あんた、本当に殺せるの?今回、ルードじゃなくて私がサポートにつく意味、わかってるよね?」
「あぁ」
「どうだか。ターゲットはあんたの元カノとその旦那。明日の朝までに100回ぐらい繰り返して、頭に叩き込んどいて。寝る」
それだけ言うと、ヒロインは仮眠室に消えていった。
本来のターゲットは、ヒロインが言う通り、元カノと旦那だ。
本当に殺せるか?簡単に頷けるなら、今ここにはいないんだぞ、と。
元カノとは長い付き合いだった。いつか二人で結婚して、子供を作って――と当たり前の幸せを夢見たこともあった。お互い思い合っていたはずだったのに、些細なすれ違いから一瞬で関係が崩れた。気がつけば、彼女は別の男と結婚することになり、オレは惨めにも二人を監視している。
彼女の旦那は神羅の兵器開発部門の在庫管理責任者だった。あろうことか、あいつは金に釣られ、反神羅組織に軍用兵器を横流しした。それを回収したタークスが横流しした人物を見逃すはずもない。当然、あいつの殺害命令が出る。それだけならよかった。しかし、今回の件には元カノも関わっていたことが発覚し、タークスは――いや、オレは、元カノの殺害も計画に組み込んだ。そして、その計画が承認されたのが、元カノの結婚式の前日だった。
ヒロインが言っていることは正しい。自分が言いだしたことだ。
元カノも殺さなければならない。
翌早朝、起きてきたヒロインがオレの頬にキスをした。
「夜通しお疲れ様。覚悟はできた?あの子を幸せにするのも不幸にするのも、あんた次第よ」
そう言うと、ヒロインは武器庫に消えた。
ちゃんとわかってるぞ、と。
オレが、元カノを殺さなければならないことぐらい。
.
1/3ページ