悩める彼女に愛の手を 3
ヒロイン
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
結局、眠れないまま一夜を明かしたヒロインは、目の下に隈を作ったまま、朝食の席についた。
ルーファウスが眉をひそめたのが見えた。
「ひどい顔だな」
ひどい言い草だと思ったが、口にはしなかった。
使用人が部屋から出るのを待って、ヒロインは口を開いた。
「何人殺したの?」
ルーファウスの手が一瞬だけ止まった。
「…先日の男を入れて6人だ。これで敵は一掃できた。安心していいぞ」
「どうして、そこまでしてくれるの…?私、何もできないのに」
苦しくて苦しくてたまらない。声が詰まり、自然と涙が流れた。
「最初に言っただろう、償うと。お前は気に病まなくていい。死ぬべき人間が死んだだけだ」
顔を上げた先には、穏やかに微笑むルーファウスがいた。
「何もできないと言ったが、手のかかる妹と過ごすのは意外と楽しくてな。日々のいい刺激になっている」
ヒロインは乱暴に両手で涙を拭った。自然と顔には笑みが浮かんだ。
「そっか。兄さんの役に立ててるなら、私もうれしい」
冗談以外でルーファウスを兄と呼んだことはなかったが、改めて呼んでみると意外としっくりときた。心のつかえが取れたおかげだろうか。
安心したら、半日ぶりに食欲が戻ってきた。人生をやり直す手助けに感謝しながら、ヒロインはルーファウスと朝食をとった。
ヒロインは午後から出社した。いつものように、何事もなく時間が過ぎていく。当たり前だった日常が続いていることに安堵し、ヒロインは業務をこなし、定時に仕事を上がった。
「お先に失礼します」
会社を出たヒロインは、真っ直ぐ帰宅した。
放置したままのピザをまず片付けなければならない。
レノと一緒に食べようとしたことを思い出すと、ヒロインの心は暗く沈んだ。
きっとレノは思ったことだろう。ヒロインのことを、まともに話すらできない女だと。
仕事を始めて、少しは人見知りが改善されたと思っていたが、レノの前では全くダメだった。
そして昨日、レノは知ったはずだ。自分が今までどんなことをしてきたかを。
(もう、会いたくないな…)
きっと、軽蔑している。それが自分から望んだことではないとしても。
過去に繋がる人物を全員殺したとしても、過去は変わらない。
「おつかれさん」
帰宅したマンションのエントランスで待ち構える人物を見てすぐ、ヒロインは反転した。
「そりゃないだろ。さすがに傷つくぞ、と」
レノの少し困ったような声が背中にぶつかり、ヒロインは足を止めて振り返った。
「…どうして、ここに?」
「ヒロインに会いたくなったからだぞ、と」
自分は会いたくなかったとは言えず、ヒロインは下を向いて黙り込んだ。
「その顔、不意打ちで来て正解だったな。よし、飯行こうぜ」
にやりと笑ったレノが強引にヒロインの手を取り、歩き出した。
「え!?」
断る暇も、手を振りほどく暇もないまま、ヒロインはレノに連れられ、おしゃれなレストランに入った。
.
ルーファウスが眉をひそめたのが見えた。
「ひどい顔だな」
ひどい言い草だと思ったが、口にはしなかった。
使用人が部屋から出るのを待って、ヒロインは口を開いた。
「何人殺したの?」
ルーファウスの手が一瞬だけ止まった。
「…先日の男を入れて6人だ。これで敵は一掃できた。安心していいぞ」
「どうして、そこまでしてくれるの…?私、何もできないのに」
苦しくて苦しくてたまらない。声が詰まり、自然と涙が流れた。
「最初に言っただろう、償うと。お前は気に病まなくていい。死ぬべき人間が死んだだけだ」
顔を上げた先には、穏やかに微笑むルーファウスがいた。
「何もできないと言ったが、手のかかる妹と過ごすのは意外と楽しくてな。日々のいい刺激になっている」
ヒロインは乱暴に両手で涙を拭った。自然と顔には笑みが浮かんだ。
「そっか。兄さんの役に立ててるなら、私もうれしい」
冗談以外でルーファウスを兄と呼んだことはなかったが、改めて呼んでみると意外としっくりときた。心のつかえが取れたおかげだろうか。
安心したら、半日ぶりに食欲が戻ってきた。人生をやり直す手助けに感謝しながら、ヒロインはルーファウスと朝食をとった。
ヒロインは午後から出社した。いつものように、何事もなく時間が過ぎていく。当たり前だった日常が続いていることに安堵し、ヒロインは業務をこなし、定時に仕事を上がった。
「お先に失礼します」
会社を出たヒロインは、真っ直ぐ帰宅した。
放置したままのピザをまず片付けなければならない。
レノと一緒に食べようとしたことを思い出すと、ヒロインの心は暗く沈んだ。
きっとレノは思ったことだろう。ヒロインのことを、まともに話すらできない女だと。
仕事を始めて、少しは人見知りが改善されたと思っていたが、レノの前では全くダメだった。
そして昨日、レノは知ったはずだ。自分が今までどんなことをしてきたかを。
(もう、会いたくないな…)
きっと、軽蔑している。それが自分から望んだことではないとしても。
過去に繋がる人物を全員殺したとしても、過去は変わらない。
「おつかれさん」
帰宅したマンションのエントランスで待ち構える人物を見てすぐ、ヒロインは反転した。
「そりゃないだろ。さすがに傷つくぞ、と」
レノの少し困ったような声が背中にぶつかり、ヒロインは足を止めて振り返った。
「…どうして、ここに?」
「ヒロインに会いたくなったからだぞ、と」
自分は会いたくなかったとは言えず、ヒロインは下を向いて黙り込んだ。
「その顔、不意打ちで来て正解だったな。よし、飯行こうぜ」
にやりと笑ったレノが強引にヒロインの手を取り、歩き出した。
「え!?」
断る暇も、手を振りほどく暇もないまま、ヒロインはレノに連れられ、おしゃれなレストランに入った。
.