とある日の記憶
ヒロイン
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「リモートワーク推奨…」
暇すぎて社内ポータルを見ていたヒロインは、そのお知らせのリンクをクリックした。
『オフィス混雑緩和のため、リモートワークを推奨することにしました。一般社員については、来週から…』
「一般社員…」
総務部調査課。通称タークス。
いかにも一般社員が所属していそうな部署名なのに、一般的な社員など一人もいない。暗殺、諜報、工作、誘拐、裏のお仕事何でもござれの便利屋集団だ。
「まーたうちら対象外じゃん…」
ヒロインは椅子の背もたれに体重をかけた。
「つーかさ、何でうちらはいっつもハブられてんの!?一応社員なのに!!」
「一応じゃなくても社員だが」
向かいで飲んでいるルードが真面目に突っ込む。
「んなもん、オレらは直接現地行ってなんぼじゃねーか」
同じく向かいに座るレノが呆れたように言う。
ヒロインは二人を睨んだ。
「そりゃお二人はいいですよねー。近接メインだから。あんたたち、狙撃手の気持ち考えたことある?腰痛いの!毎回しんどいの!!」
「じゃあお前も近接転向しろよ。この前、軍の訓練行ってただろ」
ヒロインは机に突っ伏した。
「…その話はしたくない」
「神羅兵と模擬戦をして失神したらしい」
ルードが無情にも暴露した。
「まじかよ!お前、それはいくらなんでもセンスなさすぎだぞ、と」
レノが腹を抱えて笑った。
「うっさい」
ヒロインは顔を上げてレノとルードを交互に睨んだが、二人とも全く意に介していなかった。
「もうあんたらの仕事の援護してやらない」
「それは困る」
「それは困るぞ、と」
さすがコンビ。無駄にハモっている。
なんだかそれも腹立たしく、ヒロインは店員が持ってきたばかりのビールジョッキを手にとると、一気に飲み干した。
「まったく、世話の焼けるやつだぞ、と」
レノは酔っ払ったヒロインを背負い、駅に向かって歩いていた。
「なぁ、起きてんだろ?自分で歩けよ」
「いやだ」
レノは溜息をついた。
「さっきの、模擬戦の話だけどよ。少しは近接戦の訓練しとけよ。オレらが守ってやれねえことだってあるんだぞ、と」
「じゃあ教えてよ」
「なら今から寝技の練習するか」
「ばかか」
ヒロインが腕に力を入れた。
首が締まる。
「苦しい…!」
レノがヒロインの腕を叩くと、締める力が弱まった。
「次やったらその辺に捨てて帰るぞ、と」
「近接戦に弱い後輩を捨てていくなんてひどい!」
「先輩の首締めるやつを後輩とは言わないぞ、と」
繁華街のど真ん中で大声で言い合いをする二人を見ながら、ルードは仲がいいと思ったとかいないとか。
END
2020/06/03
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暇すぎて社内ポータルを見ていたヒロインは、そのお知らせのリンクをクリックした。
『オフィス混雑緩和のため、リモートワークを推奨することにしました。一般社員については、来週から…』
「一般社員…」
総務部調査課。通称タークス。
いかにも一般社員が所属していそうな部署名なのに、一般的な社員など一人もいない。暗殺、諜報、工作、誘拐、裏のお仕事何でもござれの便利屋集団だ。
「まーたうちら対象外じゃん…」
ヒロインは椅子の背もたれに体重をかけた。
「つーかさ、何でうちらはいっつもハブられてんの!?一応社員なのに!!」
「一応じゃなくても社員だが」
向かいで飲んでいるルードが真面目に突っ込む。
「んなもん、オレらは直接現地行ってなんぼじゃねーか」
同じく向かいに座るレノが呆れたように言う。
ヒロインは二人を睨んだ。
「そりゃお二人はいいですよねー。近接メインだから。あんたたち、狙撃手の気持ち考えたことある?腰痛いの!毎回しんどいの!!」
「じゃあお前も近接転向しろよ。この前、軍の訓練行ってただろ」
ヒロインは机に突っ伏した。
「…その話はしたくない」
「神羅兵と模擬戦をして失神したらしい」
ルードが無情にも暴露した。
「まじかよ!お前、それはいくらなんでもセンスなさすぎだぞ、と」
レノが腹を抱えて笑った。
「うっさい」
ヒロインは顔を上げてレノとルードを交互に睨んだが、二人とも全く意に介していなかった。
「もうあんたらの仕事の援護してやらない」
「それは困る」
「それは困るぞ、と」
さすがコンビ。無駄にハモっている。
なんだかそれも腹立たしく、ヒロインは店員が持ってきたばかりのビールジョッキを手にとると、一気に飲み干した。
「まったく、世話の焼けるやつだぞ、と」
レノは酔っ払ったヒロインを背負い、駅に向かって歩いていた。
「なぁ、起きてんだろ?自分で歩けよ」
「いやだ」
レノは溜息をついた。
「さっきの、模擬戦の話だけどよ。少しは近接戦の訓練しとけよ。オレらが守ってやれねえことだってあるんだぞ、と」
「じゃあ教えてよ」
「なら今から寝技の練習するか」
「ばかか」
ヒロインが腕に力を入れた。
首が締まる。
「苦しい…!」
レノがヒロインの腕を叩くと、締める力が弱まった。
「次やったらその辺に捨てて帰るぞ、と」
「近接戦に弱い後輩を捨てていくなんてひどい!」
「先輩の首締めるやつを後輩とは言わないぞ、と」
繁華街のど真ん中で大声で言い合いをする二人を見ながら、ルードは仲がいいと思ったとかいないとか。
END
2020/06/03
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