I wish you were happy.
ヒロイン
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明るくて、誰にでも優しくて、よく気がつく自慢の妹。
彼に会ったのは、その妹の葬儀のときだった。
レノは何も語らず、ずっと私に頭を下げていた。
「あんたのせいで!!」
会ったら、そう罵ってやろうと思っていた。この男のせいで妹は死んだのだから。
彼は何も言わなかった。だから、私も言葉を飲み込んだ。
「レノは優しい人だから」
最後に会ったとき、妹が言っていた言葉を思い出したからかもしれない。
でも、私は彼が嫌いだった。
『あのとき』からずっと。
ねえ、ずっと消えないの。
ずっと痛くて痛くてたまらないの。
だからお願い。
ほら、私を見て?
私と妹は双子で、見た目だけは本当にそっくりだった。
だから、ひどく酔ったレノが間違うのは容易に想像できた。
たとえ、妹がもうこの世にいないとしても。
「ヒロイン…」
葬儀から数日経ち、妹の遺品をレノの家に取りに行った日、彼は妹の名を呼びながら私を抱いた。
ねえ、覚えてる?
あの日もこうやって、私のこと無理矢理犯したでしょう。
あれから、レノと一緒にいることが増えた。
1週間、1日おき、毎日。
ねえ、どんな気分?
もういないはずの人の幻想を重ねて、別の女を抱くのは。
「レノ」
同じ見た目で、同じ声であなたの名前を呼ぶと、あなたは嬉しそうな悲しそうな顔をする。
私は、その顔が一番好き。
わかっているんでしょう?
ヒロインがもういないこと。
でも、溺れたいんでしょう?
自分の後悔が薄れるから。
今が悪夢の只中だとしても、夢から醒めるよりはいいでしょう?
あなたが望むなら、私はあなたにずっと夢を見せてあげる。
夜は一緒に手を繋いで寝るの。
そして、一緒に朝を迎える。
何度も何度もそれを繰り返して、隣りにいる人を誰よりも愛おしく思ってしまったなら。
きっとそれは、とてもとても残酷なことだと思う。
そんな日が来るといい。
END
2020/06/02
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彼に会ったのは、その妹の葬儀のときだった。
レノは何も語らず、ずっと私に頭を下げていた。
「あんたのせいで!!」
会ったら、そう罵ってやろうと思っていた。この男のせいで妹は死んだのだから。
彼は何も言わなかった。だから、私も言葉を飲み込んだ。
「レノは優しい人だから」
最後に会ったとき、妹が言っていた言葉を思い出したからかもしれない。
でも、私は彼が嫌いだった。
『あのとき』からずっと。
ねえ、ずっと消えないの。
ずっと痛くて痛くてたまらないの。
だからお願い。
ほら、私を見て?
私と妹は双子で、見た目だけは本当にそっくりだった。
だから、ひどく酔ったレノが間違うのは容易に想像できた。
たとえ、妹がもうこの世にいないとしても。
「ヒロイン…」
葬儀から数日経ち、妹の遺品をレノの家に取りに行った日、彼は妹の名を呼びながら私を抱いた。
ねえ、覚えてる?
あの日もこうやって、私のこと無理矢理犯したでしょう。
あれから、レノと一緒にいることが増えた。
1週間、1日おき、毎日。
ねえ、どんな気分?
もういないはずの人の幻想を重ねて、別の女を抱くのは。
「レノ」
同じ見た目で、同じ声であなたの名前を呼ぶと、あなたは嬉しそうな悲しそうな顔をする。
私は、その顔が一番好き。
わかっているんでしょう?
ヒロインがもういないこと。
でも、溺れたいんでしょう?
自分の後悔が薄れるから。
今が悪夢の只中だとしても、夢から醒めるよりはいいでしょう?
あなたが望むなら、私はあなたにずっと夢を見せてあげる。
夜は一緒に手を繋いで寝るの。
そして、一緒に朝を迎える。
何度も何度もそれを繰り返して、隣りにいる人を誰よりも愛おしく思ってしまったなら。
きっとそれは、とてもとても残酷なことだと思う。
そんな日が来るといい。
END
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