悩める彼女に愛の手を 2
ヒロイン
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5分ほどで身支度を整えたヒロインは、レノとピザを招き入れた。
「散らかっていますが…」
テーブルの上にあったものはベッドの下に押し込み、なんとか見た目だけは綺麗になった。
「なんかいろいろと悪かったな」
「事前にご連絡いただけると助かります…」
「ん?ヒロインがメールくれたんじゃないのか?」
「え?」
何かがおかしい。
「…ちょっと、メール見せていただけますか?」
レノがメールの画面を出してくれた。ヒロインはレノから携帯を受け取ると、差出人とメールの内容を確認した。
『先日のお礼をしたいので、うちに来ていただけませんか?』
確かに送信元は自分のアドレスだが、メールの内容に心当たりがなかった。であれば、こんなことをするのは一人である。しびれを切らして、先手を打ったと思われる。
(これ、普通に犯罪でしょ…)
ヒロインは軽くルーファウスに怒りを覚えたが、メールで連絡するのは思いつかなかったと、素直に関心もした。メールという手段を思いついていれば、こんなに悩まなくても済んだものを…。
「レノさん、すみません。あの人がご迷惑をおかけしたようで…」
「…社長か」
レノが苦笑した。
「手の混んだイタズラだな」
ヒロインの心がずきりと傷んだ。ルーファウスはヒロインを後押しするために、半分善意、半分悪意でやったのだろう。ただ、そのせいでレノに迷惑をかけたのも事実だった。
そのせいでレノが怒っているのも、ルーファウスが悪く思われるのも辛い。きちんと誤解を解かなければと、ヒロインは一つ深呼吸して、レノの目を真っ直ぐに見て言った。
「すみません…!全部、私のせいなんです!私が、優柔不断でちゃんとできなかったから…ちょっとその、強引な手段を――だからあの人を責めないでもらえませんか?」
レノはきょとんとしたあと、吹き出した。
「いや、全然怒ってないぞ、と。それより、『ちゃんとできなかった』ってのは?」
ヒロインははっと我に返った。勢いでとんでもないことを言ってしまったようだ。
レノはこちらをじっと見ている。きっと嘘や誤魔化しなど通用しない。正直に話さなければと思うが、対面は電話よりも難易度が高い。
(もう散々恥ずかしいところ見られてるし、今更少しぐらい!)
ヒロインは覚悟を決めた。そう、もうどうにでもなれ、だ。
「先日のお礼に、お食事に誘おうとして…その、今に至るというか…」
だんだん声が小さくなる。胸の前で握った手に爪が食い込む。その痛みが、逃げようとするヒロインを留まらせた。
「だから、今日は一緒にピザ食べませんか!?」
緊張で倒れそうだった。頭がくらくらする。
(あれ、本当になんかぐらぐらする…?)
「ヒロイン!?」
遠くでレノが呼ぶ声が聞こえた。
レノはその場に倒れたヒロインを慌てて抱き起こした。
倒れるほど緊張していたのかと思うと、ヒロインが可愛らしくもあり、その原因が確実に自分にあると思うと申し訳なくもなる。
そういえば、とレノは思い出す。
隣に住んでいた彼女も、あまり人と話すのは得意ではなさそうだった。
「本当にお前なのか?ヒロイン…?」
レノはベッドで眠るヒロインの頬を優しく撫でた。
END?
2020/05/29
.
「散らかっていますが…」
テーブルの上にあったものはベッドの下に押し込み、なんとか見た目だけは綺麗になった。
「なんかいろいろと悪かったな」
「事前にご連絡いただけると助かります…」
「ん?ヒロインがメールくれたんじゃないのか?」
「え?」
何かがおかしい。
「…ちょっと、メール見せていただけますか?」
レノがメールの画面を出してくれた。ヒロインはレノから携帯を受け取ると、差出人とメールの内容を確認した。
『先日のお礼をしたいので、うちに来ていただけませんか?』
確かに送信元は自分のアドレスだが、メールの内容に心当たりがなかった。であれば、こんなことをするのは一人である。しびれを切らして、先手を打ったと思われる。
(これ、普通に犯罪でしょ…)
ヒロインは軽くルーファウスに怒りを覚えたが、メールで連絡するのは思いつかなかったと、素直に関心もした。メールという手段を思いついていれば、こんなに悩まなくても済んだものを…。
「レノさん、すみません。あの人がご迷惑をおかけしたようで…」
「…社長か」
レノが苦笑した。
「手の混んだイタズラだな」
ヒロインの心がずきりと傷んだ。ルーファウスはヒロインを後押しするために、半分善意、半分悪意でやったのだろう。ただ、そのせいでレノに迷惑をかけたのも事実だった。
そのせいでレノが怒っているのも、ルーファウスが悪く思われるのも辛い。きちんと誤解を解かなければと、ヒロインは一つ深呼吸して、レノの目を真っ直ぐに見て言った。
「すみません…!全部、私のせいなんです!私が、優柔不断でちゃんとできなかったから…ちょっとその、強引な手段を――だからあの人を責めないでもらえませんか?」
レノはきょとんとしたあと、吹き出した。
「いや、全然怒ってないぞ、と。それより、『ちゃんとできなかった』ってのは?」
ヒロインははっと我に返った。勢いでとんでもないことを言ってしまったようだ。
レノはこちらをじっと見ている。きっと嘘や誤魔化しなど通用しない。正直に話さなければと思うが、対面は電話よりも難易度が高い。
(もう散々恥ずかしいところ見られてるし、今更少しぐらい!)
ヒロインは覚悟を決めた。そう、もうどうにでもなれ、だ。
「先日のお礼に、お食事に誘おうとして…その、今に至るというか…」
だんだん声が小さくなる。胸の前で握った手に爪が食い込む。その痛みが、逃げようとするヒロインを留まらせた。
「だから、今日は一緒にピザ食べませんか!?」
緊張で倒れそうだった。頭がくらくらする。
(あれ、本当になんかぐらぐらする…?)
「ヒロイン!?」
遠くでレノが呼ぶ声が聞こえた。
レノはその場に倒れたヒロインを慌てて抱き起こした。
倒れるほど緊張していたのかと思うと、ヒロインが可愛らしくもあり、その原因が確実に自分にあると思うと申し訳なくもなる。
そういえば、とレノは思い出す。
隣に住んでいた彼女も、あまり人と話すのは得意ではなさそうだった。
「本当にお前なのか?ヒロイン…?」
レノはベッドで眠るヒロインの頬を優しく撫でた。
END?
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