悩める彼女に愛の手を
ヒロイン
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レノはヒロインがテラスに向かったのを確認し、少し場所を変えた。両者に何があっても動ける位置で二人を監視する。
ヒロインがいなくなったことで、社長の周りは女性だらけになっていた。こちらはまぁ大丈夫そうだ。
一方のヒロインは、テラスで溜息をついていた。疲れたのだろうか。手にしたグラスは既に空だ。酔っ払ってテラスから落ちなければいいが。
しばらくして、一人の男がヒロインに近づくのが見えた。男は酔っ払っているようだった。
レノは一度社長の状況を確認したあと、素早くテラスに移動した。
ヒロインが困った様子で男に応対していた。知り合いではないようだ。
「社長の従妹が売春婦とは、いいネタができたなぁ。社長はあんたの秘密にいくら払ってくれるかな?」
下品な男の笑い声。
ヒロインの顔が真っ青になったのが見えた。
社長に害為すのであれば、このままにはしておけない。
レノは素早く男に近づくと、後ろから男を羽交い締めにした。
それと同時に、男の右頬に強烈なハイキックが決まった。
「え…うそ」
「マジかよ」
タークス顔負けの鋭い蹴りだった。
レノは思わず羽交い締めにしていた男を離した。男は白目を向いて倒れた。
「あ、やばい。絶対怒られる…」
ヒロインの視線の先には、呆れ顔のルーファウスがいた。
ルーファウスは瞬時に状況を理解したのか、テラス付近にいた人々を部屋の中ほどに誘導していた。そして、テラスに続くガラス扉とカーテンが閉められた。
「どうしよう、これ…」
ヒロインが伸びている男を見下ろしながら言った。
「…とりあえず、応援を呼ぶぞ、と」
レノは上司のツォンに連絡を入れた。簡単に状況を説明すると、すぐに駆けつけるとのことだった。
ツォンを待つ間にレノは男を拘束した。窮屈なネクタイを外す理由ができてうれしかった。
「…飲むか?」
こっそり広間に戻り、ワインボトルとグラスを調達したレノは、テラスのベンチで頭を抱えるヒロインに話しかけた。
「…いただきます」
こちらを見たヒロインの顔に、先程までの作り笑いはなかった。冴えない表情をしている。
レノはヒロインのグラスにワインを注いでやる。ヒロインは注がれたワインを間髪入れずに飲み干した。
「社長、飲みすぎるなって言ってたぞ、と」
「どうせ怒られるなら、酔ってるときのほうがいいでしょ」
ヒロインが床に転がる男を見た。
「あーもう!どうしてこういうことになるかなぁ」
隣で天を仰ぐヒロインは上品でもないし、物腰も柔らかくなかった。とても育ちのいい令嬢には見えない。ただ、今のヒロインには親近感がわいた。
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ヒロインがいなくなったことで、社長の周りは女性だらけになっていた。こちらはまぁ大丈夫そうだ。
一方のヒロインは、テラスで溜息をついていた。疲れたのだろうか。手にしたグラスは既に空だ。酔っ払ってテラスから落ちなければいいが。
しばらくして、一人の男がヒロインに近づくのが見えた。男は酔っ払っているようだった。
レノは一度社長の状況を確認したあと、素早くテラスに移動した。
ヒロインが困った様子で男に応対していた。知り合いではないようだ。
「社長の従妹が売春婦とは、いいネタができたなぁ。社長はあんたの秘密にいくら払ってくれるかな?」
下品な男の笑い声。
ヒロインの顔が真っ青になったのが見えた。
社長に害為すのであれば、このままにはしておけない。
レノは素早く男に近づくと、後ろから男を羽交い締めにした。
それと同時に、男の右頬に強烈なハイキックが決まった。
「え…うそ」
「マジかよ」
タークス顔負けの鋭い蹴りだった。
レノは思わず羽交い締めにしていた男を離した。男は白目を向いて倒れた。
「あ、やばい。絶対怒られる…」
ヒロインの視線の先には、呆れ顔のルーファウスがいた。
ルーファウスは瞬時に状況を理解したのか、テラス付近にいた人々を部屋の中ほどに誘導していた。そして、テラスに続くガラス扉とカーテンが閉められた。
「どうしよう、これ…」
ヒロインが伸びている男を見下ろしながら言った。
「…とりあえず、応援を呼ぶぞ、と」
レノは上司のツォンに連絡を入れた。簡単に状況を説明すると、すぐに駆けつけるとのことだった。
ツォンを待つ間にレノは男を拘束した。窮屈なネクタイを外す理由ができてうれしかった。
「…飲むか?」
こっそり広間に戻り、ワインボトルとグラスを調達したレノは、テラスのベンチで頭を抱えるヒロインに話しかけた。
「…いただきます」
こちらを見たヒロインの顔に、先程までの作り笑いはなかった。冴えない表情をしている。
レノはヒロインのグラスにワインを注いでやる。ヒロインは注がれたワインを間髪入れずに飲み干した。
「社長、飲みすぎるなって言ってたぞ、と」
「どうせ怒られるなら、酔ってるときのほうがいいでしょ」
ヒロインが床に転がる男を見た。
「あーもう!どうしてこういうことになるかなぁ」
隣で天を仰ぐヒロインは上品でもないし、物腰も柔らかくなかった。とても育ちのいい令嬢には見えない。ただ、今のヒロインには親近感がわいた。
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