悩める彼女に愛の手を
ヒロイン
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「何をむくれている」
ルーファウスは応接間のソファでふんぞり返っているヒロインに顔をしかめた。
「仕事終わって飲みに行こうってときに、タークスに拉致られたらこんな顔にもなるわ」
「それは悪かったな。お前に頼みがあって、ツォンに連れてきてもらった。食事でもしながら話そう」
依然として膨れ面のヒロインを連れ、ルーファウスは食事を用意している部屋に移動した。
ヒロインはルーファウスの異母妹にあたる。父と使用人の間に生まれた子供だった。幼い頃はそうと知らず、ルーファウスは年の近いヒロインを可愛がっていた。ルーファウスが思春期に差し掛かる頃、ヒロインが異母妹だと知らされ、彼女と母親は屋敷を去った。
再会したのは、3年前だった。
反神羅組織アバランチがプレジデントの血縁者を狙っていると情報が入り、ツォンが保護に向かった。そして、連れられてきたのがヒロインだった。
二度と会うことがないと思っていた異母妹に再会できたことをルーファウスは喜んだが、ヒロインは違った。
「あんたたちのせいで、私の人生はめちゃくちゃになった」
憎しみに満ちた第一声だった。
言葉の意味を知るため、ルーファウスはヒロインが屋敷を去ってからのことをツォンに調べさせた。母親の死、里子に出された先での虐待。里親は事もあろうにヒロインを売春組織に売ったらしい。ツォンは明言を避けたが、ひどい扱いを受けたのは聞かなくてもわかった。
ルーファウスはヒロインに心から謝罪した。時間を巻き戻すことはできないが、これから誠心誠意償うと。
初めは謝罪を受け入れなかったヒロインだったが、ツォンの説得もあり、ルーファウスの援助を受け入れた。
教育と教養、礼儀作法――ヒロインは嫌がったが、ルーファウスはヒロインに一人で生きていくための武器を与えた。その甲斐あって、ヒロインは見た目も中身も立派なレディになったが、相変わらず口は悪かった。
「それで、頼みって何?」
ワインを1本空けた頃、ヒロインが言った。
ルーファウスは使用人に新しいワインを開けるよう命じ、ヒロインに向き直った。
「私と、明日のパーティーに出てほしい」
「何で。いっぱいいるでしょ、女」
「確かに知り合いの女性は多いが、特定の人はいない」
ヒロインが呆れ顔になる。
「なら、その中から選べば?頼めば、二つ返事でついてくる女いるでしょ」
これほどストレートに物を言う相手は、今ではヒロインしかいない。いや、もう一人。遠慮なしの男がいたか。
ヒロインとの会話は楽しいが、そろそろ首を縦に振ってもらいたいところだ。
「公式の場に同行させて、勘違いされても困る」
「確かに。でも、腹違いの妹はまずいんじゃないの?」
「それについては申し訳ないが、従妹として紹介しようと考えている」
「うん、いいんじゃない、従妹。幸い、そっくりってほどじゃないけど似てるし」
ヒロインの髪もルーファウスと同じ金色だ。ただ、目だけは母親譲りの赤い色だった。
「助かるよ」
無事、ヒロインに了承してもらい、ルーファウスはほっと胸を撫で下ろした。
「ところで、一つ、お願い聞いてほしいな。オニイチャン?」
満面の笑みで、軽く首を傾げたヒロインが言った。
『お兄ちゃん』などと、過去一度でも言ったことがあっただろうか。
嫌な予感しかしなかったが、ルーファウスは頷くしかなかった。
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ルーファウスは応接間のソファでふんぞり返っているヒロインに顔をしかめた。
「仕事終わって飲みに行こうってときに、タークスに拉致られたらこんな顔にもなるわ」
「それは悪かったな。お前に頼みがあって、ツォンに連れてきてもらった。食事でもしながら話そう」
依然として膨れ面のヒロインを連れ、ルーファウスは食事を用意している部屋に移動した。
ヒロインはルーファウスの異母妹にあたる。父と使用人の間に生まれた子供だった。幼い頃はそうと知らず、ルーファウスは年の近いヒロインを可愛がっていた。ルーファウスが思春期に差し掛かる頃、ヒロインが異母妹だと知らされ、彼女と母親は屋敷を去った。
再会したのは、3年前だった。
反神羅組織アバランチがプレジデントの血縁者を狙っていると情報が入り、ツォンが保護に向かった。そして、連れられてきたのがヒロインだった。
二度と会うことがないと思っていた異母妹に再会できたことをルーファウスは喜んだが、ヒロインは違った。
「あんたたちのせいで、私の人生はめちゃくちゃになった」
憎しみに満ちた第一声だった。
言葉の意味を知るため、ルーファウスはヒロインが屋敷を去ってからのことをツォンに調べさせた。母親の死、里子に出された先での虐待。里親は事もあろうにヒロインを売春組織に売ったらしい。ツォンは明言を避けたが、ひどい扱いを受けたのは聞かなくてもわかった。
ルーファウスはヒロインに心から謝罪した。時間を巻き戻すことはできないが、これから誠心誠意償うと。
初めは謝罪を受け入れなかったヒロインだったが、ツォンの説得もあり、ルーファウスの援助を受け入れた。
教育と教養、礼儀作法――ヒロインは嫌がったが、ルーファウスはヒロインに一人で生きていくための武器を与えた。その甲斐あって、ヒロインは見た目も中身も立派なレディになったが、相変わらず口は悪かった。
「それで、頼みって何?」
ワインを1本空けた頃、ヒロインが言った。
ルーファウスは使用人に新しいワインを開けるよう命じ、ヒロインに向き直った。
「私と、明日のパーティーに出てほしい」
「何で。いっぱいいるでしょ、女」
「確かに知り合いの女性は多いが、特定の人はいない」
ヒロインが呆れ顔になる。
「なら、その中から選べば?頼めば、二つ返事でついてくる女いるでしょ」
これほどストレートに物を言う相手は、今ではヒロインしかいない。いや、もう一人。遠慮なしの男がいたか。
ヒロインとの会話は楽しいが、そろそろ首を縦に振ってもらいたいところだ。
「公式の場に同行させて、勘違いされても困る」
「確かに。でも、腹違いの妹はまずいんじゃないの?」
「それについては申し訳ないが、従妹として紹介しようと考えている」
「うん、いいんじゃない、従妹。幸い、そっくりってほどじゃないけど似てるし」
ヒロインの髪もルーファウスと同じ金色だ。ただ、目だけは母親譲りの赤い色だった。
「助かるよ」
無事、ヒロインに了承してもらい、ルーファウスはほっと胸を撫で下ろした。
「ところで、一つ、お願い聞いてほしいな。オニイチャン?」
満面の笑みで、軽く首を傾げたヒロインが言った。
『お兄ちゃん』などと、過去一度でも言ったことがあっただろうか。
嫌な予感しかしなかったが、ルーファウスは頷くしかなかった。
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