彼の隣、彼女の隣 4
ヒロイン
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
いい匂いがする。
シャンプーの匂いだろうか。
それに、温かくて、柔らかい。
久しぶりだな、とレノは思った。
レノはゆっくりと目を開けた。
初めに目に入ったのは、腕に抱いたヒロインだった。
全く予期していなかった状態に、思わず声が出そうになる。
(昨日、何があった!?)
繁華街で飲んでいたところまでは記憶がある。
何人かの女性に声を掛けた記憶も。
それがどうしてこんなことになっているのか。
お互い服を着ていることから、大事には至っていないらしい。
しかし、ヒロインの格好――ショートパンツから伸びる素足はまずい。絡められていたら、理性は一瞬で崩壊していただろう。上半身はゆったりとしたパーカーで、身体のラインがわからなくて助かった。
(それにしても…)
レノはヒロインの顔に掛かる髪をそっと払った。
(可愛いぞ、と)
レノはヒロインが寝ているのをいいことに、じっくり間近でヒロインを観察していた。
白い肌はしっとりしていて触り心地がいい。
薄く開いた唇は隙だらけだ。瑞々しい艶のある唇は、思わず吸い付きたくなる。
頬から顎、首筋に指と視線を滑らせてみる。
化粧をしていなくても可愛い。
そのとき、長いまつげに縁取られた大きな目が開いた。
レノの目とヒロインの目が合った。
「おはよう、ヒロイン」
ヒロインの目と口がさらに大きく開かれた。
「な、何で先に起きるんですか!!」
挨拶もそこそこに、ヒロインが上ずった声を出した。
ヒロインは飛び起きると、寝室を飛び出していった。声をかける暇すらなかった。
「おもしれぇやつ」
レノは声を上げて笑った。
「…何、笑ってるんですか」
ふてくされたような声が寝室の向こうから聞こえてきた。
「家族以外にすっぴん見られた気持ちがわかりますか!?しかもこんな格好…」
「いや、すげえ可愛かったから大丈夫だぞ、と」
ヒロインは無言だった。
見えないところで顔を真っ赤にして困っている姿が容易に想像できる。
レノは笑いを噛み殺した。
「き、昨日、大変だったんですよ…!レノさん、私の部屋のドア塞いでるし!鍵ないって言うし!」
ヒロインが一気に捲し立てた。
少しレノに昨日の記憶が戻ってきた。
飲みに行ったものの女遊びをする気にはならず、泥酔状態で帰ってきて、鍵を探していて力尽きたのを思い出す。
自分の家の前ではなく、ヒロインの家の前だったのか。
「あー…それは悪かったぞ、と」
「『会いたかった』って、一方的に言うだけで寝ちゃうし!」
これにはレノが面食らった。
縁がないと割り切ったつもりで、本当は心の奥底でずっと思っていたこと。それが、本人に伝わってしまうとは。
「本当、レノさんはずるいです!私だって、ずっと会いたいっておも…って…?ダメ、今のなし!」
バタバタと去っていく足音が聞こえた。
レノはその場に立ち尽くし、ヒロインが言ったことを反芻していた。
.
シャンプーの匂いだろうか。
それに、温かくて、柔らかい。
久しぶりだな、とレノは思った。
レノはゆっくりと目を開けた。
初めに目に入ったのは、腕に抱いたヒロインだった。
全く予期していなかった状態に、思わず声が出そうになる。
(昨日、何があった!?)
繁華街で飲んでいたところまでは記憶がある。
何人かの女性に声を掛けた記憶も。
それがどうしてこんなことになっているのか。
お互い服を着ていることから、大事には至っていないらしい。
しかし、ヒロインの格好――ショートパンツから伸びる素足はまずい。絡められていたら、理性は一瞬で崩壊していただろう。上半身はゆったりとしたパーカーで、身体のラインがわからなくて助かった。
(それにしても…)
レノはヒロインの顔に掛かる髪をそっと払った。
(可愛いぞ、と)
レノはヒロインが寝ているのをいいことに、じっくり間近でヒロインを観察していた。
白い肌はしっとりしていて触り心地がいい。
薄く開いた唇は隙だらけだ。瑞々しい艶のある唇は、思わず吸い付きたくなる。
頬から顎、首筋に指と視線を滑らせてみる。
化粧をしていなくても可愛い。
そのとき、長いまつげに縁取られた大きな目が開いた。
レノの目とヒロインの目が合った。
「おはよう、ヒロイン」
ヒロインの目と口がさらに大きく開かれた。
「な、何で先に起きるんですか!!」
挨拶もそこそこに、ヒロインが上ずった声を出した。
ヒロインは飛び起きると、寝室を飛び出していった。声をかける暇すらなかった。
「おもしれぇやつ」
レノは声を上げて笑った。
「…何、笑ってるんですか」
ふてくされたような声が寝室の向こうから聞こえてきた。
「家族以外にすっぴん見られた気持ちがわかりますか!?しかもこんな格好…」
「いや、すげえ可愛かったから大丈夫だぞ、と」
ヒロインは無言だった。
見えないところで顔を真っ赤にして困っている姿が容易に想像できる。
レノは笑いを噛み殺した。
「き、昨日、大変だったんですよ…!レノさん、私の部屋のドア塞いでるし!鍵ないって言うし!」
ヒロインが一気に捲し立てた。
少しレノに昨日の記憶が戻ってきた。
飲みに行ったものの女遊びをする気にはならず、泥酔状態で帰ってきて、鍵を探していて力尽きたのを思い出す。
自分の家の前ではなく、ヒロインの家の前だったのか。
「あー…それは悪かったぞ、と」
「『会いたかった』って、一方的に言うだけで寝ちゃうし!」
これにはレノが面食らった。
縁がないと割り切ったつもりで、本当は心の奥底でずっと思っていたこと。それが、本人に伝わってしまうとは。
「本当、レノさんはずるいです!私だって、ずっと会いたいっておも…って…?ダメ、今のなし!」
バタバタと去っていく足音が聞こえた。
レノはその場に立ち尽くし、ヒロインが言ったことを反芻していた。
.