彼の隣、彼女の隣 4
ヒロイン
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家についたのは深夜2時を回ったところだった。エレベータに乗り込み、自分の部屋があるフロアのボタンを押す。
フロアを示す液晶の数字が上がっていくのを見ながら、ヒロインは大きく溜息をついた。
隣に住んでいるのに、すれ違いばかりで遠い彼。
出会わなければ、彼のことを知らなければ、こんな気持ちにならずに済んだのに。
ヒロインの気持ちは沈む一方だった。
エレベータが自分の住むフロアに到着したことを知らせた。
エレベータホールから右に曲がって一番奥がヒロインの部屋だ。右に曲がったところで、自分の家の前に何かいることに気づいた。
ヒロインは必死で悲鳴を飲み込んだ。
恐る恐る近づくと、そこにいたのは、もう一度会いたいと思っていた人だった。
「レノさん…?」
ヒロインはできるだけ足音を立てずに近づくと、ヒロインの部屋のドアを背に眠っているレノのそばにしゃがみこんだ。お酒の匂いがする。
レノは無防備にも眠りこけていた。
長い睫毛、すっと通った鼻筋。初めて間近で見たレノの顔は、恐ろしく整っていた。何故かとてつもなく恥ずかしくなって、ヒロインはレノの顔を直視できなかった。
「ねぇ、レノさん?こんなところで寝たらダメですよ」
ヒロインは恐る恐る声を掛けた。
以前、部屋で寝ているレノに声をかけたときはすぐ起きたのに、今回は全く起きる気配がない。
「起きて、くれませんか?」
ヒロインはレノの肩を揺すった。
起きてくれないと、家に入ることもできない。
もう一度、今度は少し強めに揺すると、レノの目が半分ほど開いた。
「ん…ヒロイン?」
レノの囁くような声音に、ヒロインの心臓が大きく脈打った。
男性がここまで色気のある声を出せるのか。もう一人の冷静な自分が、頭の中で感心していた。
「レノさん、家の鍵ありますか?」
ヒロインはレノに肩を貸しながら聞いた。
ふらふらと立ち上がったレノが、にやりと笑った。
「そんなもん、ないぞ、と」
「えぇ…」
レノの瞼が再び閉じ掛かる。
「待って、寝ちゃダメ!」
完全に意識を手放されると、さすがにヒロイン一人では支えられない。
ヒロインは起きているようにレノを励ましながら、自分の部屋の鍵を開けた。
「もうちょっと、あと少しだけ、寝るの待って…」
レノの意識がなくなる寸前、なんとかレノをベッドに寝かせることに成功し、ヒロインはほっと息をついた。
ほっとしたのも束の間。
ヒロインはレノを自分の部屋で寝かせているという事実に直面し、気持ちよさそうにベッドで眠るレノを見ながら頭を抱えた。
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フロアを示す液晶の数字が上がっていくのを見ながら、ヒロインは大きく溜息をついた。
隣に住んでいるのに、すれ違いばかりで遠い彼。
出会わなければ、彼のことを知らなければ、こんな気持ちにならずに済んだのに。
ヒロインの気持ちは沈む一方だった。
エレベータが自分の住むフロアに到着したことを知らせた。
エレベータホールから右に曲がって一番奥がヒロインの部屋だ。右に曲がったところで、自分の家の前に何かいることに気づいた。
ヒロインは必死で悲鳴を飲み込んだ。
恐る恐る近づくと、そこにいたのは、もう一度会いたいと思っていた人だった。
「レノさん…?」
ヒロインはできるだけ足音を立てずに近づくと、ヒロインの部屋のドアを背に眠っているレノのそばにしゃがみこんだ。お酒の匂いがする。
レノは無防備にも眠りこけていた。
長い睫毛、すっと通った鼻筋。初めて間近で見たレノの顔は、恐ろしく整っていた。何故かとてつもなく恥ずかしくなって、ヒロインはレノの顔を直視できなかった。
「ねぇ、レノさん?こんなところで寝たらダメですよ」
ヒロインは恐る恐る声を掛けた。
以前、部屋で寝ているレノに声をかけたときはすぐ起きたのに、今回は全く起きる気配がない。
「起きて、くれませんか?」
ヒロインはレノの肩を揺すった。
起きてくれないと、家に入ることもできない。
もう一度、今度は少し強めに揺すると、レノの目が半分ほど開いた。
「ん…ヒロイン?」
レノの囁くような声音に、ヒロインの心臓が大きく脈打った。
男性がここまで色気のある声を出せるのか。もう一人の冷静な自分が、頭の中で感心していた。
「レノさん、家の鍵ありますか?」
ヒロインはレノに肩を貸しながら聞いた。
ふらふらと立ち上がったレノが、にやりと笑った。
「そんなもん、ないぞ、と」
「えぇ…」
レノの瞼が再び閉じ掛かる。
「待って、寝ちゃダメ!」
完全に意識を手放されると、さすがにヒロイン一人では支えられない。
ヒロインは起きているようにレノを励ましながら、自分の部屋の鍵を開けた。
「もうちょっと、あと少しだけ、寝るの待って…」
レノの意識がなくなる寸前、なんとかレノをベッドに寝かせることに成功し、ヒロインはほっと息をついた。
ほっとしたのも束の間。
ヒロインはレノを自分の部屋で寝かせているという事実に直面し、気持ちよさそうにベッドで眠るレノを見ながら頭を抱えた。
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