彼の隣、彼女の隣 2
ヒロイン
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
土曜日。
休日は昼過ぎまで寝ていることがほとんどのレノが、朝と呼べる時間に目を覚ました。
昨日は酒も飲まなかったので体調もいい。休日前は必ず飲みに行くレノだったが、昨日に限ってはありとあらゆる誘いを断り、真っ直ぐ帰宅した。同僚たちには、明日は槍が降ると言われたが。
レノは数カ月ぶりに私服に袖を通した。ここ最近は休みがなかったのもあるが、誰に会うのも仕事用のスーツばかりだった気がする。
出かける準備はできたものの、約束の時間にはまだ早かった。
落ち着かない。
何にこれほどまで緊張しているのか、自分でもよくわからなかった。
女性の家に行くのが初めてでもないし、家でのデートも初めてではない。しかも今回は、恋人でもない、ただ隣に住むヒロインを訪ねるだけだ。そう、ただそれだけなのだが。
(よく考えたら手ぶらで行くの、まずくねぇか…?)
そういえば、後輩の誰かがおいしい洋菓子の店があると言っていた気がする。
レノは机の上に置いていた携帯を掴むと、ブラウザを立ち上げた。
「何て店だっけな…」
前の前だったか、その前だったか、もはや記憶の彼方の元カノと行こうと約束をしたような記憶もわずかにある。
レノはああでもないこうでもないと呟きながら、思いつく単語をひたすら入力し、検索をかける。それを数回繰り返したとき、ようやくそれらしき店名がヒットした。
「ここから一駅か…」
バイクが一番早いが、それだとケーキが崩れてしまう。約束の時間に間に合わせるには、電車しかない。レノは財布と携帯と鍵を持って、家を飛び出した。
目当ての店は思ったよりも混んでいた。そして、ヒロインの好みがわからないことに、着いてから気づく。
(とりあえず、無難なやつにしとくか)
店員にオススメを聞きながら、いくつかのケーキを選び、レノは駅に向かった。
途中、すれ違った何人かに「レノさんだ!」と声を掛けられた気がしたが、レノは全て無視して電車に乗り込んだ。
朝から料理を始め、ようやくあとは仕上げという段階になり、ヒロインは少し自分が緊張しているのに気づいた。
自室に客人を、しかも男性を招くのは初めてだ。
しかも二人きり。
何を話そう、どう話を切り出そう、料理の味は大丈夫だろうか。考えだしたら心配の種が次々を芽を出していく。
その一つ一つに不安になっていると、玄関のインターホンが鳴り、ヒロインは飛び上がった。
ヒロインは玄関に走ると、ドアを開けた。
「おっと。確認せずに開けたら危ないぞ、と」
レノが玄関先で苦笑していた。
「す、すみません。慣れてなくて…」
ヒロインは顔が熱くなるのを感じた。
「ど、どうぞ」
レノを招き入れると、ヒロインの前に紙袋が差し出された。
「これ、お土産だぞ、と。甘いもの、大丈夫か?」
紙袋に印字されているのは、有名な洋菓子店の店名だった。
ヒロインは思わず目を丸くする。
「これ、私一度食べてみたいと思ってたんです!うれしい…ありがとうございます」
いつ行っても混んでると評判の店だ。きっと並んで買ってきてくれたに違いない。
思わず笑みが溢れる。
ヒロインは両手で紙袋を受け取った。
.
休日は昼過ぎまで寝ていることがほとんどのレノが、朝と呼べる時間に目を覚ました。
昨日は酒も飲まなかったので体調もいい。休日前は必ず飲みに行くレノだったが、昨日に限ってはありとあらゆる誘いを断り、真っ直ぐ帰宅した。同僚たちには、明日は槍が降ると言われたが。
レノは数カ月ぶりに私服に袖を通した。ここ最近は休みがなかったのもあるが、誰に会うのも仕事用のスーツばかりだった気がする。
出かける準備はできたものの、約束の時間にはまだ早かった。
落ち着かない。
何にこれほどまで緊張しているのか、自分でもよくわからなかった。
女性の家に行くのが初めてでもないし、家でのデートも初めてではない。しかも今回は、恋人でもない、ただ隣に住むヒロインを訪ねるだけだ。そう、ただそれだけなのだが。
(よく考えたら手ぶらで行くの、まずくねぇか…?)
そういえば、後輩の誰かがおいしい洋菓子の店があると言っていた気がする。
レノは机の上に置いていた携帯を掴むと、ブラウザを立ち上げた。
「何て店だっけな…」
前の前だったか、その前だったか、もはや記憶の彼方の元カノと行こうと約束をしたような記憶もわずかにある。
レノはああでもないこうでもないと呟きながら、思いつく単語をひたすら入力し、検索をかける。それを数回繰り返したとき、ようやくそれらしき店名がヒットした。
「ここから一駅か…」
バイクが一番早いが、それだとケーキが崩れてしまう。約束の時間に間に合わせるには、電車しかない。レノは財布と携帯と鍵を持って、家を飛び出した。
目当ての店は思ったよりも混んでいた。そして、ヒロインの好みがわからないことに、着いてから気づく。
(とりあえず、無難なやつにしとくか)
店員にオススメを聞きながら、いくつかのケーキを選び、レノは駅に向かった。
途中、すれ違った何人かに「レノさんだ!」と声を掛けられた気がしたが、レノは全て無視して電車に乗り込んだ。
朝から料理を始め、ようやくあとは仕上げという段階になり、ヒロインは少し自分が緊張しているのに気づいた。
自室に客人を、しかも男性を招くのは初めてだ。
しかも二人きり。
何を話そう、どう話を切り出そう、料理の味は大丈夫だろうか。考えだしたら心配の種が次々を芽を出していく。
その一つ一つに不安になっていると、玄関のインターホンが鳴り、ヒロインは飛び上がった。
ヒロインは玄関に走ると、ドアを開けた。
「おっと。確認せずに開けたら危ないぞ、と」
レノが玄関先で苦笑していた。
「す、すみません。慣れてなくて…」
ヒロインは顔が熱くなるのを感じた。
「ど、どうぞ」
レノを招き入れると、ヒロインの前に紙袋が差し出された。
「これ、お土産だぞ、と。甘いもの、大丈夫か?」
紙袋に印字されているのは、有名な洋菓子店の店名だった。
ヒロインは思わず目を丸くする。
「これ、私一度食べてみたいと思ってたんです!うれしい…ありがとうございます」
いつ行っても混んでると評判の店だ。きっと並んで買ってきてくれたに違いない。
思わず笑みが溢れる。
ヒロインは両手で紙袋を受け取った。
.