彼の隣、彼女の隣
ヒロイン
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「ここ、幹部専用…ですよね?」
彼女は未だ落ち着かない様子で、室内を見回していた。
「もしかして…すっごく偉い人、だったりしますか?」
少し引きつった表情で彼女が問うているのを見て、レノは思わず吹き出した。
「偉くはないぞ、と」
「で、でも、みんな知ってる様子だったし…名前、えーっと…レノ、さん…?」
名前を呼んだ途端、彼女ははっとした表情を見せた。
「噂のタークスのレノさん!」
噂の?
一体どんな噂が流れているのやら。彼女の様子を見るに、まぁそこまで悪い噂ではないようであるが。
「そ、オレの名前はレノ。で、オネーサンの名前は?」
「ヒロイン、です」
ヒロインは少し恥ずかしそうに俯いていた。
「あの…レノさん、すみません。私、その、そんな有名な方が助けてくださったって知らなくて、失礼を…」
有名人であるレノと距離を置こうとするヒロイン。
ヒロインの格好からしても、あまり目立つの好むタイプではないのだろう。
しかし、ただの『お隣さん』だったときよりも、お互いの名前を知ったあとの方が距離が遠くなってしまうとは。
面白くない。非常に面白くない。
これは何が何でも心を開かせてみたい。
レノはにやりと笑うと、ヒロインに詰め寄った。
「ヒロイン、今度一緒に飯行かないか?」
「え!?」
「ほら、お礼。してくれるんだろ?」
ヒロインが少し困った顔をしている。
その理由はすぐに察しが付いた。
レノはもちろんその気遣いを忘れない。
「夜じゃなくて、昼。本当は今日って言いたいとこなんだけどな…」
ヒロインと話していて忘れていた頭痛と吐き気が再び襲いかかる。
レノは軽く胃の辺りを押さえた。
「あの、これ、よかったら」
ヒロインが薬包を差し出した。
「二日酔い、ですよね?私も、よくそうなっちゃうから…」
「助かるぞ、と」
レノはヒロインから薬包を受け取った。
「早く、よくなるといいですね」
ヒロインがふわりと微笑んだ。
自然と出たであろう思いやりの言葉も温かい。
自分に向けられた笑顔と言葉に、レノは少し口元が緩むのを感じた。
まずは一歩前進。
明日のランチの約束をして、レノはヒロインは別れた。
レノは買った水で薬を流し込みながら、ほんの少しだけ二日酔いに感謝した。
To be continued...?
2020/05/14
.
彼女は未だ落ち着かない様子で、室内を見回していた。
「もしかして…すっごく偉い人、だったりしますか?」
少し引きつった表情で彼女が問うているのを見て、レノは思わず吹き出した。
「偉くはないぞ、と」
「で、でも、みんな知ってる様子だったし…名前、えーっと…レノ、さん…?」
名前を呼んだ途端、彼女ははっとした表情を見せた。
「噂のタークスのレノさん!」
噂の?
一体どんな噂が流れているのやら。彼女の様子を見るに、まぁそこまで悪い噂ではないようであるが。
「そ、オレの名前はレノ。で、オネーサンの名前は?」
「ヒロイン、です」
ヒロインは少し恥ずかしそうに俯いていた。
「あの…レノさん、すみません。私、その、そんな有名な方が助けてくださったって知らなくて、失礼を…」
有名人であるレノと距離を置こうとするヒロイン。
ヒロインの格好からしても、あまり目立つの好むタイプではないのだろう。
しかし、ただの『お隣さん』だったときよりも、お互いの名前を知ったあとの方が距離が遠くなってしまうとは。
面白くない。非常に面白くない。
これは何が何でも心を開かせてみたい。
レノはにやりと笑うと、ヒロインに詰め寄った。
「ヒロイン、今度一緒に飯行かないか?」
「え!?」
「ほら、お礼。してくれるんだろ?」
ヒロインが少し困った顔をしている。
その理由はすぐに察しが付いた。
レノはもちろんその気遣いを忘れない。
「夜じゃなくて、昼。本当は今日って言いたいとこなんだけどな…」
ヒロインと話していて忘れていた頭痛と吐き気が再び襲いかかる。
レノは軽く胃の辺りを押さえた。
「あの、これ、よかったら」
ヒロインが薬包を差し出した。
「二日酔い、ですよね?私も、よくそうなっちゃうから…」
「助かるぞ、と」
レノはヒロインから薬包を受け取った。
「早く、よくなるといいですね」
ヒロインがふわりと微笑んだ。
自然と出たであろう思いやりの言葉も温かい。
自分に向けられた笑顔と言葉に、レノは少し口元が緩むのを感じた。
まずは一歩前進。
明日のランチの約束をして、レノはヒロインは別れた。
レノは買った水で薬を流し込みながら、ほんの少しだけ二日酔いに感謝した。
To be continued...?
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