彼の隣、彼女の隣
ヒロイン
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翌朝、ヒロインは寝不足のまま出社した。
あんなことがあった後なので休暇も考えたが、昨日の飲み会をセッティングした同僚に文句の一つでも言わないと気がすまなかった。
「ヒロイン、昨日どうだった!?」
会社に着くと早速同僚が話しかけてきた。
呑気なものだと、ヒロインは顔をしかめた。
「昨日?最悪だった」
合コンの数合わせだと聞いていたにも関わらず、飲み会の本当の目的はヒロインと相手の男性を引き合わせること。二人きりになった途端に襲われたことを同僚に告げると、同僚はひたすら謝ってきたが、まだその謝罪を受け入れるほどヒロインの心の傷は治っていなかった。
昨日助けてくれた彼がいなければ、どうなっていたかわからない。
見た目は少し怖いけれど、優しいところもあったお隣さん。
(そういえば、名前聞かなかったな…)
今度、お礼をするときに名前を聞いてみよう。
先程まで冷えていた心が少し暖かくなるのを感じ、ヒロインは少しだけ笑顔になった。
翌日、レノは二日酔いのまま出社した。深酒と睡眠不足のせいで体調は最悪だ。
吐き気と頭痛と戦いながらオフィスで突っ伏していると、上から後輩の笑いを含んだ声が降ってきた。
「レノ、彼女と別れたんだって?」
「…うるさいぞ、と」
女と別れてやけ酒するなんて、格好悪いと自分でも自覚しているが、改めて後輩から言われると腹が立つ。
一発ぶん殴ってやろうかと思ったが、この状態では避けられるのがオチだ。昨日の相手は素人でよかったと改めてレノは思ったのだった。
(そういや名前、聞いときゃよかったな…)
昨日助けた、偶然隣に住んでいた彼女。
お互い名乗らずに別れてしまったのが心残りだった。
隣に住んでいれば、いつかどこかで顔を合わせることもあるかもしれないが、自分のような不規則な生活では、それもなかなか難しそうだ。
レノは起き上がって後輩の頭を軽く叩くと、騒々しいオフィスを出て、リフレッシュフロアに向かった。
昼前にも関わらず、リフレッシュフロアにはそこそこ人がいた。
いつもなら女性社員の黄色い声も、男性社員の憧れと恐怖の視線も心地よいのだが、如何せん二日酔いの身にはどれも煩わしい。
後輩にからかわれるのとどっちがマシだっただろうか。
そんなことを考えていたレノの視界に、一人の女性の姿が映り込んだ。
昨日と違って眼鏡を掛けているが間違いない。
一緒にいるのは同僚だろうか。なにやら険悪な雰囲気ではあるが、レノは気にせず女性に話しかけた。
「よお、ここの社員だったんだな」
女性が弾かれたように顔を上げる。その目が大きく見開かれた。
「あ!昨日の!」
彼女の同僚を含め、周りがざわついているが、レノには雑音にしか聞こえない。
しかし、彼女は違うようで、落ち着かない様子だった。
「少し話せるか?」
「え、あ、はい。大丈夫です」
レノは彼女を連れ、リフレッシュフロアの奥にある個室に入った。
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あんなことがあった後なので休暇も考えたが、昨日の飲み会をセッティングした同僚に文句の一つでも言わないと気がすまなかった。
「ヒロイン、昨日どうだった!?」
会社に着くと早速同僚が話しかけてきた。
呑気なものだと、ヒロインは顔をしかめた。
「昨日?最悪だった」
合コンの数合わせだと聞いていたにも関わらず、飲み会の本当の目的はヒロインと相手の男性を引き合わせること。二人きりになった途端に襲われたことを同僚に告げると、同僚はひたすら謝ってきたが、まだその謝罪を受け入れるほどヒロインの心の傷は治っていなかった。
昨日助けてくれた彼がいなければ、どうなっていたかわからない。
見た目は少し怖いけれど、優しいところもあったお隣さん。
(そういえば、名前聞かなかったな…)
今度、お礼をするときに名前を聞いてみよう。
先程まで冷えていた心が少し暖かくなるのを感じ、ヒロインは少しだけ笑顔になった。
翌日、レノは二日酔いのまま出社した。深酒と睡眠不足のせいで体調は最悪だ。
吐き気と頭痛と戦いながらオフィスで突っ伏していると、上から後輩の笑いを含んだ声が降ってきた。
「レノ、彼女と別れたんだって?」
「…うるさいぞ、と」
女と別れてやけ酒するなんて、格好悪いと自分でも自覚しているが、改めて後輩から言われると腹が立つ。
一発ぶん殴ってやろうかと思ったが、この状態では避けられるのがオチだ。昨日の相手は素人でよかったと改めてレノは思ったのだった。
(そういや名前、聞いときゃよかったな…)
昨日助けた、偶然隣に住んでいた彼女。
お互い名乗らずに別れてしまったのが心残りだった。
隣に住んでいれば、いつかどこかで顔を合わせることもあるかもしれないが、自分のような不規則な生活では、それもなかなか難しそうだ。
レノは起き上がって後輩の頭を軽く叩くと、騒々しいオフィスを出て、リフレッシュフロアに向かった。
昼前にも関わらず、リフレッシュフロアにはそこそこ人がいた。
いつもなら女性社員の黄色い声も、男性社員の憧れと恐怖の視線も心地よいのだが、如何せん二日酔いの身にはどれも煩わしい。
後輩にからかわれるのとどっちがマシだっただろうか。
そんなことを考えていたレノの視界に、一人の女性の姿が映り込んだ。
昨日と違って眼鏡を掛けているが間違いない。
一緒にいるのは同僚だろうか。なにやら険悪な雰囲気ではあるが、レノは気にせず女性に話しかけた。
「よお、ここの社員だったんだな」
女性が弾かれたように顔を上げる。その目が大きく見開かれた。
「あ!昨日の!」
彼女の同僚を含め、周りがざわついているが、レノには雑音にしか聞こえない。
しかし、彼女は違うようで、落ち着かない様子だった。
「少し話せるか?」
「え、あ、はい。大丈夫です」
レノは彼女を連れ、リフレッシュフロアの奥にある個室に入った。
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