彼の隣、彼女の隣
ヒロイン
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レノに助けられた女性――ヒロインは、真っ暗な部屋で目を覚ました。
どうやらソファで寝ていたらしい。
ヒロインは、はっとして自分の格好を確認した。しっかり服は身につけている。
路地裏で男に襲われそうになっていたはずだが、どうやら無事らしい。
(そういえば、誰かが助けてくれたような…)
男に襲われそうになり、誰かが来たことまでしか記憶にない。
それに、ここはどこだろう。
ヒロインは辺りを見回した。
誰かの家のようだが、知人の家ではないようだ。しかし、なぜか馴染みがあるような気もする。
「ん…」
突然、近くから男性の声が聞こえ、ヒロインは身を固くした。
あの男だろうか…
ヒロインは不安を抱えたまま、立ち上がって声のした方を見た。
そこには、赤髪の男性が仰向けで寝ていた。
「…お酒臭い」
ヒロインは軽く顔をしかめつつも、男性の近くにしゃがみこんだ。
「あの…こんなところで寝たら、風邪ひきますよ…?」
身体をゆすろうと伸ばした手が、突然掴まれた。
ヒロインは思わず悲鳴を上げた。
「あ、悪ぃ」
男性がバツの悪そうな顔で起き上がり、ヒロインの手を離した。
「いえ、私こそ、すみません…」
掴まれた手は少し赤くなっていた。
痛くはないが、少し、怖い。
「勝手に連れてきて悪かったな。家まで送るぞ、と」
男性は立ち上がると、手を差し出してきた。
ヒロインはその手と男性の顔を交互に見た。
そして、その言葉の意味を考える。
この状況と、わずかに残っている記憶と、彼の言葉を踏まえ、ヒロインが思いついたのは一つだった。
「もしかして、助けてくれた…?」
男性が苦笑した。
「あっ、その!お礼が遅くなって…ありがとうございました!」
ヒロインは男性の手を取ることも忘れ、慌てて立ち上がると思い切りお辞儀をした。
時間は確認していないが、まだ夜明けには時間があるだろう。
そんな時間にも関わらず、男性はヒロインを送ると言った。ヒロインはその言葉に甘えることにし、ソファのあったリビングから玄関へと向かった。
靴を履きながら考える。
自分の家の作りと似ていると。
「似ていると言うか…」
そう独り言を呟きながら外に出たとき、その答えは出た。
そして、背後を振り返り、視線を少し上に向けた。
扉の横にある部屋番号のプレートを見て、ヒロインは思わず笑ってしまった。
「何笑ってるんだよ」
男性が怪訝そうな顔をしている。
ヒロインは高揚する気持ちを抑えられず、少し興奮気味に男性に言った。
まるで、手品の種明かしをするような気分だ。
「私の家、あなたの隣みたい」
ヒロインはバッグから鍵を取り出すと、右隣の部屋の鍵を開けてみせた。
これには男性も唖然としていたが、すぐに笑い出した。
「送る手間が省けたぞ、と」
「今日はありがとうございました。お礼は、また改めて」
ヒロインは軽く会釈をし、部屋に入った。
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どうやらソファで寝ていたらしい。
ヒロインは、はっとして自分の格好を確認した。しっかり服は身につけている。
路地裏で男に襲われそうになっていたはずだが、どうやら無事らしい。
(そういえば、誰かが助けてくれたような…)
男に襲われそうになり、誰かが来たことまでしか記憶にない。
それに、ここはどこだろう。
ヒロインは辺りを見回した。
誰かの家のようだが、知人の家ではないようだ。しかし、なぜか馴染みがあるような気もする。
「ん…」
突然、近くから男性の声が聞こえ、ヒロインは身を固くした。
あの男だろうか…
ヒロインは不安を抱えたまま、立ち上がって声のした方を見た。
そこには、赤髪の男性が仰向けで寝ていた。
「…お酒臭い」
ヒロインは軽く顔をしかめつつも、男性の近くにしゃがみこんだ。
「あの…こんなところで寝たら、風邪ひきますよ…?」
身体をゆすろうと伸ばした手が、突然掴まれた。
ヒロインは思わず悲鳴を上げた。
「あ、悪ぃ」
男性がバツの悪そうな顔で起き上がり、ヒロインの手を離した。
「いえ、私こそ、すみません…」
掴まれた手は少し赤くなっていた。
痛くはないが、少し、怖い。
「勝手に連れてきて悪かったな。家まで送るぞ、と」
男性は立ち上がると、手を差し出してきた。
ヒロインはその手と男性の顔を交互に見た。
そして、その言葉の意味を考える。
この状況と、わずかに残っている記憶と、彼の言葉を踏まえ、ヒロインが思いついたのは一つだった。
「もしかして、助けてくれた…?」
男性が苦笑した。
「あっ、その!お礼が遅くなって…ありがとうございました!」
ヒロインは男性の手を取ることも忘れ、慌てて立ち上がると思い切りお辞儀をした。
時間は確認していないが、まだ夜明けには時間があるだろう。
そんな時間にも関わらず、男性はヒロインを送ると言った。ヒロインはその言葉に甘えることにし、ソファのあったリビングから玄関へと向かった。
靴を履きながら考える。
自分の家の作りと似ていると。
「似ていると言うか…」
そう独り言を呟きながら外に出たとき、その答えは出た。
そして、背後を振り返り、視線を少し上に向けた。
扉の横にある部屋番号のプレートを見て、ヒロインは思わず笑ってしまった。
「何笑ってるんだよ」
男性が怪訝そうな顔をしている。
ヒロインは高揚する気持ちを抑えられず、少し興奮気味に男性に言った。
まるで、手品の種明かしをするような気分だ。
「私の家、あなたの隣みたい」
ヒロインはバッグから鍵を取り出すと、右隣の部屋の鍵を開けてみせた。
これには男性も唖然としていたが、すぐに笑い出した。
「送る手間が省けたぞ、と」
「今日はありがとうございました。お礼は、また改めて」
ヒロインは軽く会釈をし、部屋に入った。
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