レノがルードに確認を依頼したのは、現在、自分の自宅付近にいるドローンの機体番号と借り主だった。

「レノ、頭いい！」

　これならドローン自体を捕まえる必要はない。ヒロインに褒められたレノは得意げな顔をしてみせた。

「機体は都市開発部が1週間ほど前から、都市景観調査の名目で使用している」

　スピーカーでレノと一緒にルードの報告を聞いていたヒロインが首を傾げた。

「都市開発部…」

「なんだよ、心当たりでもあんのかよ」

　ヒロインが大きく頷いた。

「犯人わかった」



　レノとヒロインは家をこっそりと抜け出すと、謹慎にも関わらず、神羅ビルに来ていた。

「絶対これ、ツォンさん怒るぞ、と」

　好戦的に瞳をギラつかせるヒロインを横目に見ながら、レノは大きなため息をついた。
　ルードはすでに作戦から手を引いている。ヒロインが犯人に仕返しすると言うと、「オレは何も聞かなかった」と言って、ルードは電話を切ってしまった。
　当のヒロインは怒られることなど気にしてはいない。明日怒られるとしても、今日仕返しできたらいいと言い放った。

「ヒロイン、さすがにビル内で殺人はやめろよ」

「じゃあスラムに連れてって殺そう」

　そう言うとヒロインは銃をしまい、電磁ロッドを取り出した。
　銃殺と撲殺と、どっちが楽な死に方だろうな、とレノはくだらないことを考えた。

　しばらくエントランスで待つと、お目当ての人物が同僚と一緒にビルを出てきた。普通を絵に描いたようなヒロインの元カレだ。
　今にも飛びかかって、元カレを扼殺しそうな勢いのヒロインを押し留め、レノが元カレを連れてくる役目を負うことにした。

　レノはヒロインの元カレの後ろに気配を殺して近づくと、信号待ちのタイミングで同僚たちには気付かれないように声をかけた。

「今ここで殺されたくなかったら、おとなしくついてこい」

　軽く銃を突きつけながら低い声で言うと、元カレは青褪めた顔をして何度も頷いた。
　レノは元カレをヒロインの待つ路地裏まで誘導した。



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