サヨウナラ、ハジメマシテ
ヒロイン
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最後に話したことは、よく覚えていない。
もしかしたら、話してすらいないのかもしれない。
ただただ、撃ち抜かれた腹部の傷が、燃えるように熱かった。
「辞めるのは勝手だが、自由はないぞ」
ツォンは冷たい目でヒロインを見下ろした。
ここは病院。
病室で目覚めたヒロインを待っていたのは、上司のツォンだった。
「わかっています」
「見張りはつくが、護衛はない。死ぬぞ」
「知っています」
そんなことは、誰よりもよく知っている。
タークスを辞めた人間は、遅かれ早かれ死ぬ。選べるのは、自殺か他殺かだ。
「そうか」
短くそれだけ言うと、ツォンは病室を出ていった。
ヒロインが死んだのは、それから1ヶ月後のことだった。
「本人だと思うか?」
ヒロインが死んだと見張りから報告を受けたツォンとレノは、その現場に来ていた。
場所はウォールマーケットの外れにある古い娼館だった。爆発で最早見る影もないが。
「さぁ…」
原型を留めていない肉片があちこちに散らばっている。肉の焦げる臭いも相まって、辺りはひどい臭気だった。しばらく臭いは取れないだろう。レノは袖で鼻を覆い、顔をしかめた。
「こうはなりたくないもんだぞ、と」
レノは足元にあったネックレスを拾い上げた。煤のついたそれは、かつてレノがヒロインに贈ったものだった。
少し照れたように笑う、ネックレスを身に着けたヒロイン。
眩しかった笑顔は、すぐに目の前の肉片に取って代わった。
憎悪と寂寥と、どろりとした感情が絡みついて離れない。
「ヒロインのものか?」
「…恐らく」
「そうか…死んだか」
レノは拾い上げたネックレスを証拠袋に入れ、近くの神羅兵に渡すと、その場を後にした。
数日後、監視カメラの映像から、娼館に爆弾を仕掛ける反神羅組織の姿と、娼館に入るヒロインの姿が確認されたため、本件はヒロイン死亡で処理された。
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もしかしたら、話してすらいないのかもしれない。
ただただ、撃ち抜かれた腹部の傷が、燃えるように熱かった。
「辞めるのは勝手だが、自由はないぞ」
ツォンは冷たい目でヒロインを見下ろした。
ここは病院。
病室で目覚めたヒロインを待っていたのは、上司のツォンだった。
「わかっています」
「見張りはつくが、護衛はない。死ぬぞ」
「知っています」
そんなことは、誰よりもよく知っている。
タークスを辞めた人間は、遅かれ早かれ死ぬ。選べるのは、自殺か他殺かだ。
「そうか」
短くそれだけ言うと、ツォンは病室を出ていった。
ヒロインが死んだのは、それから1ヶ月後のことだった。
「本人だと思うか?」
ヒロインが死んだと見張りから報告を受けたツォンとレノは、その現場に来ていた。
場所はウォールマーケットの外れにある古い娼館だった。爆発で最早見る影もないが。
「さぁ…」
原型を留めていない肉片があちこちに散らばっている。肉の焦げる臭いも相まって、辺りはひどい臭気だった。しばらく臭いは取れないだろう。レノは袖で鼻を覆い、顔をしかめた。
「こうはなりたくないもんだぞ、と」
レノは足元にあったネックレスを拾い上げた。煤のついたそれは、かつてレノがヒロインに贈ったものだった。
少し照れたように笑う、ネックレスを身に着けたヒロイン。
眩しかった笑顔は、すぐに目の前の肉片に取って代わった。
憎悪と寂寥と、どろりとした感情が絡みついて離れない。
「ヒロインのものか?」
「…恐らく」
「そうか…死んだか」
レノは拾い上げたネックレスを証拠袋に入れ、近くの神羅兵に渡すと、その場を後にした。
数日後、監視カメラの映像から、娼館に爆弾を仕掛ける反神羅組織の姿と、娼館に入るヒロインの姿が確認されたため、本件はヒロイン死亡で処理された。
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