Dangerous Beauty
ヒロイン
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「今日の遅刻の理由は?」
怒気を孕んだツォンの声がオフィスに響く。
それまでざわざわとしていたオフィスが一瞬にして静まり返った。物音一つ立てるものはいない。
オフィス全体が緊張に包まれる中、問われた当の本人――ヒロインは涼しい顔をして、ツォンの前に立っていた。
「電車で痴漢されてた子を助けたときに、ちょっといろいろあって」
「『ちょっといろいろ』とは、これのことか?」
ツォンがタブレットを差し出した。
そこに映っていたのは、痴漢の犯人を電車から引きずり下ろし、見事な一本背負いを決めたヒロインだった。
「うわ、ネットに動画上がってる…肖像権の侵害だわ」
ヒロインの全く反省の色がない言葉に、ついにツォンの堪忍袋の尾が切れた。
「そういうことを言っているんじゃない!」
あまりの剣幕に、ヒロインは首をすくめた。
「ただでさえ、お前とレノは目立つのに、余計に目立ってどうする!」
遠くで笑いを噛み殺しながら高みの見物を決めていたレノの名が上がる。
レノは怒りの矛先が変わる前に、PCモニターの影に隠れた。
「この前もお前たちは――」
こうなるとツォンは言いたいことを言い切るまで止まらない。ヒロインは欠伸を噛み殺しながら、ツォンの話が終わるのを待った。
そして――
「とにかく、目立つということはそれだけ標的になりやすいということだ!今後は自重するように」
「了解です」
時間にして15分。ようやく開放されたヒロインは、レノの隣の自席に戻った。
「だから、俺んちから会社行けって言っただろ」
レノの第一声に、ヒロインは顔をしかめた。
「レノと一緒に出勤したら目立つじゃん」
「お前、もう今朝やったこと忘れたのかよ…」
レノは呆れて大きな溜息をついた。
「同僚と一緒に出勤するのが目立つわけないだろ」
自意識過剰だとレノが笑う。
ヒロインは唇を尖らせて言った。
「家から一緒に出勤してたら、同僚以上の関係って思われるでしょ」
「実際その通りだろ。泥酔したヒロインを毎日迎えに行って、連れ帰ってるのは誰なのかな?」
レノがにやりと笑い、ヒロインの顔を覗き込んだ。
「それは…」
彼氏と別れて数週間、ほぼ毎日、泥酔してレノの家に泊まっているのは事実だった。
「でも、まだエッチしてないし!」
「じゃあ今日するか」
「するわけないでしょ!」
「残念」
今日は飲みに行かないと言い残し、ヒロインは数日前から発生している通り魔の調査に向かった。
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怒気を孕んだツォンの声がオフィスに響く。
それまでざわざわとしていたオフィスが一瞬にして静まり返った。物音一つ立てるものはいない。
オフィス全体が緊張に包まれる中、問われた当の本人――ヒロインは涼しい顔をして、ツォンの前に立っていた。
「電車で痴漢されてた子を助けたときに、ちょっといろいろあって」
「『ちょっといろいろ』とは、これのことか?」
ツォンがタブレットを差し出した。
そこに映っていたのは、痴漢の犯人を電車から引きずり下ろし、見事な一本背負いを決めたヒロインだった。
「うわ、ネットに動画上がってる…肖像権の侵害だわ」
ヒロインの全く反省の色がない言葉に、ついにツォンの堪忍袋の尾が切れた。
「そういうことを言っているんじゃない!」
あまりの剣幕に、ヒロインは首をすくめた。
「ただでさえ、お前とレノは目立つのに、余計に目立ってどうする!」
遠くで笑いを噛み殺しながら高みの見物を決めていたレノの名が上がる。
レノは怒りの矛先が変わる前に、PCモニターの影に隠れた。
「この前もお前たちは――」
こうなるとツォンは言いたいことを言い切るまで止まらない。ヒロインは欠伸を噛み殺しながら、ツォンの話が終わるのを待った。
そして――
「とにかく、目立つということはそれだけ標的になりやすいということだ!今後は自重するように」
「了解です」
時間にして15分。ようやく開放されたヒロインは、レノの隣の自席に戻った。
「だから、俺んちから会社行けって言っただろ」
レノの第一声に、ヒロインは顔をしかめた。
「レノと一緒に出勤したら目立つじゃん」
「お前、もう今朝やったこと忘れたのかよ…」
レノは呆れて大きな溜息をついた。
「同僚と一緒に出勤するのが目立つわけないだろ」
自意識過剰だとレノが笑う。
ヒロインは唇を尖らせて言った。
「家から一緒に出勤してたら、同僚以上の関係って思われるでしょ」
「実際その通りだろ。泥酔したヒロインを毎日迎えに行って、連れ帰ってるのは誰なのかな?」
レノがにやりと笑い、ヒロインの顔を覗き込んだ。
「それは…」
彼氏と別れて数週間、ほぼ毎日、泥酔してレノの家に泊まっているのは事実だった。
「でも、まだエッチしてないし!」
「じゃあ今日するか」
「するわけないでしょ!」
「残念」
今日は飲みに行かないと言い残し、ヒロインは数日前から発生している通り魔の調査に向かった。
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