仮面の女 -Imitation Actress-
ヒロイン
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完全にレインに戻っていたヒロインの反応が一瞬遅れた。
ガスマクス姿の男と投げつけられた筒。
爆弾だと誰かが言った。
今度は逃げろと言う。
足が、動かない――!
ヒロインは両手を上げて頭をかばった。
しかし、来るはずの衝撃が来ない。
助かったのか?
目を開けると、そこは煙で覆われ、何も見えなくなっていた。
そこに一つ、小さな人影が浮かび上がった。
「ヒロイン!!」
切迫したその声。
ヒロインが完全に反応するより少し早く、煙を割いて現れた銀色の刃が、腹部に深々と刺さった。
「あんたがいけないのよ…」
ヒロインは自分を刺した相手を見た。
それは、これから、『レイン』になるその人だった。
「本物がいたら、私が偽物になるから…だから…」
本物を殺して、本物になる。
女性の目は、先日あっていたときよりもはっきりとした意志を宿していた。
「その目をしてたら、少しは似ていたかもね…」
ヒロインは一切の加減なく、足で女の腹部を蹴った。
女はナイフから手を離すと、その場に倒れた。
「ヒロイン!!」
一面の灰色に走った一筋の赤。
ヒロインは脂汗を流しながら、なんとかにこりと微笑んでみせた。
安心すると、腹部がひどく痛んだ。よく見るとドレスも真っ赤に汚れてしまっている。
「また、ツォンさんに怒られちゃう…」
頭がぐらぐらする。
ヒロインは駆け寄ってきたレノにしがみついた。
「今、救急車呼ぶから、もう少し頑張れよ」
レノがどこかへ電話している。
その声もどこか遠い。
さっきははっきり見えた赤毛も、今はもう見えない。
何もかもわからなくなる前に、伝えないといけないことが――
「先輩…お願いが、…」
レインを、殺して。
.
ガスマクス姿の男と投げつけられた筒。
爆弾だと誰かが言った。
今度は逃げろと言う。
足が、動かない――!
ヒロインは両手を上げて頭をかばった。
しかし、来るはずの衝撃が来ない。
助かったのか?
目を開けると、そこは煙で覆われ、何も見えなくなっていた。
そこに一つ、小さな人影が浮かび上がった。
「ヒロイン!!」
切迫したその声。
ヒロインが完全に反応するより少し早く、煙を割いて現れた銀色の刃が、腹部に深々と刺さった。
「あんたがいけないのよ…」
ヒロインは自分を刺した相手を見た。
それは、これから、『レイン』になるその人だった。
「本物がいたら、私が偽物になるから…だから…」
本物を殺して、本物になる。
女性の目は、先日あっていたときよりもはっきりとした意志を宿していた。
「その目をしてたら、少しは似ていたかもね…」
ヒロインは一切の加減なく、足で女の腹部を蹴った。
女はナイフから手を離すと、その場に倒れた。
「ヒロイン!!」
一面の灰色に走った一筋の赤。
ヒロインは脂汗を流しながら、なんとかにこりと微笑んでみせた。
安心すると、腹部がひどく痛んだ。よく見るとドレスも真っ赤に汚れてしまっている。
「また、ツォンさんに怒られちゃう…」
頭がぐらぐらする。
ヒロインは駆け寄ってきたレノにしがみついた。
「今、救急車呼ぶから、もう少し頑張れよ」
レノがどこかへ電話している。
その声もどこか遠い。
さっきははっきり見えた赤毛も、今はもう見えない。
何もかもわからなくなる前に、伝えないといけないことが――
「先輩…お願いが、…」
レインを、殺して。
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