仮面の女
ヒロイン
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「驚いたな…」
手際もさることながら、見事に『レノ』の特徴を消している。
これでは、余程注意深く見なければ、タークスのレノとは見破られないだろう。
「では先輩、席、替わっていただけますか?」
ヒロインが鏡越しに、得意げな顔をしてみせた。
レノは椅子から立ち上がると、代わりに座ったヒロインの横に立った。
一体、ヒロインはどんなふうに変わるのだろう。
興味がある。
それに、聞きたいことも。
「なあ、それ、どこで覚えたんだ?」
「昔取った杵柄的な感じですよ」
「タークスの前の?」
「そうです」
会話をしながらも、ヒロインの手は止まらない。
ドレッサーに並べた色とりどり、様々な種類の化粧品、化粧用具を駆使し、自らの顔を描いていく。
少しずつ、少しずつ、ヒロインの顔が艶めいていく。
もはや誰も、ヒロインを男性とは思わないだろう。
いつもとは違う、鏡に写った後輩。
違う?
レノはヒロインの顔に既視感を覚えた。
「ヒロイン、どこかで昔、会ったことないか?」
一瞬、ヒロインの顔が強張った。が、すぐに呆れたような顔に変わった。
「――先輩、ナンパは時と場合と相手を考えて…」
「いや、一度会った女の顔は忘れないぞ、と」
レノは鏡に写ったヒロインの顔をじっと見た。
「まだ途中なんで、そんなじっと見ないでくださいよ」
冗談めかしたヒロインの口調。
しかし、その顔は完全に強張っている。
ヒロインがこれ以上見られまいと横を向いたとき、レノの脳裏に一つの名前が浮かんだ。
「レイン。仮面の女の――」
.
手際もさることながら、見事に『レノ』の特徴を消している。
これでは、余程注意深く見なければ、タークスのレノとは見破られないだろう。
「では先輩、席、替わっていただけますか?」
ヒロインが鏡越しに、得意げな顔をしてみせた。
レノは椅子から立ち上がると、代わりに座ったヒロインの横に立った。
一体、ヒロインはどんなふうに変わるのだろう。
興味がある。
それに、聞きたいことも。
「なあ、それ、どこで覚えたんだ?」
「昔取った杵柄的な感じですよ」
「タークスの前の?」
「そうです」
会話をしながらも、ヒロインの手は止まらない。
ドレッサーに並べた色とりどり、様々な種類の化粧品、化粧用具を駆使し、自らの顔を描いていく。
少しずつ、少しずつ、ヒロインの顔が艶めいていく。
もはや誰も、ヒロインを男性とは思わないだろう。
いつもとは違う、鏡に写った後輩。
違う?
レノはヒロインの顔に既視感を覚えた。
「ヒロイン、どこかで昔、会ったことないか?」
一瞬、ヒロインの顔が強張った。が、すぐに呆れたような顔に変わった。
「――先輩、ナンパは時と場合と相手を考えて…」
「いや、一度会った女の顔は忘れないぞ、と」
レノは鏡に写ったヒロインの顔をじっと見た。
「まだ途中なんで、そんなじっと見ないでくださいよ」
冗談めかしたヒロインの口調。
しかし、その顔は完全に強張っている。
ヒロインがこれ以上見られまいと横を向いたとき、レノの脳裏に一つの名前が浮かんだ。
「レイン。仮面の女の――」
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